Solaris WBEM Services の管理

WBEM 用 SNMP アダプタの動作のしくみ

Solaris オペレーティング環境は、Solstice Enterprise Agents のマスターエージェントを起動する前に、WBEM サービスを初期化します。デフォルトでは、WBEM 用 SNMP アダプタ (以下、アダプタ) は無効にされています。しかし、アダプタを有効にしたあとは、Solstice Enterprise Agents のマスターエージェント (snmpdx) がアダプタを自動的に起動します。アダプタについては、snmpXwbemd(1M) のマニュアルページに説明があります。

SNMP Manager は、SNMP の Get 要求を Solstice Enterprise Agents のマスターエージェントに渡します。マスターエージェントは、そのあと、Get 要求をアダプタに送り、アダプタは /var/sadm/wbem/snmp/map にあるマッピングファイルを使って、Get 要求内のオブジェクトを対応する CIM オブジェクトに変換します。さらに、アダプタは、CIM オブジェクトを Get 要求内の SNMP オブジェクトに変換します。


注 -

現在のところ、Solaris 9 では、Get 要求とスカラーオブジェクトだけがサポートされています。Get-next 要求、Get-bulk 要求、Set 要求、およびその他のオブジェクトは、現在のところサポートされていません。


アダプタは、このディレクトリを英数字順に検索して、拡張子 .map が付いている最初のファイルを見つけます。そのあと、アダプタは、ディレクトリ内のすべてのマッピングファイルを読み取り、その内容をキャッシュに書き込みます。アダプタは、これらのファイルの内容を使って、Get 要求の中に指定されたオブジェクトを、対応する CIM オブジェクトに変換します。アダプタは、ディレクトリ内の後続のマッピングファイルにある重複した OID を無視します。たとえば、次の OID が 002SUNWlvma.map にある場合、

1.3.6.1.2.1.1.1.0 My_ComputerSystem Description SnmpString

それと同じ次の OID が 050SUNWwbcou.map (アダプタはこのファイルを 002SUNWlvma.map よりあとに読み取る) にもあると、

1.3.6.1.2.1.1.1.0 Solaris_ComputerSystem Description SnmpString

アダプタは、050SUNWwbcou.map に指定された OID を無視します。

次いで、アダプタは、SNMP Manager が送信した各 Get 要求に対して、Get 応答を生成します。アダプタは、マッピングファイル内に対応する項目を見つけられない場合、Get 応答エラーを返します。

マスターエージェントが要求を転送する方法: WBEM 用 SNMP アダプタと Sun SNMP Agent の比較

WBEM 用 SNMP アダプタがリリースされるまでは、SNMP Manager が SNMP MIB-2 変数のための Get 要求を Solstice Enterprise Agents のマスターエージェントに送信すると、マスターエージェントはその要求を Sun SNMP MIB-2 エージェント ( mibiisa) に転送していました。アダプタが SNMP MIB-2 要求も処理することから考えると、Sun SNMP エージェントと WBEM 用 SNMP アダプタが両方同時に実行されている場合には、どうなるのでしょうか。マスターエージェントは要求をどのように転送するのでしょうか。

マスターエージェントは、各サブエージェント登録ファイルで定義されているサブツリーに基づいてノードテーブルを構築します。mibiisa サブエージェントは、MIB-2 サブツリー全体と、Sun Microsystems MIB サブツリーを登録します。アダプタは、MIB-2.system サブツリーと hostRsrc サブツリーを登録します。マスターエージェントは、2 つのエージェントが同じサブツリーを登録することを許可しません。

Sun SNMP MIB-2 エージェントについては、mibiisa(1M) のマニュアルページを参照してください。マスターエージェントについては、『Solstice Enterprise Agents 1.0 ユーザーズガイド』を参照してください。

初期化の際に、マスターエージェントは、登録されている各サブツリーを含むノードテーブルを作成します。マスターエージェントは、各 Get 要求を、その要求に含まれている OID が最も適しているサブツリーのエージェントに転送します。たとえば、mib-2.system.5.0 に対する要求は、アダプタに転送されます。一方、mib-2.interfaces.1.0 に対する要求は、mibiisa サブエージェントに転送されます。マスターエージェントによって登録されたどのサブツリー内にも定義されていない OID の場合は、マスターエージェントは Get 応答でエラーを返します。

WBEM 用 SNMP アダプタは、SNMP V1 の要求だけをサポートしています。