Solaris のシステム管理 (基本編)

ファイルシステムのマウントとマウント解除

ファイルシステム上のファイルにアクセスするには、ファイルシステムをマウントする必要があります。ファイルシステムをマウントするときは、ファイルシステムをディレクトリ (マウントポイント) に接続し、システムで使用可能にすることです。ルート (/) ファイルシステムは、常にマウントされています。他のファイルシステムは、ルート (/) ファイルシステムに接続したり切り離したりできます。

ファイルシステムをマウントすると、そのファイルシステムがマウントされている間は、マウントポイントのディレクトリ内に実際に存在しているファイルやディレクトリは使用できなくなります。これらのファイルはマウント処理の影響を永続的に受けるわけではなく、ファイルシステムをマウント解除すると再び使用できるようになります。通常は存在はするがアクセスできないファイルは混乱の原因になるので、マウントディレクトリを空にしておきます。

たとえば、次の図は、ルート (/) ファイルシステムと、その下の sbinetcopt の各サブディレクトリから始まるローカルファイルシステムを示しています。

図 37-1 ルート (/) ファイルシステムの例

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別パッケージの製品が含まれている /opt ファイルシステムからローカルファイルシステムにアクセスするには、次の作業を行います。

ファイルシステムのマウント方法については、第 39 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。

図 37-2 ファイルシステムのマウント

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マウントされたファイルシステムテーブル

ファイルシステムをマウントまたはマウント解除すると、現在マウントされているファイルシステムのリストを使用して、/etc/mnttab (マウントテーブル) ファイルが変更されます。このファイルの内容は cat または more コマンドを使用して表示できますが、編集することはできません。次にマウントテーブルファイル /etc/mnttab の例を示します。


$ more /etc/mnttab
/dev/dsk/c0t0d0s0  /  ufs rw,intr,largefiles,onerror=panic,suid,dev=2200000 938557523
/proc   /proc   proc    dev=3180000     938557522
fd      /dev/fd fd      rw,suid,dev=3240000     938557524
mnttab  /etc/mnttab     mntfs   dev=3340000     938557526
swap    /var/run        tmpfs   dev=1   938557526
swap    /tmp    tmpfs   dev=2   938557529
/dev/dsk/c0t0d0s7 /export/home ufs rw,intr,largefiles,onerror=panic,suid,dev=2200007 ...
$

仮想ファイルシステムテーブル

アクセスするたびにファイルシステムを手動でマウントするのは、時間がかり、またまちがいが起こりやすい作業です。この問題を解決するために、仮想ファイルシステムテーブル (/etc/vstab ファイル) にファイルシステムのリストとそのマウント方法を指定できます。

/etc/vfstab ファイルは、2 つの重要な機能を持っています。

デフォルトの /etc/vfstab ファイルは、システムをインストールするときに作成され、その内容はシステムソフトウェアをインストールするときに行なった選択によって異なります。ただし、システムの /etc/vfstab ファイルはいつでも編集できます。エントリを追加するときに指定する必要がある主な情報は、ファイルシステムが置かれているデバイス、マウントポイントの名前、ファイルシステムのタイプ、システムブート時に自動的にマウントするかどうか (mountall コマンドを使用する)、およびマウントオプションです。

次の例は、/etc/vfstab ファイルの内容を示しています。コメント行は # で始まります。この例は、2 つのディスク (c0t0d0c0t3d0) を持つシステムの /etc/vfstab ファイルを示しています。


$ more /etc/vfstab
#device         device          mount           FS      fsck   mount  mount
#to mount       to fsck         point           type    pass   at boot options
/dev/dsk/c0t0d0s0 /dev/rdsk/c0t0d0s0 /          ufs     1       no      -
/proc           -               /proc           proc    -       no      -
/dev/dsk/c0t0d0s1 -                -            swap    -       no      -
swap            -               /tmp            tmpfs   -       yes     -
/dev/dsk/c0t0d0s6 /dev/rdsk/c0t0d0s6 /usr       ufs     2       no      -
/dev/dsk/c0t3d0s7 /dev/rdsk/c0t3d0s7 /test      ufs     2       yes     -
$

上の例の最後のエントリは、システムブート時に /dev/dsk/c0t3d0s7 スライス上の UFS ファイルシステムが自動的にマウントポイント /test にマウントされることを示しています。ルート (/) と /usr では、mount at boot フィールドの値が no に指定されていることに注意してください。これはこの 2 つのファイルシステムが、mountall コマンドを実行する前にブートシーケンスの一部としてカーネルによってマウントされるからです。

/etc/vfstab の各フィールドの説明、およびこのファイルの編集/使用方法については、 第 39 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。

NFS 環境

NFS は、1 つのシステム (通常はサーバー) の「リソース」 (ファイルやディレクトリ) をネットワーク上の他のシステムと共有するための分散型ファイルシステムサービスです。たとえば、Sun 以外のアプリケーションやソースファイルを他のシステム上のユーザーと共有できます。

NFS は、リソースの実際の物理的な位置をユーザーが意識しなくてすむようにします。よく使用されるファイルのコピーをシステムごとに配置しなくても、あるシステムのディスク上にコピーを 1 つ配置することによって NFS は、他のすべてのシステムがそのコピーにネットワークからアクセスできるようにします。NFS の環境では、リモートファイルシステムは、実際にはローカルシステムと区別がつきません。

システムは、ネットワーク上で共有するリソースがあるときに、NFS サーバーになります。サーバーは、現在共有されているリソースとそのアクセス制限 (読み取り/書き込み、読み取り専用アクセスなど) のリストを管理します。

リソースを共有する場合は、リモートシステムにマウントできるように、そのリソースを使用可能な状態にします。

リソースを共有するには、次の方法があります。

リソースを共有する方法については、第 39 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。NFS の詳細については、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』の「ネットワークファイルシステムの管理 (概要)」を参照してください。

自動マウントまたは AutoFS

NFS ファイルシステムのリソースをマウントするには、自動マウント (または AutoFS) というクライアント側のサービスを使用します。このサービスによってシステムは、ユーザーがアクセスしたときに自動的に NFS リソースをマウントまたはマウント解除できます。ユーザーがファイルシステム内のファイルを使用している間、ファイルシステムのリソースはマウントされたままになります。リソースが一定の時間アクセスされなかった場合、リソースは自動的にマウント解除されます。

次に、AutoFS の特徴を示します。

AutoFS サービスは automount ユーティリティによって初期化されます。このコマンドは、システムのブート時に自動的に実行されます。automountd デーモンは永続的に動作し、必要に応じて NFS ファイルシステムをマウントまたはマウント解除します。デフォルトでは、/home ファイルシステムは automount デーモンによってマウントされます。

AutoFS を使用すると、同じファイルシステムを提供するサーバーを指定できます。このような方法では、1 つのサーバーがダウンしても、AutoFS が他のマシンからファイルシステムをマウントすることができます。

AutoFS の設定と管理方法については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』を参照してください。