プログラミングインタフェース

メモリーセグメント操作

RSM セグメントは、連続する仮想アドレスの範囲にマッピングされた (一般的に) 連続しない物理メモリーページセットを表します。RSM セグメントのエクスポート操作とインポート操作によって、相互接続のシステム間で物理メモリー領域を共有できるようになります。物理メモリーページが存在するノードのプロセスのことをメモリーの「エクスポータ」と呼びます。リモートアクセス用に公開するためにエクスポートされたセグメントは、指定されたノードに固有なセグメント識別子を持ちます。セグメント ID はエクスポータが指定するか、RSMAPI フレームワークが割り当てます。

エクスポートされたメモリーへのアクセスを取得するために、相互接続のノードのプロセスは RSM インポートセグメントを作成します。この RSM インポートセグメントは、ローカルの物理ページではなく、エクスポートされたセグメントと接続しています。相互接続がメモリーマッピングをサポートする場合、インポータはインポートセグメントのメモリーマッピングされたアドレスを使用して、エクスポートされたメモリーを読み書きできます。相互接続がメモリーマッピングをサポートしない場合、インポートしているプロセス (インポータ) はメモリーアクセスプリミティブを使用します。

エクスポート側のメモリーセグメント操作

メモリーセグメントをエクスポートするとき、アプリケーションはまず、通常のオペレーティングシステムインタフェース (System V Shared Memory Interface、mmap、または valloc など) を使用して、自分の仮想アドレス空間にメモリーを割り当てます。メモリーを割り当てた後、アプリケーションは RSMAPI ライブラリインタフェースを呼び出して、セグメントを作成して、ラベルを付けます。セグメントにラベルを付けた後、RSMAPI ライブラリインタフェースは割り当てた仮想アドレスの範囲に物理ページをバインドします。物理ページをバインドした後、RSMAPI ライブラリインタフェースはセグメントを公開して、インポートしているプロセス (インポータ) がアクセスできるようにします。


注 –

mmap を使用して仮想アドレス空間を取得した場合、マッピングは MAP_PRIVATE である必要があります。


エクスポート側のメモリーセグメント操作には、次のような操作が含まれます。

メモリーセグメントの作成と破壊

rsm_memseg_export_create を使用して新しいメモリーセグメントを確立すると、セグメントを作成するときに物理メモリーを関連付けることができます。この操作は、エクスポート側のメモリーセグメントハンドルを新しいメモリーセグメントに戻します。セグメントは作成するプロセスが動作している間、または、rsm_memseg_export_destroy を使用して破壊するまで存在します。


注 –

インポート側が切断する前に破壊操作が行われた場合、切断が強制的に行われます。


セグメントの作成

int rsm_memseg_export_create( rsmapi_controller_handle_t controller, rsm_memseg_export_handle_t *memseg, void *vaddr, size_t size, uint_t flags);

この関数はセグメントハンドルを作成します。セグメントハンドルを作成した後、この関数はセグメントハンドルを指定された仮想アドレス範囲 [vaddr..vaddr+size] にバインドします。この範囲は有効であり、コントローラの alignment プロパティ上に整列している必要があります。flags 引数はビットマスクで、次の操作を有効にします。


注 –

RSM_LOCK_OPS フラグは RSMAPI の初期リリースには含まれません。


戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_CTLR_HNDL

コントローラハンドルが無効です。

RSMERR_CTLR_NOT_PRESENT

コントローラが存在しません。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_LENGTH

コントローラの長さが 0 あるいは、制限を超えています。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが無効です。

RSMERR_PERM_DENIED

アクセス権がありません。

RSMERR_INSUFFICIENT_MEM

メモリーが不足しています。

RSMERR_INSUFFICIENT_RESOURCES

リソースが不足しています。

RSMERR_BAD_MEM_ALIGNMENT

アドレスがページ境界に整列されていません。

RSMERR_INTERRUPTED

シグナルによって操作が割り込まれました。

セグメントの破壊

int rsm_memseg_export_destroy(rsm_memseg_export_handle_t memseg);

