次の図は、diffserv 対応環境を部分的に備えた企業のイントラネット部分を示しています。 このシナリオでは、ネットワーク 10.10.0.0 および 10.14.0.0 上のホストはすべて IPQoS に対応しており、ローカルルーターは diffserv に対応しています。 しかし、間にある 2 つのネットワークは diffserv に対応していません。
次の手順は、前の図に示すパケットの流れをたどっています。 この手順では、パケットがホスト ipqos1 から送出され、いくつかのホップを通って ipqos2 に進みます。
ipqos1 のユーザーが ftp コマンドを実行して、3 ホップ離れたところにあるホスト ipqos2 にアクセスしようとします。
ipqos1 が、発生したパケットフローに QoS ポリシーを適用し、ftp トラフィックの分類に成功します。
システム管理者は、ローカルネットワーク 10.10.0.0 から送出されるすべての発信 ftp トラフィックに対して、あらかじめ 1 つのクラスを作成しています。この ftp クラスのトラフィックには、AF22 PHB (クラス 2、中程度のドロップ優先度) が割り当てられており、2 Mbps のトラフィックフロー速度が設定されています。
ipqos1 が ftp フローを計測して、2 Mbps の認定速度を超えていないかどうか調べます。
ipqos1 上のマーカーが、発信 ftp パケットの DS フィールドに 010100 DSCP (AF22 PHB に対応している) を付加します。
ルーター diffrouter1 が ftp パケットを受け取り、DSCP をチェックします。 diffrouter1 に輻輳があった場合、AF22 クラスのパケットはドロップされます。
diffrouter1 のファイルで AF22 に対して設定されている PHB に合わせて、ftp トラフィックが次のホップに転送されます。
ftp トラフィックがネットワーク 10.12.0.0 を通って genrouter に進みます。genrouter は diffserv に対応していません。その結果、トラフィックは ベストエフォートの転送動作を与えられます。
genrouter が ftp トラフィックをネットワーク 10.13.0.0 に渡し、diffrouter2 がそのトラフィックを受け取ります。
diffrouter2 は diffserv に対応しています。 したがって、ルーターのポリシーで AF22 パケットに対して定義されている PHB に合わせて、ftp パケットをネットワークに転送します。
ipqos2 が ftp トラフィックを受け取り、ipqos1 上のユーザーにユーザー名とパスワードの入力を求めるプロンプトを表示します。