デフォルトでは、Errors-to: ヘッダー行やエンベロープ From: アドレスが空白であるためにエラーが返されるか、警告をまったく送信できない場合を除いて、障害および警告のステータス通知メッセージのコピーがポストマスターに送信されます。ポストマスターへの通知メッセージの配信の詳細については、以後の節および表 10–11 で説明する多数のチャネルキーワードで制御できます。
キーワード: sendpost、nosendpost、copysendpost、errsendpost
長期間にわたってサービスが支障をきたしている場合や、アドレスが不正確な場合は、チャネルプログラムがメッセージを配信できないことがあります。このような場合、MTA チャネルプログラムは、配信不能の理由を説明する文と一緒にメッセージを差出人に返送します。さらに、配信できないメッセージのコピーをすべてローカルポストマスターに送るように設定することも可能です。これはメッセージ配信障害を監視するのに便利ですが、ポストマスターにとっては大量のメールを処理しなければならないことにもなります (表 10–11 を参照)。
キーワード: warnpost、nowarnpost、copywarnpost、errwarnpost
メッセージの返送に加えて、MTA では、配信できないメッセージに関する詳細な情報を記載した警告を送信することができます。通常、この警告メッセージは notices チャネルキーワードが指定するタイムアウトに基づいて送られますが、配信試行に失敗したときに送られることもあります。警告には、問題点の説明と配信試行を継続する時間枠が記載されます。また、多くの場合、該当するメッセージのヘッダーと最初の数行も含まれます。
さらに、警告メッセージのコピーをすべてローカルポストマスターに送るように設定することも可能です。これはメッセージ配信障害を監視するのに便利ですが、ポストマスターにとっては大量のメールを処理しなければならないことにもなります。warnpost、copywarnpost、errwarnpost、nowarnpost キーワードは、警告メッセージを postmaster に送ることを制御するために使用されます (表 10–11 を参照)。
returnenvelope キーワードは 1 つの整数値をとり、これはビットフラグのセットとして解釈されます。ビット 0 (値 = 1) は、MTA によって生成された返送通知のエンベロープアドレスを空白にするか、あるいはローカルポストマスターのアドレスを入れるかを制御します。このビットを設定した場合は、ローカルポストマスターのアドレスを使用することになり、ビットをクリアすると空白アドレスを使用することになります。
RFC 1123 では空白アドレスの使用が義務付けられています。ただし、一部のシステムでは空白エンべロープ From: アドレスを適切に処理できないため、このオプションが必要な場合があります。
ビット 1 (値 = 2) は、MTA がすべての空白エンベロープアドレスをローカルポストマスターのアドレスに置き換えるかどうかを制御します。これは、RFC 821、RFC 822、あるいは RFC 1123 に準拠しないシステムを扱うために使用されます。
ビット 2 (値 = 4) は構文的に不正な返信アドレスを禁止します。
ビット 3 (値 = 8) は mailfromdnsverify キーワードと同じです。
キーワード: postheadonly、postheadbody
チャネルプログラムまたは定期的なメッセージ返送ジョブがメッセージをポストマスターと差出人の両方に返送する場合は、ポストマスターへのコピーには、メッセージ全体を含めることも、ヘッダーだけを含めることもできます。ポストマスターへのコピーをヘッダーに限定することで、ユーザーメールのプライバシーのレベルを高めることができます。ただし、ポストマスターやシステム管理者は一般に root システム権限を使用してメッセージの内容を読むことができるため、このキーワードを使用してもメッセージのセキュリティーを完全に保証することにはなりません (表 10–11 を参照)。
キーワード: aliaspostmaster、returnaddress、noreturnaddress、returnpersonal、noreturnpersonal
デフォルトでは、MTA がバウンスメッセージやステータス通知メッセージを作成する際に使用されるポストマスターの返信アドレスは、postmaster@local-host です。この local-host の部分は、ローカルホストの正式な名前 (ローカルチャネルの名前) で、ポストマスターの個人名は「MTA e-Mail Interconnect」です。この場合、ポストマスターのアドレスの選択には注意してください。不正なアドレスを選択すると、高速のメッセージループが発生し、非常に多数のエラーメッセージが返されることになります。
RETURN_ADDRESS オプションと RETURN_PERSONAL オプションを使用すると、MTA システムでポストマスターのアドレスと個人名をデフォルトに設定できます。また、チャネルごとに制御する必要がある場合は、returnaddress および returnpersonal の各チャネルキーワードを使用できます。returnaddress と returnpersonal は、それぞれポストマスターのアドレスと個人名を指定する引数をとります。noreturnaddress と noreturnpersonal はデフォルトであり、デフォルト値が使用されます。このようなオプションが設定されていない場合は、RETURN_ADDRESS オプションと RETURN_PERSONAL オプションでデフォルトを設定します。これらのオプションが設定されていない場合は、通常のデフォルト値が使用されます。
aliaspostmaster キーワードがチャネルに指定されている場合は、正式なチャネル名におけるユーザー名 postmaster (大文字のみ、小文字のみ、またはその両方) 宛のすべてのメッセージは、postmaster@local-host にリダイレクトされます。local-host には、正式なローカルホスト名 (ローカルチャネルの名前) が入ります。インターネット標準規格では、メールを受け付ける DNS のすべてのドメインに、メールを受信する有効なポストマスターアカウントを設定する必要があります。このため、各ドメインに個別のポストマスターアカウントを設定するのではなく、ポストマスターの責務を一元化する場合はこのキーワードが便利です。つまり、returnaddress は、MTA がポストマスターからの通知メッセージを生成する際に使用するポストマスターの返信アドレスを制御し、aliaspostmaster は、MTA がポストマスター宛のメッセージを処理する方法を制御します。
表 10–11 ポストマスターと差出人に送信される通知メッセージのキーワード