この関数はセグメントとその空きリソースの割り当てを解除します。インポートしているプロセス (インポータ) はすべて強制的に切断されます。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_POLLFD_IN_USE

pollfd は使用中です。

メモリーセグメントの発行、再発行、および発行解除

発行操作によって、相互接続上にあるほかのノードがメモリーセグメントをインポートできます。エクスポートセグメントは複数の相互接続アダプタ上で発行できます。

セグメント ID は承認された範囲または 0 を指定した場合、有効なセグメント ID が RSMAPI フレームワークによって生成され、返されます。

セグメントアクセス制御リストはノード ID とアクセス権のペアから構成されます。リストでは、指定したノード ID ごとに、Solaris のファイルアクセス権とともに所有者、グループ、およびその他のユーザーの 3 つの 8 進数によって関連する読み取り権と書き込み権が示されます。アクセス制御リストでは、各 8 進数は次の値を持ちます。

2

書き込みアクセス

4

読み取り専用アクセス

6

読み取りおよび書き込みアクセス

たとえば、0624 というアクセス権は次のことを意味します。

アクセス制御リストが提供される場合、リストに含まれないノードはセグメントをインポートできません。ただし、アクセス制御リストが NULL の場合は、すべてのノードがセグメントをインポートできます。すべてのノードのアクセス権は、エクスポートするプロセス (エクスポータ) の所有者、グループ、およびその他のファイル作成権と同じになります。


注 –

ノードアプリケーションはセグメント識別子の割り当てを管理し、エクスポートするノード上で一意性を保証する義務があります。


セグメントの公開

int rsm_memseg_export_publish( rsm_memseg_export_handle_t memseg, rsm_memseg_id_t *segment_id, rsmapi_access_entry_t access_list[], uint_t access_list_length);
typedef struct {
rsm_node_id_t    ae_node;    /* 資源へのアクセスを許可されたリモートノード ID */
rsm_permission_t ae_permissions;    /* 許可されたアクセスモード */
}rsmapi_access_entry_t;.

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_SEG_ALREADY_PUBLISHED

セグメントはすでに公開されています。

RSMERR_BAD_ACL

アクセス制御リストが無効です。

RSMERR_BAD_SEGID

セグメント ID が無効です。

RSMERR_SEGID_IN_USE

セグメント ID は使用中です。

RSMERR_RESERVED_SEGID

セグメント ID は予約されています。

RSMERR_NOT_CREATOR

セグメントの作成者ではありません。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが不正です。

RSMERR_INSUFFICIENT_MEM

メモリーが不足しています。

RSMERR_INSUFFICIENT_RESOURCES

リソースが不足しています。

認可されたセグメント ID の範囲:

#define RSM_DRIVER_PRIVATE_ID_BASE

0

#define RSM_DRIVER_PRIVATE_ID_END

0x0FFFFF

#define RSM_CLUSTER_TRANSPORT_ID_BASE

0x100000

#define RSM_CLUSTER_TRANSPORT_ID_END

0x1FFFFF

#define RSM_RSMLIB_ID_BASE

0x200000

#define RSM_RSMLIB_ID_END

0x2FFFFF

#define RSM_DLPI_ID_BASE

0x300000

#define RSM_DLPI_ID_END

0x3FFFFF

#define RSM_HPC_ID_BASE

0x400000

#define RSM_HPC_ID_END

0x4FFFFF

次に示す範囲は、公開値が 0 の場合、システムによる割り当て用に予約されています。

#define RSM_USER_APP_ID_BASE

0x80000000

#define RSM_USER_APP_ID_END

0xFFFFFFF

セグメントの再発行

int rsm_memseg_export_republish( rsm_memseg_export_handle_t memseg, rsmapi_access_entry_t access_list[], uint_t access_list_length);

