dlcosmk マーカーモジュールは、データグラムの MAC ヘッダー内に転送動作をマークします。VLAN インタフェースを持つ IPQoS システムでだけ、dlcosmk を使用できます。
dlcosmk は、「VLAN タグ」と呼ばれる 4 バイトを MAC ヘッダーに追加します。VLAN タグには、IEEE 801.D 標準に定義されている 3 ビットのユーザー優先順位値が含まれます。VLAN を認識する Diffserv 対応スイッチは、データグラム内のユーザー優先順位フィールドを読み取ることができます。801.D ユーザー優先順位値は、サービスクラス (CoS) マークを実装します。CoS マークは、商用スイッチで一般的に使われています。
次の表に示すサービスクラスマークを定義することにより、dlcosmk マーカーアクション内でユーザー優先順位値を使用できます。
表 6–3 801.D ユーザー優先順位値
サービスクラス |
定義 |
---|---|
0 |
ベストエフォート |
1 |
バックグラウンド |
2 |
スペア |
3 |
エクセレントエフォート |
4 |
制御された負荷 |
5 |
応答時間 100ms 未満のビデオ |
6 |
応答時間 10ms 未満のビデオ |
7 |
ネットワーク制御 |
dlcosmk の詳細は、dlcosmk(7ipp) のマニュアルページを参照してください。
ここでは、VLAN デバイスを持つシステムでの IPQoS の実装方法を示す、単純なネットワークのシナリオを紹介します。このシナリオには、スイッチで接続された 2 つの IPQoS システム、すなわち machine1 および machine2 が含まれます。machine1 上の VLAN デバイスの IP アドレスは 10.10.8.1、machine2 上の VLAN デバイスの IP アドレスは 10.10.8.3 です。
次に示す machine1 用 IPQoS 構成ファイルは、machine2 へのスイッチを介してトラフィックをマークするための簡単なソリューションを表します。
fmt_version 1.0 action { module ipgpc name ipgpc.classify filter { name myfilter2 daddr 10.10.8.3 class myclass } class { name myclass next_action mark4 } } action { name mark4 module dlcosmk params { cos 4 next_action continue global_stats true } }
この構成では、machine2 上の VLAN デバイスを着信先とする machine1 からのすべてのトラフィックが、dlcosmk マーカーに渡されます。マーカーアクション mark4 は、dlcosmk に対し、myclass クラスのデータグラムに CoS 4 の VLAN マークを追加するよう指示します。ユーザー優先順位置 4 は、2 つのマシン間のスイッチが、 machine1 からの myclass トラフィックフローに対して制御された負荷転送を与えることを示します。