この章では、Solaris 管理コンソールの資源制御機能とパフォーマンス監視機能について説明します。
このコンソールでは、システムのパフォーマンスを監視したり、プロジェクト、タスク、およびプロセスに資源制御の値を設定したりします。このコンソールは、何台ものシステムに渡って設定されている数百の構成パラメータを管理する際に、コマンド行インタフェース (CLI) の代わりとして使用できる便利で安全なツールです。各システムは個別に管理されます。このコンソールのグラフィカルインタフェースは、ユーザーの経験レベルに合った使い方ができます。
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
Solaris 管理コンソールを使用する |
ローカル環境、ネームサービス環境、またはディレクトリサービス環境で Solaris 管理コンソールを起動する。 ネームサービス環境では、パフォーマンスツールは使用できない |
『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris Management Console を起動する」 および 『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「ネームサービス環境で Solaris 管理ツールを使用する (作業マップ)」 |
システムのパフォーマンスを監視する |
「System Status」の下にある「パフォーマンスツール」にアクセスする | |
プロジェクトに資源制御機能を追加する |
「System Configuration」の下にある「資源制御 (Resource Controls)」タブにアクセスする |
資源管理機能は、Solaris 管理コンソールの構成要素です。このコンソールは、GUI ベースの管理ツールのためのコンテナです。管理ツールはツールボックスと呼ばれるコレクションに格納されています。コンソールとその使用方法については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris Management Console の操作 (手順)」を参照してください。
コンソールとそのツール群のマニュアルは、コンソールのオンラインヘルプで参照できます。オンラインヘルプで参照できるマニュアルの内容については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris Management Console (概要)」を参照してください。
管理範囲とは、選択した管理ツールで使用するネームサービス環境のことです。資源制御機能とパフォーマンスツールを使用するときの管理範囲は、/etc/project ローカルファイルまたは NIS から選択します。
コンソールセッションで選択する管理範囲は、/etc/nsswitch.conf ファイルで特定される最も優先度の高いネームサービスと一致する必要があります。
パフォーマンスツールは、資源の使用状況を監視するために使用します。資源の使用状況をシステム単位で集計したり、プロジェクト単位または個人ユーザー単位で表示したりできます。
パフォーマンスツールは、ナビゲーション区画の「System Status」の下にあります。 パフォーマンスツールにアクセスするには、次の手順に従います。
ナビゲーション区画の「System Status」コントロール要素をクリックします。
このコントロール要素は、ナビゲーション区画のメニュー項目を拡張するために使用します。
「パフォーマンス (Performance)」コントロール要素をクリックします。
「システム (System)」コントロール要素をクリックします。
「概要 (Summary)」、「プロジェクト (Projects)」、または「ユーザー (Users)」をダブルクリックします。
何を選択するかは、監視する対象によって異なります。
次の属性の値が表示されます。
属性 |
説明 |
---|---|
アクティブプロセス (Active Processes) |
システム上でアクティブなプロセス数 |
物理メモリー使用量 (Physical Memory Used) |
使用中のシステムメモリーのサイズ |
物理メモリー空き容量 (Physical Memory Free) |
使用可能なシステムメモリーのサイズ |
スワップ使用量 (Swap Used) |
使用中のシステムスワップ領域のサイズ |
スワップ空き容量 (Swap Free) |
使用可能なシステムスワップ領域のサイズ |
ページング頻度 (Page Rate) |
システムページングの頻度 |
システムコール (System Calls) |
秒当たりのシステムコール数 |
ネットワークパケット (Network Packets) |
秒当たりに送信されるネットワークのパケット数 |
CPU 使用率 (CPU Usage) |
現在使用中の CPU の比率 |
平均負荷率 (Load Average) |
過去 1 分、5 分、または 15 分の間にシステム実行キューに存在した平均プロセス数 |
次の属性の値が表示されます。
属性 |
短縮名 |
説明 |
---|---|---|
入力ブロック (Input Blocks) |
inblk |
読み取られたブロック数 |
書き込まれたブロック (Blocks Written) |
oublk |
書き込まれたブロック数 |
読み取られた/書き込まれた文字数 (Chars Read/Written) |
ioch |
読み取りおよび書き込みが行われた文字数 |
データページフォルトのスリープ時間 (Data Page Fault Sleep Time) |
dftime |
データページフォルトの処理で経過した時間 |
強制的なコンテキストスイッチ (Involuntary Context Switches) |
ictx |
コンテキストの強制的な切り替え数 |
システムモード時間 (System Mode Time) |
stime |