この関数は、ノードのアクセス (制御) リストとセグメントのアクセスモードを新たに確立します。これらの変更は将来のインポート呼び出しだけに影響し、すでに許可されているインポート要求は取り消しません。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_SEG_NOT_PUBLISHED

セグメントが公開されていません。

RSMERR_BAD_ACL

アクセス制御リストが無効です。

RSMERR_NOT_CREATOR

セグメントの作成者ではありません。

RSMERR_INSUFFICIENT_MEM

メモリーが不足しています。

RSMERR_INSUFFICIENT_RESOURCES

リソースが不足しています。

RSMERR_INTERRUPTED

シグナルによって操作が割り込まれました。

セグメントの公開解除

int rsm_memseg_export_unpublish(rsm_memseg_export_handle_t memseg);

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_SEG_NOT_PUBLISHED

セグメントが公開されていません。

RSMERR_NOT_CREATOR

セグメントの作成者ではありません。

RSMERR_INTERRUPTED

シグナルによって操作が割り込まれました。

メモリーセグメントの再バインド

再バインド操作は、エクスポートセグメントの現在のバッキングストアを解放します。現在のバッキングストアを解放した後、再バインド操作は、新しいバッキングストアを割り当てます。まず始めにアプリケーションは、セグメント用の新しい仮想メモリー割り当てを取得する必要があります。この操作はセグメントのインポータに透過的です。


注 –

アプリケーションは、再バインド操作が完了するまで、セグメントデータへアクセスしてはいけません。再バインド中にセグメントからデータを取得しようとしてもシステムエラーにはなりませんが、このような操作の結果は定義されていません。


セグメントの再バインド

int rsm_memseg_export_rebind( rsm_memseg_export_handle_t memseg, void *vaddr, offset_t off, size_t size);

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_LENGTH

長さが無効です。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが無効です。

RSMERR_REBIND_NOT_ALLOWED

再バインドは許可されていません。

RSMERR_NOT_CREATOR

セグメントの作成者ではありません。

RSMERR_PERM_DENIED

アクセス権がありません。

RSMERR_INSUFFICIENT_MEM

メモリーが不足しています。

RSMERR_INSUFFICIENT_RESOURCES

リソースが不足しています。

RSMERR_INTERRUPTED

シグナルによって操作が割り込まれました。

インポート側のメモリーセグメント操作

インポート側の操作には、次の操作が含まれます。

接続操作は、RSM インポートセグメントを作成して、エクスポートされたセグメントとの論理的な接続を形成するときに使用します。

インポートされたセグメントメモリーへのアクセスは、次の 3 つのインタフェースカテゴリによって実現されます。

メモリーセグメントの接続と切断

セグメントへの接続

int rsm_memseg_import_connect( rsmapi_controller_handle_t controller, rsm_node_id_t node_id, rsm_memseg_id_t segment_id, rsm_permission_t perm, rsm_memseg_import_handle_t *im_memseg );

この関数は、指定されたアクセス権 perm を使用してリモートノード node_id 上にある セグメント segment_id に接続します。セグメントに接続した後、この関数はセグメントハンドルを返します。

引数 perm は、当該接続のインポータによって要求されるアクセスモードを指定します。接続を確立するとき、エクスポータが指定したアクセス権とインポータが使用するアクセスモード、ユーザー要求されるアクセスモードが無効な場合、接続要求は拒否されます。なお、perm 引数は次の 8 進数値に制限されます。

0400

読み取りモード

0200

書き込みモード

0600

読み取りおよび書き込みモード

指定されたコントローラは、セグメントのエクスポートに使用されるコントローラと物理的に接続されている必要があります。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_CTLR_HNDL

