Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド

ポストマスターへのステータス通知メッセージを送信、ブロック、指定するには

デフォルトでは、Errors-to: ヘッダー行やエンベロープ From: アドレスが空白であるためにエラーが返されるか、警告をまったく送信できない場合を除いて、障害および警告のステータス通知メッセージのコピーがポストマスターに送信されます。ポストマスターへの通知メッセージの配信の詳細については、以後の節および表 10–11 で説明する多数のチャネルキーワードで制御できます。

返送された配信不能メッセージ

キーワード: sendpostnosendpostcopysendposterrsendpost

長期間にわたってサービスが支障をきたしている場合や、アドレスが不正確な場合は、チャネルプログラムがメッセージを配信できないことがあります。このような場合、MTA チャネルプログラムは、配信不能の理由を説明する文と一緒にメッセージを差出人に返送します。さらに、配信できないメッセージのコピーをすべてローカルポストマスターに送るように設定することも可能です。これはメッセージ配信障害を監視するのに便利ですが、ポストマスターにとっては大量のメールを処理しなければならないことにもなります (表 10–11 を参照)。

警告メッセージ

キーワード: warnpostnowarnpostcopywarnposterrwarnpost

メッセージの返送に加えて、MTA では、配信できないメッセージに関する詳細な情報を記載した警告を送信することができます。通常、この警告メッセージは notices チャネルキーワードが指定するタイムアウトに基づいて送られますが、配信試行に失敗したときに送られることもあります。警告には、問題点の説明と配信試行を継続する時間枠が記載されます。また、多くの場合、該当するメッセージのヘッダーと最初の数行も含まれます。

さらに、警告メッセージのコピーをすべてローカルポストマスターに送るように設定することも可能です。これはメッセージ配信障害を監視するのに便利ですが、ポストマスターにとっては大量のメールを処理しなければならないことにもなります。warnpostcopywarnposterrwarnpostnowarnpost キーワードは、警告メッセージを postmaster に送ることを制御するために使用されます (表 10–11 を参照)。

空白のエンベロープ返信アドレス

キーワード: returnenvelope

returnenvelope キーワードは 1 つの整数値をとり、これはビットフラグのセットとして解釈されます。ビット 0 (値 = 1) は、MTA によって生成された返送通知のエンベロープアドレスを空白にするか、あるいはローカルポストマスターのアドレスを入れるかを制御します。このビットを設定した場合は、ローカルポストマスターのアドレスを使用することになり、ビットをクリアすると空白アドレスを使用することになります。


注 –

RFC 1123 では空白アドレスの使用が義務付けられています。ただし、一部のシステムでは空白エンべロープ From: アドレスを適切に処理できないため、このオプションが必要な場合があります。


ビット 1 (値 = 2) は、MTA がすべての空白エンベロープアドレスをローカルポストマスターのアドレスに置き換えるかどうかを制御します。これは、RFC 821、RFC 822、あるいは RFC 1123 に準拠しないシステムを扱うために使用されます。

ビット 2 (値 = 4) は構文的に不正な返信アドレスを禁止します。

ビット 3 (値 = 8) は mailfromdnsverify キーワードと同じです。

ポストマスター返送メッセージの内容

キーワード: postheadonlypostheadbody

チャネルプログラムまたは定期的なメッセージ返送ジョブがメッセージをポストマスターと差出人の両方に返送する場合は、ポストマスターへのコピーには、メッセージ全体を含めることも、ヘッダーだけを含めることもできます。ポストマスターへのコピーをヘッダーに限定することで、ユーザーメールのプライバシーのレベルを高めることができます。ただし、ポストマスターやシステム管理者は一般に root システム権限を使用してメッセージの内容を読むことができるため、このキーワードを使用してもメッセージのセキュリティーを完全に保証することにはなりません (表 10–11 を参照)。

チャネルポストマスターアドレスの設定

キーワード: aliaspostmasterreturnaddressnoreturnaddressreturnpersonalnoreturnpersonal

デフォルトでは、MTA がバウンスメッセージやステータス通知メッセージを作成する際に使用されるポストマスターの返信アドレスは、postmaster@local-host です。この local-host の部分は、ローカルホストの正式な名前 (ローカルチャネルの名前) で、ポストマスターの個人名は「MTA e-Mail Interconnect」です。この場合、ポストマスターのアドレスの選択には注意してください。不正なアドレスを選択すると、高速のメッセージループが発生し、非常に多数のエラーメッセージが返されることになります。

RETURN_ADDRESS オプションと RETURN_PERSONAL オプションを使用すると、MTA システムでポストマスターのアドレスと個人名をデフォルトに設定できます。また、チャネルごとに制御する必要がある場合は、returnaddress および returnpersonal の各チャネルキーワードを使用できます。returnaddressreturnpersonal は、それぞれポストマスターのアドレスと個人名を指定する引数をとります。noreturnaddressnoreturnpersonal はデフォルトであり、デフォルト値が使用されます。このようなオプションが設定されていない場合は、RETURN_ADDRESS オプションと RETURN_PERSONAL オプションでデフォルトを設定します。これらのオプションが設定されていない場合は、通常のデフォルト値が使用されます。

aliaspostmaster キーワードがチャネルに指定されている場合は、正式なチャネル名におけるユーザー名 postmaster (大文字のみ、小文字のみ、またはその両方) 宛のすべてのメッセージは、postmaster@local-host にリダイレクトされます。local-host には、正式なローカルホスト名 (ローカルチャネルの名前) が入ります。インターネット標準規格では、メールを受け付ける DNS のすべてのドメインに、メールを受信する有効なポストマスターアカウントを設定する必要があります。このため、各ドメインに個別のポストマスターアカウントを設定するのではなく、ポストマスターの責務を一元化する場合はこのキーワードが便利です。つまり、returnaddress は、MTA がポストマスターからの通知メッセージを生成する際に使用するポストマスターの返信アドレスを制御し、aliaspostmaster は、MTA がポストマスター宛のメッセージを処理する方法を制御します。

