Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

複製サーバー

複製サーバーを設定する場合、次の 3 つの方法が存在します。

「単一マスター」

単一マスター複製では、指定されたパーティションまたはパーティション化されていないネットワークに対して、1 つのマスターサーバーだけが、ディレクトリエントリの書き込み可能なコピーを保持します。複製サーバーは、ディレクトリエントリの読み込み専用コピーを保持します。複製とマスターの両方が検索、比較、およびバインド操作を実行できますが、書き込み操作を実行できるのはマスターサーバだけです。

単一マスター複製の不利な点は、マスターサーバーでシングルポイント障害が発生した場合です。マスターサーバーがダウンした場合、どの複製サーバーからも書き込み操作を実行できません。

「浮動マスター」

浮動マスターは、指定されたパーティション化されたネットワークまたはパーティション化されていないネットワークに対し、書き込み権限を保持するマスターサーバーは常に 1 つだけである点で、単一マスターを使用する場合と似ています。ただし浮動マスターを使用すると、マスターサーバーがダウンした場合、アルゴリズムにより複製が自動的にマスターサーバーに変化します。

浮動マスター複製の不利な点は、ネットワークがパーティション化され、どちらの側のパーティション上の複製もマスターになった場合、ネットワークを再結合する際、新規マスター間の調整が非常に複雑になり得ることです。

「複数マスター」

複数マスター複製では、ディレクトリエントリデータの独自の読み取り/書き込み複製を保持する、複数のマスターサーバーが存在します。複数マスターを使用すると、シングルポイント障害を防ぐことができますが、サーバー間で更新による競合が発生する可能性があります。つまり、2 つのマスター上でエントリの属性が同時に変更される場合、競合による障害の解決ポリシー (最後の書き込みを優先するなど) の適用が必要になります。

複製サーバーの設定方法については、『iPlanet Directory Server 5.1 管理者ガイド』を参照してください。