コントローラハンドルが無効です。

RSMERR_CTLR_NOT_PRESENT

コントローラが存在しません。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_PERM_DENIED

アクセス権がありません。

RSMERR_SEG_NOT_PUBLISHED_TO_NODE

セグメントがノードに公開されていません。

RSMERR_SEG_NOT_PUBLISHED

セグメントが公開されていません。

RSMERR_REMOTE_NODE_UNREACHABLE

リモートノードに到達できません。

RSMERR_INTERRUPTED

接続が割り込まれました。

RSMERR_INSUFFICIENT_MEM

メモリーが不足しています。

RSMERR_INSUFFICIENT_RESOURCES

リソースが不足しています。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが不正です。

セグメントからの切断

int rsm_memseg_import_disconnect(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg);

この関数はセグメントを切断します。セグメントを切断した後、この関数はセグメントのリソースを解放します。切断されたセグメントへの既存のマッピングはすべて削除されます。ハンドル im_memseg は解放されます。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_SEG_STILL_MAPPED

セグメントがマッピングされたままになっています。

RSMERR_POLLFD_IN_USE

pollfd は使用中です。

メモリーアクセスプリミティブ

次のインタフェースは、8 ビットから64 ビットまでのデータを転送するためのメカニズムを提供します。get インタフェースは、プロセスがメモリー上の連続するデータから読みとるべき、与えられたサイズのデータ項目の数を示すリピートカウント (rep_cnt) を使用します。メモリー上の連続するデータは、インポートされたセグメントのオフセット (offset) から始まります。データは datap から始まる連続する場所に書き込まれます。put インタフェースは、リピートカウント (rep_cnt) を使用して、プロセスが読み取るべきデータ項目数を指定します。連続する場所は、datap から始まります。データは次に、インポートされたセグメントの offset から始まる連続する場所に書き込まれます。

これらのインタフェースはまた、読み取り元と書き込み先のエンディアン特性に互換性がない場合にバイトを交換するメカニズムも提供します。

関数のプロトタイプ:

int rsm_memseg_import_get8(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint8_t *datap, ulong_t rep_cnt);
int rsm_memseg_import_get16(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint16_t *datap, ulong_t rep_cnt);
int rsm_memseg_import_get32(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint32_t *datap, ulong_t rep_cnt);
int rsm_memseg_import_get64(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint64_t *datap, ulong_t rep_cnt);
int rsm_memseg_import_put8(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint8_t *datap, ulong_t rep_cnt);
int rsm_memseg_import_put16(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint16_t *datap, ulong_t rep_cnt);
int rsm_memseg_import_put32(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint32_t *datap, ulong_t rep_cnt);
int rsm_memseg_import_put64(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset, uint64_t *datap, ulong_t rep_cnt);

次のインタフェースは、セグメントアクセス操作がサポートするデータよりも大きなデータを転送するときに使用します。

セグメントの書き込み

int rsm_memseg_import_put( rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset , void *src_addr, size_t length );

この関数は、src_addrlength で指定されたローカルメモリーから、対応するインポートされたセグメントのハンドルとオフセットで指定された場所にデータを書き込みます。

セグメントの読み取り

int rsm_memseg_import_get( rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, off_t offset , void *dst_addr, size_t length );

この関数は rsm_memseg_import_put() と似ていますが、データはインポートされたセグメントから dest_vec で定義されたローカル領域に移動します。

put ルーチンと get ルーチンは、引数 offset で指定したバイトオフセット位置から、指定された量のデータを書き込みまたは読み込みます。これらのルーチンはセグメントのベースから開始します。オフセットは適切な境界に整列している必要があります。たとえば、rsm_memseg_import_get64() の場合、offsetdatap はダブルワード境界に整列している必要がありますが、rsm_memseg_import_put32() の場合、offset はワード境界に整列している必要があります。

デフォルトでは、セグメントのバリアモード属性は暗黙的 (implicit) です。暗黙的なバリアモードは、操作から戻ってきたときにはデータ転送が完了または失敗していると呼び出し元が仮定していることを意味します。デフォルトのバリアモードは暗黙的であるため、アプリケーションはバリアを初期化する必要があります。デフォルトのバリアモードを使用するとき、put ルーチンまたは get ルーチンを呼び出す前に、アプリケーションは rsm_memseg_import_init_barrier() 関数を使用してバリアを初期化します。明示的な操作モードを使用するには、呼び出し元はバリア操作を使用して転送を強制的に完了させる必要があります。転送を強制的に完了させた後、結果としてエラーが発生したかどうかを判断する必要があります。


