Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド

段階的なメールボックスの移行

段階的な移行には、メッセージストアを異なるシステムに移動したり、新しいシステムにアップグレードしたりする作業を安全で効果的に行う面で数多くの利点があります。段階的な移行によって、古いバックエンドメッセージストアを残しつつ、新しいバックエンドメッセージストアシステムを構築することができます。その後、新しいシステムをテストし、都合のよいユーザーを数人移行して、新しいシステムを再度テストできます。新しいシステムと設定で快適に動作し、この移行手順がうまくいくとわかったら、実際の商用ユーザーの移行を開始できます。それらのユーザーを別個のバックアップグループに分割すると、移行中にオフラインになるのが特定グループのメンバーだけになり、オフライン時間も短くすることができます。

オンラインの段階的な移行の別の利点は、アップグレードが失敗した場合に備えてシステム全体のバックオフを計画する必要がないということです。バックオフとは、システムを元の動作可能状態に戻すために、システムに加えた変更を取り消す手順のことです。移行を行う場合は失敗に備えなければなりません。つまり、移行中の 1 つ 1 つの手順について、システムを以前の動作可能状態に戻すための計画が必要です。

オフラインの移行では、すべての移行手順を完了してサービスをオンに切り替えるまで移行作業が成功したかどうかわからない、という点が問題です。システムが動作せず迅速な修正もできない場合には、実行したすべての手順のバックオフ手順が必要になります。これはストレスが溜まり時間もかかる作業です。その間、ユーザーはオフラインにされたままです。

オンラインの段階的な移行で実行する基本的な手順は次のとおりです。

1. 古いシステムを残しつつ新しいシステムを構築し、両方のシステムが独立して動作できるようにします。

2. 新しいシステムと共存できるように古いシステムを設定します。

3. 都合のよいユーザーのグループを移行し、新しいシステムの動作、および古いシステムとの共存状態をテストします。

4. 古いシステム上のユーザーをグループに分け、必要に応じてグループごとに新しいシステムに移行します。

5. 古いシステムを解体します。

両方のシステムが共存するので、移行する前に新しいシステムをテストおよび調整するための時間を十分に取ることができます。万一、バックオフ手順を実行する必要が生じた場合でも、手順 2 および 4 について計画するだけですみます。手順 2 は、ユーザーのデータを一切操作しないので元に戻すのが容易です。手順 4 のバックオフでは、ユーザーの状態をアクティブに戻し、そのメールホスト属性を古いホストに戻すことになります。システム全体のバックオフは必要ありません。