NIS+ 名前空間を構成する前に、次の作業を行う必要があります。
NIS+ を使用するすべてのマシンの nsswitch.conf ファイルを正しく構成します。詳細は、第 1 章「ネームサービススイッチ」を参照してください。
NIS+ 名前空間のレイアウトを設計します。これには次の 2 つの作業があります。
名前空間の設計。どんなドメイン名を付けるか。サブドメインを作るか。サブドメインを作るとしたら、それらをどのように編成するか。どのマシンをどのドメインに入れるか。ドメインを上位のドメインあるいはインターネットに接続するか。
サーバー要件の確認。各ドメインに複製サーバーをいくつ置くか。必要なサーバーの種類、処理速度、メモリ容量はどれほどか。サーバーのディスク容量はどれくらい必要か。
名前空間の設計および推奨値の詳細については、第 26 章「NIS から NIS+ への移行」を参照してください。
名前空間がすでに存在している場合、NIS+ に移行するための準備をします。名前空間がすでに存在する場合の設定 を参照してください。
ルートサーバーマシンを選択します。
ルートマスターサーバーとして使用できるシステムが少なくとも 1 つは稼動していることを確認します。ルートマスターサーバーでは、/etc/passwd などのシステム情報ファイルに少なくとも 1 人のユーザー (root) が登録されていなければなりません 。通常のマシンのシステム情報ファイルには root が存在しますので、これが問題となることはないはずです。
NIS と NIS+ は、いくつかの同じ作業を行います。ただし NIS+では、NIS で提供されない階層ドメイン、名前空間セキュリティ、その他の機能が使用できます。NIS と NIS+ の相違点の詳細は、第 26 章「NIS から NIS+ への移行」を参照してください。
NIS 管理者は、以下に示す原則および条件下で NIS を NIS+ と共に使用できます。
同一ドメインに NIS サーバーと NIS+ サーバーの両方が存在する NIS 管理者は、同一ドメインで NIS サーバーと NIS+ サーバーの両方を動作させることは可能ですが、このような動作を長時間行わせることは望ましくありません。一般に、同一ドメイン内での NIS サーバーと NIS+ サーバーを両方使用するのは、NIS から NIS+ への短い移行期間だけに制限するべきです。クライアントから NIS サービスの要求があった場合に、NIS 管理者は、NIS+ を NIS 互換モードで動作させることができます。詳細は、第 26 章「NIS から NIS+ への移行」を参照してください。
サブドメインNIS 管理者のルートドメインのマスターサーバーで NIS+ が動作している場合は、NIS 管理者は、すべてのサーバーで NIS が動作しているサブドメインを設定できます。NIS 管理者のルートドメインのマスターサーバーで NIS が動作している場合は、NIS 管理者はサブドメインの設定はできません。この操作は、NIS 管理者が NIS から NIS+ に切り換えるときに有用であるかもしれません。たとえば、互いに独立した複数の NISドメイン (ドメインは地理的に別々のサイトに置かれていることもある) を持った会社の中で、NIS 管理者がそれらのドメインをすべてリンクさせて NIS+ の下に1つの階層型マルチドメイン名前空間を構築するケースを考えてみます。この場合、NIS 管理者はまずルートドメインを NIS+ 下に設定し、次に従来の NISドメインをサブドメインとして指定できます。これらのサブドメインでは、NIS+ への切り換えが行われるまで NIS が継続して動作します。
同一ドメインに複数のマシンが存在する
同一ドメイン内のサーバーで NIS+ が動作している場合は、NIS+、NIS、または /etc ファイルを使ってネームサービス情報を取得するように、ドメイン内の各マシンを設定できます。NIS+ サーバーが NIS クライアントのニーズを満たすには、この NIS+ サーバーが NIS 互換モードで動作している必要があります。第 26 章「NIS から NIS+ への移行」を参照してください。
同一ドメイン内のサーバーで NIS が動作している場合は、NIS または /etc ファイルを使ってネームサービス情報を取得するように、このドメイン内の各マシンを設定できます (各マシンは NIS+ を使用することはできません) 。