注 –

オフセットを rsm_memseg_import_map() ルーチンに渡すことによって、インポートセグメントは部分的にマッピングできます。インポートセグメントを部分的にマッピングする場合、put ルーチンまたは get ルーチンの offset 引数はセグメントのベースからです。ユーザーは、正しいバイトオフセットが put ルーチンまたは get ルーチンに渡されていることを確認する必要があります。


戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが不正です。

RSMERR_BAD_MEM_ALIGNMENT

メモリー整列が無効です。

RSMERR_BAD_OFFSET

オフセットが無効です。

RSMERR_BAD_LENGTH

長さが無効です。

RSMERR_PERM_DENIED

アクセス権がありません。

RSMERR_BARRIER_UNINITIALIZED

バリアが初期化されていません。

RSMERR_BARRIER_FAILURE

入出力完了エラー

RSMERR_CONN_ABORTED

接続が中断されました。

RSMERR_INSUFFICIENT_RESOURCES

リソースが不足しています。

Scatter-Gather アクセス

rsm_memseg_import_putv()rsm_memseg_import_getv () 関数を使用すると、単一の読み取り元アドレスや単一の書き込み先アドレスではなく、入出力要求のリストを使用できます。

関数のプロトタイプ:

int rsm_memseg_import_putv(rsm_scat_gath_t *sg_io);
int rsm_memseg_import_getv(rsm_scat_gath_t *sg_io);

Scatter-Gather リスト (sg_io) の入出力ベクトル構成要素を使用すると、ローカル仮想アドレスまたは local_memory_handles を指定できます。ハンドルはローカルアドレス範囲を繰り返して使用するための効率的な方法です。割り当てられたシステムリソース (ロックダウンされたローカルメモリーなど) はハンドルが解放されるまで保持されます。ハンドルをサポートする関数は rsm_create_localmemory_handle()rsm_free_localmemory_handle() です。

仮想アドレスやハンドルは、ベクトルに集めて、単一のリモートセグメントに書き込むことができます。この結果はまた、単一のリモートセグメントから読み取って、仮想アドレスまたはハンドルのベクトルに分散できます。

ベクトル全体の入出力は関数が返る前に初期化されます。インポートセグメントのバリアモード属性は、関数が返る前に入出力が完了しているかどうかを判断します。バリアモード属性を implicit (暗黙的) に設定すると、ベクトルに入った順番でデータ転送が完了することが保証されます。リストの各エントリは、暗黙的なバリアの開く操作と閉じる操作によって囲まれます。エラーが検出された場合、ベクトルの入出力は中断され、関数はすぐに返ります。残りのカウントは、入出力が完了または初期化されなかったエントリの数を示します。

putv 操作または getv 操作が正常に完了した場合に通知イベントをターゲットセグメントに送信することを指定できます。通知イベントを送信することを指定するには、rsm_scat_gath_t 構造体の flags エントリに RSM_IMPLICIT_SIGPOST 値を指定します。また、flags エントリに RSM_SIGPOST_NO_ACCUMULATE を指定しておくと、RSM_IMPLICIT_SIGPOST が設定されたときに、この値がシグナルポスト操作に渡されます。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SGIO

Scatter-Gather 構造体ポインタが無効です。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_CTLR_HNDL

コントローラハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが不正です。

RSMERR_BAD_OFFSET

オフセットが無効です。

RSMERR_BAD_LENGTH

長さが無効です。

RSMERR_PERM_DENIED

アクセス権がありません。

RSMERR_BARRIER_FAILURE

入出力完了エラー

RSMERR_CONN_ABORTED

接続が中断されました。

RSMERR_INSUFFICIENT_RESOURCES

リソースが不足しています。

RSMERR_INTERRUPTED

シグナルによって操作が割り込まれました。

ローカルハンドルの取得

int rsm_create_localmemory_handle(rsmapi_controller_handle_t cntrl_handle, rsm_localmemory_handle_t *local_handle, caddr_t local_vaddr , size_t length);

この関数は、後続の putv または getv への呼び出しの入出力ベクトルで使用するためのローカルハンドルを取得します。ロックダウンの可能性があるので、メモリーがローカルハンドルによってスパンされている場合は特に、可能な限りハンドルを解放して、システムリソースを節約してください。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_CTLR_HNDL

コントローラハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_LOCALMEM_HNDL

ローカルメモリーハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_LENGTH

長さが無効です。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが無効です。

RSMERR_INSUFFICIENT_MEM

メモリーが不足しています。

ローカルハンドルの解放

rsm_free_localmemory_handle( rsmapi_controller_handle_t cntrl_handle, rsm_localmemory_handle_t handle);

この関数は、ローカルハンドルに関連するシステムリソースを解放します。プロセスが終了するときにはプロセスに属するすべてのハンドルが解放されますが、この関数を呼び出すことでシステムリソースを節約できます。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_CTLR_HNDL

コントローラハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_LOCALMEM_HNDL

ローカルメモリーハンドルが無効です。

次の例に、プライマリデータ構造体の定義を示します。


例 2–1 プライマリデータ構造体

typedef void *rsm_localmemory_handle_t
typedef struct {
   ulong_t	io_request_count;	number of rsm_iovec_t entries
   ulong_t	io_residual_count;	rsm_iovec_t entries not completed 

   in	flags;      
   rsm_memseg_import_handle_t		remote_handle; opaque handle for
                                                    import segment
   rsm_iovec_t							*iovec;		  pointer to
                                                    array of io_vec_t
} rsm_scat_gath_t;

typedef struct {
   int	io_type;		HANDLE or VA_IMMEDIATE
   union {
        rsm_localmemory_handle_t	handle;			used with HANDLE
        caddr_t						virtual_addr;		used with
                                                         VA_IMMEDIATE
    } local;
   size_t          local_offset;		       offset from handle base vaddr
   size_t          import_segment_offset;    offset from segment base vaddr
   size_t          transfer_length; 
} rsm_iovec_t; 

セグメントのマッピング

マッピング操作は、ネイティブなアーキテクチャの相互接続 (Dolphin-SCI や NewLink など) だけで利用できます。セグメントをマッピングすることによって CPU メモリー操作がそのセグメントにアクセスできるようになるので、メモリーアクセスプリミティブを呼び出すオーバーヘッドを省くことができます。

インポートされたセグメントのマッピング

int rsm_memseg_import_map(rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, void **address, rsm_attribute_t attr, rsm_permission_t perm, off_t offset, size_t length);

この関数は、インポートされたセグメントを呼び出し元のアドレス空間にマッピングします。属性 RSM_MAP_FIXED が指定されている場合、この関数は **address に指定された値にあるセグメントをマッピングします。

typedef enum {
RSM_MAP_NONE = 0x0,   /* システムは使用できる仮想アドレスを選択する */
RSM_MAP_FIXED = 0x1,  /* セグメントを指定された仮想アドレスにマッピングする */
} rsm_map_attr_t;

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_ADDR

アドレスが無効です。

RSMERR_BAD_LENGTH

長さが無効です。

RSMERR_BAD_OFFSET

オフセットが無効です。

RSMERR_BAD_PERMS

アクセス権がありません。

RSMERR_SEG_ALREADY_MAPPED

セグメントはすでにマッピングされています。

RSMERR_SEG_NOT_CONNECTED

セグメントは接続されていません。

RSMERR_CONN_ABORTED

接続が中断されました。

RSMERR_MAP_FAILED

マッピング中にエラーが発生しました。

RSMERR_BAD_MEM_ALIGNMENT

アドレスがページ境界に整列されていません。

セグメントのマッピング解除

int rsm_memseg_import_unmap (rsm_memseg_import_handle_t im_memseg );

