Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド

ProcedureHA サポートと HA StoragePlus を設定するには

手順
  1. スーパーユーザーになってコンソールを開きます。

    以降の Sun Cluster コマンドはすべて、スーパーユーザーとしてログインしてから実行する必要があります。/dev/console へのメッセージ出力を確認するためのコンソールまたはウィンドウを別に開くこともできます。

  2. 必要なリソースタイプを追加します。

    使用する予定のリソースタイプを認識するように Sun Cluster を設定します。これは scrgadm -a -t コマンドで行います。


    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    # scrgadm -a -t SUNW.ims
  3. Messaging Server 用のリソースグループを作成します。

    リソースグループをまだ作成していない場合は作成し、Messaging Server を実行するクラスタノード上でそのグループが見えるようにします。次のコマンドは、MAIL-RG という名前のリソースグループを作成し、クラスタノード mail-1 および mail-2 上でそのグループが見えるようにします。

    # scrgadm -a -g MAIL-RG -h mail-1,mail-2

    もちろん、リソースグループに対しては任意の名前を使用できます。

  4. HA 論理ホスト名リソースを作成し、リソースグループを起動します。

    HA 論理ホスト名のリソースを作成して有効にし、リソースグループに配置します (まだこの作業を行っていない場合のみ)。次のコマンドは、論理ホスト名 budgie を使用してその処理を行います。-j スイッチを省略しているため、作成されるリソースの名前も budgie になります。


    # scrgadm -a -L -g MAIL-RG -l budgie
    # scswitch -Z -g MAIL-RG
  5. HAStoragePlus リソースを作成します。

    次に、Messaging Server が依存するファイルシステムに対して HAStoragePlus リソースタイプを作成する必要があります。次のコマンドは、disk-rs という名前の HAStoragePlus リソースを作成し、ファイルシステム disk_sys_mount_point をその制御下に置きます。


    # scrgadm -a -j disk-rs -g MAIL-RG \
    -t SUNW.HAStoragePlus \
    -x ServicePaths=disk_sys_mount_point-1, disk_sys_mount_point-2
    

    ServicePaths のコンマ区切りのリストは、Messaging Server が依存するクラスタファイルシステムのマウントポイントです。この例では、disk_sys_mount_point-1 および disk_sys_mount_point-2 の 2 つのマウントポイントのみを指定しています。いずれかのサーバーが依存するファイルシステムがほかにもある場合、追加の HA ストレージリソースを作成し、手順 10 でその追加の依存関係を指定することができます。

  6. 管理サーバーをインストールして設定します

    手順については、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 インストールガイド』を参照してください。

    完全修飾ドメイン名を指定するときは、手順 4 で作成した HA 論理ホスト名を使用します。

  7. Messaging Server をインストールし、設定します。「Messaging Server の初期実行時設定を作成する」を参照してください。

    1. 「Messaging Server の初期実行時設定を作成する」に示すように、初期実行時設定では設定ディレクトリを指定するよう求められます。必ず、対象の HAStoragePlus リソースの共有ディスクディレクトリパスを使用してください。

    2. 次のコマンドを実行して、Sun Cluster のもとで watcher プロセスを有効にします。


      configutil -o local.autorestart -v 1

      watcher プロセスの詳細については、「障害が発生したサービスや応答がないサービスの自動再起動」を参照してください。

  8. ha_ip_config スクリプトを実行して、service.listenaddr および service.http.smtphost パラメータと、dispatcher.cnf および job_controller.cnf ファイルを高可用性のために設定します。このスクリプトは、これらのパラメータおよびファイルに対して、物理 IP アドレスではなく論理 IP アドレスが設定されることを保証します。また、watcher プロセスと自動再起動プロセスを有効にします (local.watcher.enable および local.auto.restart をそれぞれ 1 に設定する)。

    スクリプトの実行方法については、「サーバーへの IP アドレスのバインド」を参照してください。

    ha_ip_config スクリプトは、(設定およびデータ用の) 共有ディスクがあるマシン上で 1 回だけ実行することをお勧めします。

  9. imta.cnf ファイルを修正します。すべての物理ホスト名をクラスタの論理ホスト名に置換します。

  10. HA Messaging Server リソースを作成します。

    ここで、HA Messaging Server リソースを作成してリソースグループに追加します。このリソースは HA 論理ホスト名と HA ディスクリソースに依存します。

    HA Messaging Server リソースを作成するとき、Messaging Server の最上位ディレクトリのパス (msg_svr_base パス) を指定する必要があります。これらは、次のコマンドに示すように IMS_serverroot 拡張プロパティーを使用して行います。


    # scrgadm -a -j mail-rs -t SUNW.ims -g MAIL-RG \
          -x IMS_serverroot=msg_svr_base \
          -y Resource_dependencies=disk-rs,budgie

    このコマンドは、msg_svr_base ディレクトリ内の IMS_serverroot にインストールされた Messaging Server に対して、mail-rs という名前の HA Messaging Server リソースを作成します。HA Messaging Server リソースは、HA 論理ホスト名 budgie に加えて、HA ディスクリソース disk-rs に依存します。

    ファイルシステムに対する Messaging Server の依存関係がほかにもある場合、それらのファイルシステムに対する追加の HA ストレージリソースを作成できます。必ず、追加の HA ストレージリソースの名前を、このコマンドの Resource_dependencies オプションに含めるようにしてください。

  11. /etc/vfstab ファイルから単語 global を削除します。/etc/vbstab で起動時マウントを「no」に設定する必要があります。詳細については、Sun Cluster 3.1 のマニュアルを参照してください。

    vfstab ファイルが HAStoragePlus によって有効にされる前に、まず、現在グローバルファイルシステムであるファイルシステムをマウント解除 (umount) する必要があります。その後、HAStoragePlus で vfstab ファイルを有効にし、ファイルシステムを再マウントすることができます。

  12. Messaging Server リソースを有効にします。

    HA Messaging Server リソースをアクティブにし、それによってメッセージングサーバーをオンラインにする準備ができました。これを行うには、次のコマンドを使用します。

    # scswitch -e -j mail-rs

    このコマンドは、MAIL-RG リソースグループの mail-rs リソースを有効にします。MAIL-RG リソースはあらかじめオンラインにされていたため、このコマンドによって mail-rs もオンラインになります。

  13. 問題がないことを確認します。

    scstat コマンドを使って、MAIL-RG リソースグループがオンラインかどうかを確認します。必要であれば、コンソールデバイスへの出力を参照して診断情報を確認します。また、syslog ファイル /var/adm/messages も確認します。

  14. フェイルオーバーが正しく機能することを確認するために、リソースグループを別のクラスタノードにフェイルオーバーします。

    リソースグループを別のクラスタノードに手動でフェイルオーバーします (フェイルオーバー先のクラスタノードに対するスーパーユーザー権限が必要)。

    scstat コマンドを使用して、リソースグループが現在どのノード上で動作しているか (「オンライン」であるか) を確認します。たとえば、リソースグループが mail-1 上でオンラインである場合、次のコマンドを実行して mail-2 へフェイルオーバーします。

    # scswitch -z -g MAIL-RG -h mail-2

    最初のノードをアップグレードしている場合、Java Enterprise System インストーラでインストールを行ってから Messaging Server を設定します。そのあと、2 番目のノードにフェイルオーバーします。2 番目のノード上では Java Enterprise System インストーラを使用して Messaging Server パッケージをインストールしますが、初期実行時設定プログラム (configure) を再び実行する必要はありません。代わりに、useconfig ユーティリティーを使用することができます。