Solaris 9 12/02 オペレーティング環境の概要

インストール

説明 

Solaris Live Upgrade 2.0

Solaris Live Upgrade を利用してオペレーティングシステムをアップグレードすると、従来アップグレードのために費やしていたサービス停止時間を大幅に短縮できます。Solaris Live Upgrade は、現在使用中のブート環境を複写して、元のブート環境を実行した状態のまま、複写先のブート環境をアップグレードします。これらの処理の後、システムをリブートすると、複製のブート環境がアクティブ化されて、アクティブなブート環境になります。障害が発生した場合は、リブートするだけで元のブート環境に切り換えることができます。このため、テストや評価作業に伴って通常必要となる実働環境のための停止時間を削減することができます。 

Solaris Live Upgrade は、ブート環境をアップグレードするだけでなく、アクティブでないブート環境にフラッシュアーカイブをインストールできます。システムをリブートすると、アクティブでないブート環境にインストールされている構成がアクティブになります。 

Solaris 9 リリースでは、コマンド行インタフェースのみに適用されるいくつかの Live Upgrade 機能が拡張されています。この機能拡張は、以下の点に影響します。

  • 進捗レポート

    Solaris Live Upgrade を使用してアップグレードまたはフラッシュアーカイブをインストールする際に、アップグレードまたはインストールの進捗度をレポートします。

  • lumount コマンドと luumount コマンドの変更

    lumount コマンドは、ブート環境のすべてのファイルシステムをマウントします。マウントポイントを明示的に指定しない場合、lumount はマウントポイントを作成します。このマウントポイントには、ランダムな数字の組み合わせではなく、ブート環境名を使用するため、マウントポイントが乱立することがありません。この機能拡張により、luumount コマンドが使いやすくなります。

    luumount コマンドは、ブート環境のルートファイルシステムをアンマウントします。luumount コマンドでは、マウントポイントだけでなくブート環境名も引数に指定できるようになりました。また、-f オプションを使用して、ブート環境のファイルシステムを強制的にアンマウントできるようになりました。

    lumount(1M)luumount(1M) のマニュアルページを参照してください。

  • スケジューリング優先順位

    Solaris Live Upgrade の主な目的は、新しいオペレーティングシステムへの移行中の実働環境の停止時間を、最小限に抑えることです。ファイルシステムのアップグレードやコピーなどの Solaris Live Upgrade の操作によっては、システムに相当な負荷がかかることがあります。現在 Solaris Live Upgrade には、スケジューリングの優先順位を制御するツールがあります。これにより、実働システムのパフォーマンスの低下を最小限に抑えることができるようになりました。/etc/default/luファイルにあるデフォルト値は変更可能です。

  • ブート環境の命名

    Solaris Live Upgrade コマンドで、ブート環境に長い名前が許可されるようになりました。このため、コマンドを使用してブート環境名に対して任意の長さの文字列を入力できます。

    詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』と ludesc(1M) のマニュアルページを参照してください。

Solaris Live Upgrade の詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』の「Solaris Live Upgrade」を参照してください。


注 -

Solaris 9 Update リリースでは、次の名称が変更されています。

    Solaris フラッシュ (旧名称は Web Start Flash)



フラッシュインストール機能

フラッシュ (Flash) インストール機能を利用することにより、1 台のマシン上の Solaris オペレーティング環境のアーカイブを作成できます。その後、そのアーカイブを複数のマシンに複製できます。 

詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』の「フラッシュインストール機能」を参照してください。


注 -

Solaris 9 Update リリースでは、次の名称が変更されています。

    Solaris フラッシュ (旧名称は Web Start Flash)



FTP を使用したフラッシュアーカイブ取得

フラッシュプログラムは、FTP を使ってフラッシュアーカイブを取得できるように更新されました。アーカイブをインストールする際は、FTP サーバー上のアーカイブの位置を指定することができます。 

FTP サーバーからのアーカイブの取得方法の詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。


注 -

Solaris 9 Update リリースでは、次の名称が変更されています。

    Solaris フラッシュ (旧名称は Web Start Flash)



最小のインストール

コアソフトウェアグループまたはメタクラスタ内で一部の機能を構成しているファイルは、より論理的に編成された個別のパッケージに移されました。これらのパッケージは、Solaris ソフトウェアのインストール時に Solaris オペレーティング環境から任意に除くことができます。インストールのあとで、pkgrm コマンドを使用してこれらのパッケージを削除することも可能です。詳細は、pkgrm(1M) のマニュアルページを参照してください。

以下の機能を構成するファイルは、新しいパッケージまたは既存のパッケージに移されました。

  • キャッシュファイルシステム

  • NFS

  • Kerberos セキュリティ

  • 分散ファイルシステム

  • NIS 関連

  • ネットワークルーチンデーモン

  • リモートネットワーク r* コマンド

  • telnet サーバー

  • tftp サーバー

  • ドメインネームサーバー

  • DARPA ネームサーバー

  • 遠隔手続き呼び出し (Remote Procedure Call) サービス

  • ブートサーバーまたはインストールサーバー

  • setuidsetgid

IA:PXE ネットワークブート

Intel Pre-boot eXecution Environment (PXE) を使用すると、Device Configuration Assistant (デバイス構成補助) フロッピーディスクを使用せずに、Solaris IA システムをネットワークから直接ブートできます。この機能を使用するには、IA システムが PXE をサポートしている必要があります。PXE を使用可能にするには、PXE をサポートしているシステムの BIOS 設定ツールまたはネットワークアダプタの構成設定ツールを使って設定してください。PXE をサポートしていないシステムでは、Solaris Device Configuration Assistant フロッピーディスクを使用してください。 

詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。

長いパッケージ名

pkgmk ユーティリティを使用して、名前の長さが 32 文字までのパッケージを作成できるようになりました。pkgmk(1)pkgadd(1M) のマニュアルページを参照してください。

Solaris DVD からのインストール

Solaris オペレーティング環境と付属ソフトウェアを、Solaris DVD からインストールできるようになりました。 この DVD を使用すると、SolarisTM Web Start またはカスタム JumpStartTM のどちらでもインストールできます。Solaris DVD には、Solaris ソフトウェア、ExtraValue ソフトウェア、およびマニュアルが含まれています。

詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。

Solaris Web Start での sysidcfg ファイルの使用

Solaris Web Start を使用して、インストールやアップグレードを行う際に sysidcfg ファイルを使用してシステム情報を構成できるようになりました。システムの構成情報を含む sysidcfg ファイルを作成してください。このファイルを適切な場所に配置すると、Solaris Web Start プログラムは、インストール中にシステム情報の入力を求めるプロンプトを表示しません。

詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。

Solaris Web Start プログラムの機能拡張

Solaris Web Start のインストール方法が変更され、Solaris のインストール中やアップグレード中に以下の機能を実行できるようになりました。

  • インストールのあとでシステムを自動的にリブートするよう選択する

  • インストールのあとで CD または DVD を自動的に取り出すよう選択する

  • ファイルシステムを保持するよう選択する

詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。

タイムゾーンの選択肢の追加

Solaris 9 オペレーティング環境で使用できるタイムゾーンの数は、劇的に増加しました。タイムゾーンは、Solaris オペレーティング環境をインストールする際に、地理的な地域ごとに選択することができます。大陸と国の一覧にあるタイムゾーンが大幅に増えました。 

詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。

Solaris Web Start Wizards SDK 3.0.1

Solaris Web Start WizardsTM SDK は、ネイティブ Solaris、Java、および Java 以外のアプリケーションのインストール、設定、管理を簡単にします。Solaris Web Start Wizards ソフトウェアを使用すると、開発者は Solaris 版のアプリケーションと Microsoft Windows 版のアプリケーションの両方をパッケージ化できます。このインストールウィザードは、プラットフォーム固有の処理を管理します。

Web Start Wizards SDK 3.0.1 は現在 Solaris 9 リリースに付属しています。SDK 3.0.1 は、Solaris Web Start インストールプログラムを使用してインストールできます。 

カスタム JumpStart インストール用の新しいブートオプション

カスタム JumpStart インストールの実行時に使用する boot コマンドに新しいオプションが追加されました。

boot コマンドで、インストールに使用する構成ファイルの場所が指定できるようになりました。HTTP サーバー、NFS サーバー、ローカルメディア上のファイルへのパスを指定できます。ファイルパスが不明な場合は、インストールプログラムがパスの入力を求めるプロンプトを表示するように設定することができます。このプロンプトは、マシンがブートしてネットワークに接続された後で表示されます。

nowin オプションを指定すると、X ウィンドウを使用しないでカスタム JumpStart インストールを起動できます。カスタム JumpStart インストールを実行するのに、X プログラムを使用する必要はありません。nowin オプションを指定して、インストールの時間を短縮できます。

新しいオプションの使用方法については、『Solaris 9 インストールガイド』の「カスタム JumpStart インストール」を参照してください。

ミラーのアップグレード

Solaris 9 リリースは、Solaris ボリュームマネージャ (旧 Solstice DiskSuite) によって作成されたルートミラーとメタデバイスのオペレーティング環境アップグレードをサポートします。Solaris ボリュームマネージャによって作成されたメタデバイスを持つシステムをアップグレードする場合、システムの vfstab を編集する必要はなくなりました。ルートミラーについては、メタデバイスを使用しない通常のアップグレードの場合と同様にミラーが検出され、ミラー上のオペレーティング環境がアップグレードされます。

システム識別ユーティリティによるデフォルトルーティング

インストール時に、システム識別ユーティリティがデフォルトルーターの決定を自動的に試みるようになりました。 

インストールの詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。

システム識別ユーティリティによる構成

システム識別ユーティリティによって、システム識別中に、システムを LDAP クライアントとして構成することができます。Solaris の以前のリリースでは、システムを NIS、NIS+、または DNS クライアントとしてのみ構成できました。 

インストールの詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。

パッチアナライザ

Solaris Web Start プログラムを使用して Solaris Update リリースにアップグレードする場合、パッチアナライザを利用できます。パッチアナライザはシステムを解析します。この解析により、Solaris Update リリースにアップグレードする場合に、削除またはダウングレードされるパッチが検出されます。Solaris 9 リリースにアップグレードするときは、パッチアナライザを使用する必要はありません。 

インストールの詳細は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。