この関数は、ユーザーの仮想アドレス空間からインポートされたセグメントをマッピング解除します。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

バリア操作

バリア操作は、書き込みアクセス順番メモリーモデルに関する問題を解決するときに使用します。バリア操作は、リモートメモリーアクセスエラーを検出することもできます。

バリアメカニズムには、次のような操作が含まれます。

開く操作と閉じる操作は、エラーの検出と順番の決定を行う期間 (span-of-time) を定義します。初期化操作は、インポートされたセグメントごとにバリアの作成とバリアのタイプの指定を可能にします。現在サポートされるバリアのタイプだけが、セグメントごとに期間 (span-of-time) を持っています。タイプ引数には RSM_BAR_DEFAULT を使用してください。

閉じる操作を正常に実行することによって、バリアを開いてから閉じるまでの間に発生するアクセス操作が正常に完了することが保証されます。バリアを開いた後、個々のデータアクセス操作 (読み取りと書き込みの両方) が失敗しても、バリアを閉じるまでは報告されません。

バリアの有効範囲内で書き込みの順番を決定するには、明示的なバリア順番決定操作を使用します。バリア順番決定操作の前に発行された書き込み操作は、バリア順番決定操作後に発行された操作よりも前に完了します。あるバリアの有効範囲内の書き込み操作の順番は別のバリアの有効範囲を基準にして決定されます。

バリアの初期化

int rsm_memseg_import_init_barrier (rsm_memseg_import_handle_t im_memseg , rsm_barrier_type_t type, rsmapi_barrier_t *barrier);

注 –

現在のところ、サポートされるタイプは RSM_BAR_DEFAULT だけです。


戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_BARRIER_PTR

バリアポインタが無効です。

RSMERR_INSUFFICIENT_MEM

メモリーが不足しています。

バリアを開く

int rsm_memseg_import_open_barrier (rsmapi_barrier_t *barrier);

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_BARRIER_PTR

バリアポインタが無効です。

バリアを閉じる

int rsm_memseg_import_close_barrier (rsmapi_barrier_t *barrier);

この関数はバリアを閉じて、すべてのストアバッファーをフラッシュします。この関数は、rsm_memseg_import_close_barrier() の呼び出しが失敗した場合、最後の rsm_memseg_import_open_barrier 呼び出しまで、呼び出し元プロセスがすべてのリモートメモリー操作を再試行することを前提にして呼び出されます。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_BARRIER_PTR

バリアポインタが無効です。

RSMERR_BARRIER_UNINITIALIZED

バリアが初期化されていません。

RSMERR_BARRIER_NOT_OPENED

バリアが開かれていません。

RSMERR_BARRIER_FAILURE

メモリーアクセスエラー

RSMERR_CONN_ABORTED

接続が中断されました。

バリアの順番決定

int rsm_memseg_import_order_barrier (rsmapi_barrier_t *barrier);

この関数は、すべてのストアバッファーをフラッシュします。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_BARRIER_PTR

バリアポインタが無効です。

RSMERR_BARRIER_UNINITIALIZED

バリアが初期化されていません。

RSMERR_BARRIER_NOT_OPENED

バリアが開かれていません。

RSMERR_BARRIER_FAILURE

メモリーアクセスエラー

RSMERR_CONN_ABORTED

接続が中断されました。

バリアの破壊

int rsm_memseg_import_destroy_barrier(rsmapi_barrier_t *barrier);

この関数は、すべてのバリアリソースの割り当てを解除します。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_BAD_BARRIER_PTR

バリアポインタが無効です。

モードの設定

int rsm_memseg_import_set_mode (rsm_memseg_import_handle_t im_memseg, rsm_barrier_mode_t mode);

