NIS+ 環境 (passwd コマンドと NIS+ 環境を参照) で passwd コマンドを使用してパスワードのロックができるのは、該当ユーザーの passwd テーブル中のエントリに対する変更権を持っている管理者 (グループのメンバー) です。パスワードがロックされると、そのアカウントは使用できなくなります。また、パスワードがロックされているユーザー名を使ってログインをしようとすると、「Login incorrect」というメッセージが表示されます。
該当ユーザーがすでにログインしている場合、パスワードをロックすることによる影響は現れないという点に注意してください。ただ、パスワードの入力が必要になる login、rlogin、ftp、telnet などの機能は使用できなくなります。
すでにログインしているユーザーのパスワードをロックしても、そのユーザーが passwd コマンドでパスワードを変更するとロックは解除されます。
以下のようなことが有効です。
セキュリティ上の問題が発生している可能性があれば、すぐに一部のユーザーのパスワードをロックする
解雇になったユーザーのパスワードをすぐにロックする。ユーザーのアカウントを削除するより速く容易に行える上、そのアカウントに格納されているデータをそのまま容易に保管できる
UNIX プロセスにパスワードを設定している場合には、この種のパスワードもロックできる。パスワードがロックされてもプロセスの実行はできるが、プロセスを使用してログインすることは (たとえパスワードを知っていても) できなくなる。多くの場合、プロセスは NIS+ 主体の形では設定されない。しかしプロセスのパスワード情報は、/etc ディレクトリのファイルに保存される。このとき /etc に格納されたパスワードをロックするにはファイルモードで passwd コマンドを実行する必要がある。
パスワードのロックは以下のように行います。
passwd -l username |
パスワードのロックは、パスワードを変更すれば解除されます。この場合、「変更」とは必ずしもパスワードを新しいものに変えるという意味ではなく、パスワード変更の手順を踏むということです (元とまったく同じパスワードに「変更する」ということも可能です)。ただし、新しいパスワードに変更することも可能です。
たとえば、jody というユーザーのパスワードのロックを解除するには、以下のように入力します。
station1% passwd jody |