Solaris のシステム管理 (基本編)

UFS スナップショットの概要

Solaris 9 には、ファイルシステムのマウント中にファイルシステムをバックアップするための、fssnap コマンドが含まれています。

fssnap コマンドを使用して、ファイルシステムの読み取り専用のスナップショットを作成することができます。スナップショットは、バックアップ操作のためのファイルシステムの一時的イメージです。

fssnap コマンドを実行すると、1 つの仮想デバイスと 1 つのバッキングストアファイルが作成されます。ユーザーは、既存の Solaris バックアップコマンドを使用して、実在のデバイスのように動作し実在のデバイスのように見えるこの仮想デバイスをバックアップすることができます。「バッキングストア (backing-store)」ファイルは、スナップショット作成後に変更されたデータのコピーを含むビットマップ化ファイルです。

なぜ UFS スナップショットを使用するか

UFS スナップショットにより、バックアップ時に、ファイルシステムをマウントされた状態にしシステムをマルチユーザーモードにしておくことができます。これまでは、バックアップを実行するために ufsdump コマンドを使用する時は、ファイルシステムをアクティブでない状態に保つためにシステムをシングルユーザーモードにすることが推奨されていました。より確実なバックアップのために、tarcpio などの追加の Solaris のバックアップコマンドを使用して UFS スナップショットのバックアップを行うこともできます。

fssnap コマンドにより、企業レベルではないシステムの管理者が、大規模な記憶容量の必要なく、Sun StorEdgeTM Instant Image のような企業レベルツールのパワーを得ることができます。

UFS スナップショットは、Instant Image 製品に似ています。Instant Image は、取り込まれるファイルシステム全体のサイズに等しいスペースを割り当てます。ただし、UFS スナップショットが作成するバッキングストアファイルは、必要なディスクスペースの容量しか占有しないため、バッキングストアファイルのサイズに上限を設定することも可能です。

次の表は、UFS スナップショットと Instant Image との特徴的な違いを示します。

UFS スナップショット 

Instant Image 

バッキングストアファイルのサイズは、スナップショットがとられた後のデータの変更量による 

バッキングストアファイルのサイズは、コピーされるファイルシステム全体のサイズに等しい 

システムのリブート後は保持されない 

システムのリブート後も保持される 

UFS ファイルシステムで動作する 

ルート (/) または /usr ファイルシステムでは使用できない

Solaris 8 1/01、4/01、7/01、10/01、10/02 リリースおよび Solaris 9 リリースの一部 

Sun StorEdge 製品の一部 

UFS スナップショットは大規模なファイルシステムをコピーすることができますが、企業レベルのシステムには Instant Image の方が適しています。UFS スナップショットは、小さめのシステムに適しています。

UFS スナップショットのパフォーマンス上の問題

UFS スナップショットの初回作成時に、ファイルシステムのユーザーが短い一時停止に気づく場合があります。一時停止の時間は、取り込まれるファイルシステムのサイズとともに増加します。スナップショットがアクティブな間、ファイルシステムへの書き込み時にユーザーが若干のパフォーマンス低下に気づく場合がありますが、ファイルシステムからの読み込み時には影響はありません。