この関数は、put ルーチンで利用できるオプションの明示的なバリアの有効範囲決定をサポートします。有効なバリアモードは、RSM_BARRIER_MODE_EXPLICITRSM_BARRIER_MODE_IMPLICIT の 2 つです。バリアモードのデフォルト値は RSM_BARRIER_MODE_IMPLICIT です。暗黙モードでは、put 操作ごとに暗黙的なバリアの開く操作と閉じる操作が適用されます。バリアモードを RSM_BARRIER_MODE_EXPLICIT に設定する前は、rsm_memseg_import_init_barrier ルーチンを使用して、インポートされたセグメント im_memseg 用のバリアを初期化する必要があります。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

モードの取得

int rsm_memseg_import_get_mode (rsm_memseg_import_handle_t im_memseg , rsm_barrier_mode_t *mode);

この関数は、put ルーチンにおける現在のバリアの有効範囲決定のモード値を取得します。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

イベント操作

イベント操作によって、プロセスはメモリーアクセスイベントと同期をとることができます。rsm_intr_signal_wait() 関数を使用できない場合、 rsm_memseg_get_pollfd() でポーリング記述子を取得し、poll システムコールを使用することによって、プロセスはイベント待機を多重送信できます。


注 –

rsm_intr_signal_post() 操作と rsm_intr_signal_wait() 操作を使用すると、カーネルへの ioctl 呼び出しを処理する必要が生まれます。


シグナルの送信

int rsm_intr_signal_post (void *memseg, uint_t flags);

ボイドポインタ *memseg を使用すると、インポートセグメントハンドルまたはエクスポートセグメントハンドルのどちらでもタイプキャスト (型変換) できます。*memseg がインポートセグメントハンドルを参照している場合、この関数はエクスポートしているプロセス (エクスポータ) にシグナルを送信します。*memseg がエクスポートセグメントハンドルを参照している場合、この関数はそのセグメントのすべてのインポータにシグナルを送信します。flags 引数に RSM_SIGPOST_NO_ACCUMULATE を設定すると、あるイベントがすでにターゲットセグメントに対して保留中である場合、当該イベントを破棄します。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_REMOTE_NODE_UNREACHABLE

リモートノードに到達できません。

シグナルの待機

int rsm_intr_signal_wait (void * memseg, int timeout);

ボイドポインタ *memseg を使用すると、インポートセグメントハンドルまたはエクスポートセグメントハンドルのどちらでもタイプキャスト (型変換) できます。プロセスは timeout ミリ秒まで、あるいは、イベントが発生するまでブロックされます。値が -1 の場合、プロセスはイベントが発生するまで、あるいは、割り込みが発生するまでブロックされます。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

RSMERR_TIMEOUT

タイマーが満了しました。

RSMERR_INTERRUPTED

待機中に割り込みが発生しました。

pollfd の取得

int rsm_memseg_get_pollfd (void *memseg, struct pollfd *pollfd );

この関数は、指定された pollfd 構造体を、指定されたセグメントの記述子と rsm_intr_signal_post() で生成された単一固定イベントで初期化します。pollfd 構造体を poll システムコールで使用すると、rsm_intr_signal_post によってシグナル送信されるイベントを待機します。メモリーセグメントがまだ公開されていな い場合、poll システムコールは有効なpollfd を返しません。呼び出しが成功するたびに、指定されたセグメントの pollfd 参照カウントがインクリメントします。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。

pollfd の解放

int rsm_memseg_release_pollfd(oid *memseg);

この呼び出しは、指定されたセグメントの pollfd 参照カウントをデクリメントします。参照カウントが 0 以外の場合、セグメントを公開解除、破壊、またはマッピング解除する操作は失敗します。

戻り値: 成功した場合、0 を返します。そうでない場合、エラー値を返します。

RSMERR_BAD_SEG_HNDL

セグメントハンドルが無効です。