カーネルモードで経過した時間 |
メジャーページフォルト (Major Page Faults) |
majfl |
メジャーページフォルト数 |
受信したメッセージ (Messages Received) |
mrcv |
受信されたメッセージ数 |
送信したメッセージ (Messages Sent) |
msend |
送信されたメッセージ数 |
マイナーページフォルト (Minor Page Faults) |
minf |
マイナーページフォルトの数 |
プロセス数 (Num Processes) |
nprocs |
ユーザーまたはプロジェクトが所有するプロセス数 |
LWP 数 (Num LWPs) |
count |
軽量プロセスの数 |
その他のスリープ時間 (Other Sleep Time) |
slptime |
tftime、dftime、 kftime、 および ltime を除いたスリープ時間 |
CPU 時間 (CPU Time) |
pctcpu |
プロセス、ユーザー、またはプロジェクトが使用した最新の CPU 時間の比率 |
使用メモリー (Memory Used) |
pctmem |
プロセス、ユーザー、またはプロジェクトが使用したシステムメモリーの比率 |
ヒープサイズ (Heap Size) |
brksize |
プロセスのデータセグメントに割り当てられているメモリーサイズ |
常駐サイズ (Resident Set Size) |
rsssize |
プロセスによって要求されている現在のメモリーサイズ |
プロセスイメージサイズ (Process Image Size) |
size |
プロセスイメージのサイズ (K バイト) |
受信したシグナル (Signals Received) |
sigs |
受信されたシグナルの数 |
停止時間 (Stopped Time) |
stoptime |
停止状態で経過した時間 |
スワップ操作 (Swap Operations) |
swaps |
進行中のスワップ操作の数 |
実行されたシステムコール (System Calls Made) |
sysc |
設定された (直前の) 時間間隔で実行されたシステムコール数 |
システムページフォルトのスリープ時間 (System Page Fault Sleep Time) |
kftime |
ページフォルトの処理で経過した時間 |
システムトラップ時間 (System Trap Time) |
ttime |
システムトラップの処理で経過した時間 |
テキストページフォルトのスリープ時間 (Text Page Fault Sleep Time) |
tftime |
テキストページフォルトの処理で経過した時間 |
ユーザーロック待機のスリープ時間 (User Lock Wait Sleep Time) |
ltime |
ユーザーロックを待機している間に経過した時間 |
ユーザーモード時間 (User Mode Time) |
utime |
ユーザーモードで経過した時間 |
ユーザーおよびシステムモード時間 (User and System Mode Time) |
time |
CPU 実行の累積時間 |
任意コンテキストスイッチ (Voluntary Context Switches) |
vctx |
コンテキストの自主的な切り替え数 |
待機 CPU 時間 (Wait CPU Time) |
wtime |
CPU を待機している間に経過した時間 (応答時間) |
資源制御を使用して、プロジェクトを資源制約の集合と対応付けることができます。これらの制約によって、プロジェクトのコンテキストで実行するタスクまたはプロセスの資源許容量が決定されます。
「資源制御 (Resource Controls)」タブは、ナビゲーション区画の「System Configuration」の下にあります。 「資源制御 (Resource Controls)」にアクセスするには、次の手順に従います。
ナビゲーション区画の「System Configuration」コントロール要素をクリックします。
「プロジェクト (Projects)」をダブルクリックします。
コンソールのメインウィンドウにあるプロジェクトをクリックして選択します。
「アクション (Action)」メニューから「プロパティ (Properties)」を選択します。
「資源制御 (Resource Controls)」タブをクリックします。
プロセス、プロジェクト、およびタスクの資源制御の値を表示、編集、または削除します。
使用可能な資源制御のリストを表示するには、コンソールヘルプの「資源制御」または 「使用可能な資源制御」を参照してください。
プロセス、プロジェクト、およびタスクの資源制御の値を表示、編集、または削除できます。 これらの操作は、コンソールのダイアログボックスで実行します。
資源制御 (Resource Control) と値 (Value) は、コンソールに表形式で表示されます。資源制御 (Resource Control) の欄には、設定可能な資源制御の一覧が表示されます。値 (Value) の欄には、各資源制御に対応付けられているプロパティが表示されます。表内では、これらの値は括弧で囲まれており、コンマで区切られたプレーンテキストとして表示されます。括弧内の値は「action 文節」を示します。各 action 文節は、しきい値、特権レベル、シグナル、および特定のしきい値に対応付けられているローカルアクションで構成されます。 各資源制御は複数の action 文節を持つことができ、各 action 文節もコンマで区切られます。
実行中のシステムでは、コンソールから project データベースに加えた変更は、プロジェクトで起動される新しいタスクに対してだけ有効になります。
プロジェクトとタスクについては、第 6 章「プロジェクトとタスク」を参照してください。資源制御については、第 8 章「資源制御」を参照してください。フェアシェアスケジューラ (FSS) については、第 9 章「フェアシェアスケジューラ」を参照してください。