移行を開始するにあたって、次に示す基本的な方針を確認してください。
NIS+ へのアップグレードは、NIS+ を Solaris オペレーティング環境に完全に移行した段階で行ってもかまいません。このようにすれば、リソースを移行作業だけに利用することができます。NIS を Solaris オペレーティング環境上で稼動しながら、NIS+ への移行を準備することができます。
いくつかの手順により、移行を簡略にすることができます。これらの手順を実行すると、NIS+ の効果は減少しますが、サーバーの台数は少なくて済み、管理に要する時間も減ります。移行が完了すれば、NIS+ の設定を変更して、サイトの要求に完全に適合させることができます。次にいくつかの推奨事項を示します。
ドメイン名を変更しない
階層を使用しないで、平坦な NIS+ 名前空間を使用する
Solaris 2.5 以降のリリースを使用する場合は、クライアントの資格を設定しない
移行に使用する Solaris オペレーティング環境と NIS+ のバージョンを決定します。各バージョン間には若干の違いがあるため、複数のバージョンを同時に使用すると、移行の処理が不必要に複雑になります。Solaris 製品の 1 バージョンだけを選択して、それに対応するバージョンの NIS+ を使用してください。
現在のリリースは、設定スクリプトなどのほとんどの機能を備えています。通常の操作に必要な Solaris 2.6 のパッチを用意し、すべてのサーバーとクライアントに同じパッチがインストールされていることを確認してください。
クライアントユーザーに関して、考慮するべき点が 2 つあります。1 つは、ユーザーがサービスの変更に気が付かないようにするということです。もう 1 つは、移行作業そのものがユーザーに与える混乱を最小限に抑えるということです。2 番目のポイントについては、ユーザーに移行作業を要求するのではなく、必ず各ドメインの管理者がそのクライアントマシンの NIS+ への移行作業を行うようにすれば解決できます。これにより、正しい手順が実行され、その手順がクライアントマシン全体でも一貫して実行されます。したがって、問題があっても、管理者がただちに処理することができます。