表 10–11 ポストマスターと差出人に送信される通知メッセージのキーワード

キーワード 

説明 

返送メッセージの内容

通知のアドレスの指定

notices

通知の送信とメッセージの返送を行うまでの時間を指定します。 

nonurgentnotices

優先度が低いメッセージを配信できない場合に通知を送り、そのメッセージを返送するまでの時間を指定します。 

normalnotices

優先度が標準のメッセージを配信できない場合に通知を送り、そのメッセージを返送するまでの時間を指定します。 

urgentnotices

優先度が高いメッセージを配信できない場合に通知を送り、そのメッセージを返送するまでの時間を指定します。 

返送メッセージ

配信不能な返送メッセージの処理方法。

sendpost

配信不能メッセージのコピーをすべてポストマスターに送信します。 

copysendpost

配信不能メッセージの差出人アドレスが空白の場合を除き、配信不能通知のコピーをポストマスターに送信します。この場合、ポストマスターは、バウンスメッセージや通知メッセージ以外のすべての配信不能メッセージのコピーを受け取ります。 

errsendpost

通知を差出人に返すことができない場合に、配信不能通知のコピーをポストマスターに送信します。nosendpost が指定されている場合は、配信不能メッセージがポストマスターに送信されることはありません。

nosendpost

配信不能メッセージのコピーをポストマスターには一切送信しません。 

警告メッセージ

警告メッセージの処理方法。

warnpost

警告メッセージのコピーをすべてポストマスターに送信します。デフォルトでは、Warnings-to: ヘッダーやエンベロープ From: アドレスが空白であるために警告をまったく送信できない場合を除いて、警告のコピーがポストマスターに送信されます。

copywarnpost

未配信メッセージの差出人アドレスが空白になっている場合を除き、警告メッセージのコピーがポストマスターに送信されます。 

errwarnpost

通知を差出人に返すことができない場合に、警告メッセージのコピーをポストマスターに送信します。 

nowarnpost

警告メッセージのコピーをポストマスターには一切送信しません。 

返送メッセージの内容

ポストマスターにメッセージの内容をすべて送信するか、ヘッダーだけを送信するかの指定。

postheadonly

ポストマスターにヘッダーだけを返送します。ポストマスターへのコピーをヘッダーに限定することで、ユーザーメールのプライバシーのレベルを高めることができます。ただし、ポストマスターやシステム管理者は root システム権限を使用してメッセージの内容を読むことができるため、このキーワードを選択してもメッセージのセキュリティーを完全に保証することにはなりません。

postheadbody

ヘッダーとメッセージの内容の両方を返送します。 

返送メッセージの内容

通知のアドレスの指定

includefinal

配信通知の中に最終的な形式のアドレス (受取人アドレス) を含めます。 

returnenvelope

空白のエンベロープ返信アドレスの使用を制御します。returnenvelope キーワードは 1 つの整数値をとり、これはビットフラグのセットとして解釈されます。

ビット 0 (値 = 1) は、MTA によって生成された返送通知のエンベロープアドレスを空白にするか、あるいはローカルポストマスターのアドレスを入れるかを制御します。このビットを設定した場合は、ローカルポストマスターのアドレスを使用することになり、ビットをクリアすると空白アドレスを使用することになります。 

ビット 1 (値 = 2) は、MTA がすべての空白エンベロープアドレスをローカルポストマスターのアドレスに置き換えるかどうかを制御します。これは、RFC 821、RFC 822、あるいは RFC 1123 に準拠しないシステムを扱うために使用されます。

ビット 2 (値 = 4) は構文的に不正な返信アドレスを禁止します。 

ビット 3 (値 = 8) は mailfromdnsverify キーワードと同じです。

suppressfinal

オリジナルの形式のアドレスが存在する場合に、通知メッセージに最終アドレス形式を表示しないようにします。 

useintermediate

リストの展開後、ユーザーメールボックス名を生成するまでの間に作成された中間形式のアドレスを使用します。この情報を入手できない場合は、最終形式が使用されます。 

返送メッセージの内容

通知のアドレスの指定

aliaspostmaster

正式なチャネル名でのユーザー名ポストマスター宛のメッセージは postmaster@local-host にリダイレクトされます。local-host には、ローカルホスト名 (ローカルチャネルの名前) が入ります。 

returnaddress

ローカルポストマスターの返信アドレスを設定します。 

noreturnaddress

ポストマスターアドレス名に RETURN_ADDRESS オプション値を使用します。

returnpersonal

ローカルのポストマスターに対する個人名を設定します。 

noreturnpersonal

ポストマスター個人名に RETURN_PERSONAL オプション値を使用します。