負荷シミュレータを使用してハードウェアとユーザーベースの評価を行うと、システムパフォーマンスを測定する必要があります。この節の各トピックでは、システムの全体的なパフォーマンスを向上させる方法について説明します。
配備で使用するそれぞれのマシンに、適切な量の物理メモリーが搭載されていることを確認してください。物理メモリーを追加するとパフォーマンスが向上し、ピークボリューム時でも Instant Messaging サーバーが適切に動作するようになります。メモリー容量が十分であれば、Instant Messaging は過度のスワッピングをすることなく効率的に動作できます。
ほとんどの配備では、256M バイト以上の RAM が必要です。RAM の必要容量は、同時並行クライアント接続の数、およびサーバーとマルチプレクサが同じホストに配備されているかどうかによって異なります。同時接続については、「Instant Messaging の使用率プロファイルの作成」を参照してください。サーバーとマルチプレクサの同一ホスト上でのホスティングについては、「Instant Messaging アーキテクチャー戦略の構築」を参照してください。
Solaris システムでは、iim.conf ファイルの iim.jvm.maxmemorysize パラメータを変更して、サーバーに割り当てるメモリーの容量を設定できます。このパラメータは、サーバーを実行する JVM (Java Virtual Machine) が使用できる最大メモリー数を M バイト単位で指定します。デフォルトの設定は 256M バイト、最大設定は 500M バイトです。このパラメータの設定方法については、『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 Administration Guide』を参照してください。
Windows NT システムでは、現時点ではこの値を変更できません。
ディスクのスループットとは、システムでメモリーからディスクに、またはディスクからメモリーに転送されるデータ量のことです。このデータ転送レートは、Instant Messaging のパフォーマンスに重大な影響を及ぼします。システムのディスクスループット効率を向上させる方法は、次のとおりです。
保守作業を検討し、バックアップのための十分な帯域幅があることを確認します。バックアップも、特にリモートバックアップがネットワーク帯域幅に影響します。プライベートバックアップネットワークの利用が一層効率的です。
スループット効率が向上するようにデータストアを慎重にパーティションで区切ります。
大規模な配備では、ユーザーベースが必ず RAID (Redundant Array of Independent Disks) 環境全体に分散されるようにします。通常、この決定は、ディレクトリサーバーの配備計画プロセスの一部として行います。
ディスクからデータを取得する操作のスピードを向上させるために、データを複数のディスクでストライピングします。
サーバーシステムのディスク容量を計画するときは、オペレーティング環境ソフトウェア、Instant Messaging ソフトウェア、Instant Messaging をサポートするためにインストールが必要で、現在ネットワーク内に存在しないサーバー (LDAP など) の容量を考慮してください。必ず外部ディスク配列を使用してください。さらに、ユーザーディスク容量を割り当てます。この容量は、通常、サイトのポリシーに従って決定されます。一般的なインストールでは、次の容量が必要です。
サーバーまたはマルチプレクサごとに約 300M バイトのディスク空き容量
1 ユーザーごとに約 5K バイトのディスク容量
このアーカイブでは、インスタントメッセージが取り込まれ、Portal Server 検索データベース内にアーカイブされます。エンドユーザーは、アーカイブされたメッセージを Portal Server デスクトップの検索ページから検索し、取得することができます。
表 22–1 は、アーカイブ機能を有効または無効にした場合のサーバーおよびマルチプレクサのディスク容量のサイズ設定を示しています。この表に示す値は、400MHz の Ultra SPARC II Processor を使用して算出したものです。
表 22–1 同時接続ユーザーを考慮した、Instant Messaging サーバーとマルチプレクサのメモリーディスク容量のサイズ設定
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接続/非アクティブユーザーのサーバーメモリー消費量 |
接続/アクティブユーザーのサーバーメモリー消費量 |
接続/非アクティブユーザーのマルチプレクサメモリー消費量 |
接続/アクティブユーザーのマルチプレクサメモリー消費量 |
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アーカイブ無効 |
ユーザーあたり 8M バイト + 20K バイト |
ユーザーあたり 120M バイト +20K バイト |
ユーザーあたり 8M バイト +20K バイト |
ユーザーあたり 8M バイト + 28K バイト |
SSO/ ポータル / アーカイブ有効 |
ユーザーあたり 100M バイト + 25K バイト |
ユーザーあたり 120M バイト + 30K バイト |
ユーザーあたり 8M バイト + 35K バイト |
ユーザーあたり 8M バイト + 40K バイト |
ネットワークスループットは、一定時間内にクライアントアプリケーションとサーバー間のネットワークで転送可能なデータ量のことです。ネットワークに接続されたサーバーがクライアントからの要求に応答できない場合、通常クライアントは要求の再送信を何度も行います。再送信のたびに、システムにはオーバーヘッドと余分なネットワークトラフィックが生じます。
データの完全性とシステムのパフォーマンスを向上させ、ネットワークの混雑を解消することで、再送信の数を減らすことができます。それには、次の手順に従います。
ボトルネックを解消し、ネットワークインフラストラクチャーが負荷を処理できるようにします
ネットワークを分割します
ネットワーク構築時には理論上の最大値を使用しないようにします。それにより、将来の拡張にも対応できるだけの容量を確保できます
トラフィックのフローを異なるネットワークパーティションに分割して衝突を減らし、帯域幅の使用を最適化します
サーバーとマルチプレクスサービス用に十分な数の CPU を用意します。さらに、使用を計画している RAID システムにも十分な CPU を用意します。配備でアーカイブ機能を利用する場合は、ディスク容量の要件についても考慮する必要があります。
表 22–2 は、アーカイブが有効または無効な場合のインストールの最適なパフォーマンスに必要な CPU 数を示しています。この表に示す値は、400MHz の Ultra SPARC II Processor を使用して算出したものです。
表 22–2 Instant Messaging の CPU の使用に関する数値
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接続/非アクティブユーザーのサーバー CPU 使用率 |
接続/アクティブユーザーのサーバー CPU 使用率 |
接続/非アクティブユーザーのマルチプレクサ CPU 使用率 |
接続/アクティブユーザーのマルチプレクサ CPU 使用率 |
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アーカイブ無効 |
1 CPU あたり数十万のユーザー |
1 CPU あたり 30,000 ユーザー |
1 CPU あたり 50,000 ユーザー |
1 CPU あたり 5,000 ユーザー |
マルチプレクサの配備を計画するときは、次に提案する一般的な値を参考にしてください。ここで説明するパラメータは、iim.conf ファイルで設定できます。
iim_mux.maxthreads の値は、サーバー上の CPU の数を超えないようにする必要があります。
これにより、リソースの使用率を最大にし、処理速度を最適化することができます。
iim_mux.maxsessions の値は、接続拒否を防ぐため十分な大きさに設定する必要がありますが、マルチプレクサプロセスに負荷がかかりすぎない適切な値にする必要があります。
同時接続するクライアントの予想数が、安全基準による最大可能数よりも小さくなるようにします。
スレッドまたは同時セッションの数を必要以上に大きく設定しないようにします。必要以上のサイズに設定すると、システムリソースを不必要に消費することになります。
これらのパラメータの詳細については、『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 Administration Guide』を参照してください。