Sun Java System Access Manager 7 2005Q4 配備計画ガイド

リソースの定義

アイデンティティー管理ソリューションには、組織全体にわたる多様なシステムが関係するため、Access Manager を適切に配備するにはさまざまなリソースが必要になります。配備プロセスに関係する、または必要とされる企業のリソースを、以下に示します。

人事情報

組織内のさまざまな取引関係および政治的な関係を考慮する必要があります。直接的または多面的な報告体制を備えたチームを編成する必要があります。通常、Access Manager の配備は、1 人のプロジェクトマネージャーと数人の専任システム管理者で構成される小規模なチームで行われます。これらの人々は、チームリーダー、さらには多数の関連プロジェクトの責任を担うオーナーに報告を行います。また、経営権を持つスポンサーに直接報告することもよくあります。このグループは往々にして、Sun の技術リソースや、必要に応じて使用される LOB アプリケーション管理者で構成される仮想のチームメンバーによって増強されます。

この構成では実際のニーズと完全には一致しない可能性もありますが、ほぼ一般的な配備チームモデルを表しています。個々の役割を必ずしも明確に識別する必要はありませんが、さまざまなスキルセットを表す次の抽象技術ロールを使用することで、Access Manager の典型的な配備チームをさらに定義できます。

経営権を持つスポンサー

従来より、アイデンティティー管理の配備を成功させるには、組織的および政治的な境界を超えた企業の決定権を持つ人物の承認やサポートが必要です。このため、経営権を持つスポンサーが管理に関係することは重要です。プランニングのためのミーティングは、配備に関する既得権を保持する人物からの見識を得る上で重要なプロセスです。プロジェクト計画を策定する際、成果が全体としての企業目標に沿っていることを確認してください。たとえば、コスト削減が主な経営目標である場合、現在のアイデンティティー管理コストに関する統計を収集し、パスワードリセット関連のヘルプデスク利用コストなどのコストを判断します。具体的な統計が入手できれば、配備チームが経営陣のサポートを得るために必要な、明確な投資収益率 (ROI) の定義に役立ちます。関連するほかの問題には、以下が含まれます。

多くの場合、アイデンティティー管理の概念や Access Manager 配備の価値を、ほかの経営陣にも納得させることが必要になります。経営面および技術面の「エバンジェリスト」は、新しいインフラストラクチャーを経営陣に売り込み、統合化への要求を喚起したり、インフラストラクチャーの変更を受け入れさせて、最終的な成功を収めるのに寄与します。

チームリーダー

プロジェクトの成功に責任を持つ当事者として、チームリーダーを 1 人選ぶ必要があります。このチームリーダーは、プロジェクトの目標を達成するという責任を担い、そのための権限を持ちます。このチームリーダーは、テクニカルリーダー、プロジェクトマネージャー、執行責任者などに論理的に分散されたロールである場合があります。このロールをどのように定義するとしても、その目標は配備プロセスが着実に前進し、成功していることを示して、経営陣の支援を維持することです。

プロジェクト管理

プロジェクトマネージャーは、スケジュールの調整を担当します。また、利用可能なサービス、コア IT グループの提供するサポート、およびさまざまな事業分野 (LOB) のアプリケーション統合に関連するスケジュールを管理します。この役割を担う担当者は、優れたコミュニケーション能力を持ち、企業の政治的側面を理解できる必要があります。プロジェクトマネージャーはまた、環境に追加される新規アプリケーションが円滑に機能するために、内部顧客のニーズとリソースの利用状況とのバランスを取る必要もあります。

LOB アプリケーションは、組織の運営に欠かすことのできないものです。通常、これらは、データベースおよびデータベース管理システムとの接続機能を持つ大規模なプログラムです。会計、サプライチェーン管理、およびリソース計画アプリケーションがこれに含まれます。現在、LOB アプリケーションは、ユーザーインタフェースを備えたネットワークアプリケーションや、電子メールや住所録などの個人向けアプリケーションとの接続機能を持つようになりつつあります。

システムアナリスト

システムアナリストは、Access Manager 配備に統合されるさまざまなデータやサービスの評価および分類を担当します。システムアナリストは、LOB アプリケーションのオーナーにインタビューを行い、プラットフォーム、アーキテクチャー、およびその配備スケジュールの技術要件に関する詳細情報を収集します。システムアナリストは、この情報を使用して顧客の要件を満たすようにアプリケーションを配備に統合する方法を計画します。システムアナリストは、さまざまなアプリケーションのアーキテクチャーおよびプラットフォームに関する広範な知識を持つ、IT ゼネラリストでなければなりません。また、Access Manager のアーキテクチャー、サービス、エージェント、および API に関する詳細な知識も必要になります。

事業分野別 (LOB) アプリケーション管理者

LOB アプリケーション管理者は、LOB アプリケーションに関する詳細な知識を持つと同時に、それらのアプリケーションを管理することのできる技術の専門家であり、Access Manager ポリシーエージェント (ポリシー適用ポイント) のアプリケーションへの統合を担当します。LOB アプリケーション管理者には、LOB アプリケーションのアーキテクチャー、統合ポイント、および適切なスケジュールに関する明確な意思伝達能力が必要です。通常、LOB アプリケーション管理者は、Access Manager ポリシーに示されるアクセス制御モデルの定義を担当します。この人物は、カスタムプログラミングを行って、Access Manager とそのアプリケーション (セッション調整など) 間の統合を拡張することもあります。さらに、通常は品質保証 (QA) および新たに配備された環境でのアプリケーションの回帰試験を担当します。

システム管理者

Access Manager を配備し、その可用性を維持する上で、適切なリソースが存在することは重要です。以下に示すレベルで、システム管理者が必要です。補助的な管理者には、Access Manager の配備先ソフトウェアコンテナの配備およびパフォーマンスを担当する Web コンテナ管理者も含まれます。

Access Manager 管理者

Access Manager 管理者は、Access Manager の配備と保守を担当します。この管理者は、共通サービスの可用性を保証し、一般的にインフラストラクチャーに必要な拡張を加え、特にポリシーとロールを設定します。また、ガイドラインを策定して統合作業のサポートに役立てるとともに、LOB アプリケーション管理者への技術サポートも行います。Java、XML、LDAP、HTTP、および Web アプリケーションアーキテクチャーの理解が必須です。

Directory Server 管理者

Access Manager の配備を考慮する前から、認証および承認に使用される企業のディレクトリサービスが組織内のグループにより管理されていることがよくあります。Directory Server 管理者は、ディレクトリサービスの可用性の管理だけでなく、アイデンティティー管理インフラストラクチャーのサポートに必要な変更も含め、現在定義されているLDAP スキーマやアイデンティティーデータへの追加や変更の受け入れおよび統合も担当します。

ハードウェア、データセンター、ネットワーク管理者

大規模な組織は、通常、ハードウェア、オペレーティングシステム、データセンター、およびネットワーク管理をミドルウェア管理から切り離すことでスケールメリットを追求します。この種の企業の場合、これらの管理者間で明確に意思を疎通させることが重要になります。配備を成功させる上で、特定のマシンにアクセスできることや、特定のネットワーク構成を確立することが重要な場合があります。これらの管理者に常にプロジェクトの主要管理点や要件を意識させることで、スムーズなロールアウトが可能になります。