MDB は Solaris 2.6 より前の Solaris オペレーティング環境のリリースで生成されたプロセスコアファイルの調査をサポートしません。あるオペレーティングシステムのリリースで生成されたコアファイルを別のオペレーティングシステムのリリースで調査する場合、実行時リンクエディタのデバッギングインタフェース (librtld_db) は初期化できない可能性があります。この場合、共用ライブラリのシンボル情報は利用できません。さらに、共用マッピングはユーザーのコアファイル内には存在しないので、共用ライブラリのテキストセクションと読み取り専用データは、コアがダンプされた時点にプロセス内に存在していたデータと一致しない可能性があります。Intel 版の Solaris システムから生成されたコアファイルは SPARC 版の Solaris システムでは調査できず、その逆もできません。
Solaris 7 以前のリリースで生成されたクラッシュダンプを調査するには、対応するオペレーティングシステムのリリース用の libkvm が必要です。あるオペレーティングシステムのリリースで生成されたクラッシュダンプを別のオペレーティングシステムのリリースで dmod を使用して調査する場合、カーネルの実装によっては、いくつかの dcmd や walker が適切に動作しない可能性があります。この状況を検出すると、MDB は警告メッセージを発行します。Intel 版の Solaris システムから生成されたクラッシュダンプは SPARC 版の Solaris システムでは調査できず、その逆もできません。
MDB は 32 ビットと 64 ビットの両方のプログラムのデバッグをサポートします。ターゲットのプログラムを調査して、そのデータモデルを決定した後、MDB は必要に応じて自動的に、ターゲットと同じデータモデルを持つ mdb バイナリを実行し直します。このアプローチによって、読み込まれたモジュールがプライマリターゲットと同じデータモデルを使用するので、 デバッガモジュールを作成する作業が簡単になります。64 ビットのターゲットプログラムをデバッグできるのは 64 ビットのデバッガだけです。64 ビットのデバッガを使用できるのは 64 ビットのオペレーティング環境が動作しているシステム上だけです。
mdb(1) のマニュアルページには、組み込み mdb 機能についての開発者向けの詳細な情報が記載されています。ヘッダーファイル <sys/mdb_modapi.h> には MDB モジュール API にある関数用のプロトタイプが入っており、SUNWmdbdm パッケージにはディレクトリ /usr/demo/mdb にあるサンプルモジュール用のソースコードが入っています。