Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.1 2005Q2 高可用性 (HA) 管理ガイド

HTTP 負荷分散の設定

この節では、ロードバランサプラグインを設定する方法について説明します。次の項目が含まれています。

負荷分散を設定するための前提条件

ロードバランサを設定する前に、次の手順を実行する必要があります。

HTTP ロードバランサの配備

ロードバランサは、目標や環境に応じて、以下の節で説明している各種の方法で設定できます。

クラスタ化されたサーバーインスタンスの使用

ロードバランサを配備するためのもっとも一般的な方法は、サーバーインスタンスのクラスタを使用する方法です。デフォルトでは、クラスタ内のすべてのインスタンスが同じように設定され、同じアプリケーションが配備されています。ロードバランサは、サーバーインスタンスの間でワークロードを分散させ、正常でないインスタンスから正常なインスタンスへのフェイルオーバーを要求します。HTTP セッション持続性を設定している場合は、要求が処理を引き継がれるとセッション情報は保持されます。

複数のクラスタがある場合、要求は、単一のクラスタ内のインスタンス間でのみ負荷分散およびフェイルオーバーされます。ロードバランサで複数のクラスタを使用すると、アプリケーションの順次アップグレードが容易に可能になります。詳細については、「可用性を低下させないアプリケーションのアップグレード」を参照してください。

ロードバランサをリバースプロキシプラグインとして使用する単一のスタンドアロンインスタンスの使用

クラスタの代わりにスタンドアロンサーバーインスタンスを使用するように、ロードバランサを設定することもできます。この設定を行うと、ロードバランサプラグインがリバースプロキシプラグイン (パススループラグインとも呼ばれる) として機能するようになります。Web サーバーは、ロードバランサで有効になっているアプリケーションへの要求を受信すると、その要求を直接 Application Server に転送します。

ロードバランサをパススループラグイン用に設定する場合は、サーバーインスタンスのクラスタ用に設定する場合と同じ手順を使用します。

複数のスタンドアロンインスタンスの使用

複数のスタンドアロンインスタンスを使用するようにロードバランサを設定し、要求をそれらのインスタンス間で負荷分散したり処理の継続をしたりすることも可能です。ただし、この設定では、それぞれのスタンドアロンインスタンスに同種の環境が確保され、同じアプリケーションが配備されていることを手動で確認する必要があります。クラスタでは自動的に同種の環境が維持されるため、ほとんどの状況では、クラスタの使用がより適切で、より容易な方法です。

負荷分散を設定するための手順

asadmin ツールを使用して、環境内に負荷分散を設定します。これらの手順で使用されている asadmin コマンドの詳細については、「ロードバランサの設定」を参照してください。

Procedure負荷分散を設定するには

  1. asadmin コマンドの create-http-lb-config を使用して、ロードバランサ設定を作成します。

  2. 作成したロードバランサのクラスタまたはスタンドアロンサーバーインスタンスへの参照を追加し、asadmin create-http-lb-ref を使用して管理するようにします。

    ターゲットを指定してロードバランサ設定を作成しており、そのターゲットが、ロードバランサが参照する唯一のクラスタまたはスタンドアロンサーバーインスタンスである場合は、この手順を飛ばしてください。

  3. asadmin enable-http-lb-server を使用して、ロードバランサによるクラスタまたはスタンドアロンサーバーインスタンスの参照を有効にします。

  4. asadmin enable-http-lb-application を使用して、負荷分散するアプリケーションを有効にします。

    これらのアプリケーションは、ロードバランサが参照するクラスタまたはスタンドアロンインスタンスで使用するために、事前に配備および有効にしておく必要があります。負荷分散を有効にする手順は、使用可能にする手順とは別です。

  5. asadmin create-health-checker を使用して、診断プログラムを作成します。

    診断プログラムは、正常でないサーバーインスタンスを監視し、それらが正常に戻ったときにロードバランサが新しい要求を送信できるようにします。

  6. asadmin export-http-lb-config を使用して、ロードバランサ設定ファイルを生成します。

    このコマンドは、Sun Java System Application Server に同梱されているロードバランサプラグインとともに使用する設定ファイルを生成します。

  7. ロードバランサ設定ファイルを、ロードバランサプラグイン設定ファイルが格納されている Web サーバーの config ディレクトリにコピーします。