Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : FNS、NIS+ 編)

FNS コンテキストのコピーと変換

fncopy コマンドは、FNS のコンテキストと属性を新しい FNS コンテキストにコピー、または変換するために使用できます。

-i および -o オプションを使用すると、あるエンタープライズレベルのネームサービスに基く FNS コンテキストを、異なるネームサービスに基くコンテキストにコピーできます。たとえば、NIS の上部で実行される FNS インストール環境があって、NIS サービスを NIS+ にアップグレードする場合、fncopy を使用すると、NIS+ を使って新しいコンテキストを作成できます。

以下の点に注意してください。

表 25–9 fncopyコマンドオプション

オプション 

説明 

-i oldservice

エンタープライズレベルの古い (入力) 基本ネームサービス。たとえば、-i nis は、古いサービスが NIS であることを指定する。指定できる値は、filesnisnisplus

-o newservice

エンタープライズレベルの新しい (出力) ネームサービス。たとえば、-o nisplus は、新しいサービスが NIS+ であることを指定する。指定できる値は、filesnisnisplus

-f filename

コピーされる FNS コンテキストのリストが入っているテキストファイル。-i および -o オプションを指定しない場合、コンテキストは、グローバル名を使用する識別子でなければならない

oldcontext

コピーされるコンテキスト名 

newcontext

作成先またはコピー先のコンテキスト名 

たとえば、doc.com プリンタコンテキスト (およびサブコンテキスト) と割り当てを orgunit/east/doc.com にコピーするには、次のコマンドを実行します。


# fncopy .../doc.com/service/printer .../doc.com/orgunit/east/service/printer

ファイル user_list に指定された NIS FNS ユーザーのコンテキストを、orgunit west/doc.com の NIS+ FNS ユーザーのコンテキストにコピーするには、次のコマンドを実行します。


# fncopy -i nis -o nisplus -f /etc/user_list thisorgunit/user org/doc.com/user