Sun Java Enterprise System 2005Q4 技術の概要

アーキテクチャーの 3 つの次元の統合

図 2–1 に示し、前のいくつかの節で説明したアーキテクチャーの 3 つの次元を 1 つのものとして捉えると、分散型ソフトウェアソリューションを設計するためのフレームワークが得られます。3 つの次元 (インフラストラクチャーサービスの依存関係、論理層、およびサービス品質) は、ソリューションアーキテクチャーで Java ES コンポーネントが果たす役割を明らかにします。

各次元は、それぞれアーキテクチャーの異なる面を表します。すべてのソリューションアーキテクチャーが、それらのすべての次元を考慮する必要があります。たとえば、ソリューションアーキテクチャーの各論理層の分散型コンポーネント (次元 2) は、適切なインフラストラクチャーコンポーネント (次元 1) と適切なサービス品質コンポーネント (次元 3) のサポートが必要です。

同様に、ソリューションアーキテクチャーに含まれるコンポーネントは、アーキテクチャーの次元ごとに異なる役割を果たします。たとえば、Directory Server はデータ層のバックエンドコンポーネント (次元 2) と持続サービスのプロバイダ (次元 1) の両方とみなされます。

Directory Server はこれらの 2 つの次元の中心に位置するため、この Java ES コンポーネントには、サービスの品質の問題 (次元 3) が最も重要です。Directory Server の障害はビジネスシステムに多大な影響を及ぼすので、このコンポーネントの高可用性設計は非常に重要であり、Directory Server はユーザーや設定に関する機密情報の格納に使用されるため、このコンポーネントのセキュリティーの設計も非常に重要です。

Java ES コンポーネントに関するこれらの 3 つの次元の相互作用は、ソリューションの論理アーキテクチャーとソリューションの配備アーキテクチャーの設計に影響します。

「Java Enterprise System アーキテクチャーのフレームワーク」で説明したアーキテクチャーフレームワークに基づく詳細な設計方法論を概説することは、このマニュアルの対象外です。ただし、3 次元のアーキテクチャーフレームワークは、Java Enterprise System に基づいたソフトウェアソリューションの配備を理解するのに重要な設計の面を明らかにします。