Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル

NCA パラメータのチューニングの概要

これらのパラメータの設定は、Web サーバー専用のシステムに適しています。これらのパラメータの設定によりキャッシュページに割り当てるメモリーを増やすことができます。この章で説明するチューニングパラメータはすべて、 /etc/system ファイル内で設定します。

/etc/system ファイルへチューニング可能パラメータを追加する方法については Solaris カーネルのチューニング を参照してください。

nca:nca_conn_hash_size

説明

すべての TCP 接続用の NCA モジュールのハッシュテーブルサイズを制御し、直近の素数へ調節します。

デフォルト

383 ハッシュテーブルエントリ

範囲

0 から 201,326,557

動的か

いいえ

どのような場合に変更するか

NCA の TCP ハッシュテーブルが小さすぎ、着信 TCP 接続ごとに記憶することができないために、多くの TCP 接続がハッシュテーブルの同じエントリ内に入れられている場合。NCA が多くの TCP 接続を受けるとシステム性能が低下する場合は、この状況が考えられます。

コミットレベル

変更の可能性あり

nca:nca_conn_req_max_q

説明

NCA が待機する 保留 TCP 接続の最大数

デフォルト

256 接続

範囲

0 から 4,294,967,295

動的か

いいえ

どのような場合に変更するか

過剰な数の TCP 接続が確立しているために、NCA が新たに確立した接続を直後に閉じる場合。NCA が多数の TCP 接続を受信し、負荷処理能力に余力があるにもかかわらず、追加の接続を拒否する場合。このパラメータの値を増やすと、NCA が同時に処理できる TCP 接続数が増加します。

コミットレベル

変更の可能性あり

nca:nca_conn_req_max_q0

説明

NCA が待機する、不完全な (3 段階ハンドシェークがまだ終わっていない) 保留状態の TCP 接続の最大数

デフォルト

1024 接続

範囲

0 から 4,294,967,295

動的か

いいえ

どのような場合に変更するか

すでに多数の TCP 接続が保留となっているため、NCA が追加の接続を拒否する場合。NCA が多数の TCP 接続を受信し、負荷処理能力に余力があるにもかかわらず、追加の接続を拒否する場合。このパラメータの値を増やすと、NCA が同時に処理できる TCP 接続数が増加します。

コミットレベル

変更の可能性あり

nca:nca_ppmax

説明

NCA がページのキャッシュに使用する物理メモリーの最大量 (ページ単位)。この値はメモリー全体の 75 % を超えないようにしてください。

デフォルト

物理メモリーの 25%

範囲

物理メモリーの 1 % から最大量まで

動的か

いいえ

どのような場合に変更するか

メモリーが大きな (512M バイト以上) システム上で NCA を使用する場合。 システムに使用されていない多くの物理メモリーがある場合、このパラメータを増加させると、NCA は新しいオブジェクトのキャッシュにこのメモリーを効率的に使用するため、システム性能が向上します。

仮想メモリーより物理メモリーが大きいシステム (4G バイトを超えるメモリーを持つ 32 ビットカーネル) の場合を除き、このパラメータは nca_vpmax に併せて増やします。 システムのページサイズを調べるには、pagesize(1) を使用します。

コミットレベル

変更の可能性あり

nca:nca_vpmax

説明

NCA がページのキャッシュに使用する仮想メモリーの最大量 (ページ単位)。この値はメモリー全体の 75 % を超えないようにしてください。

デフォルト

仮想メモリーの 25%

範囲

仮想メモリーの 1% から最大量まで

動的か

いいえ

どのような場合に変更するか

メモリーが大きな (512M バイト以上) システム上で NCA を使用する場合。 システムに使用されていない多くの仮想メモリーがある場合、このパラメータを増加させると、NCA は新しいオブジェクトのキャッシュにこのメモリーを効率的に使用するため、システム性能が向上します。

このパラメータは nca_ppmax に合わせて増やします。仮想メモリーよりも物理メモリーが大きなシステムの場合を除き、このパラメータは nca_vpmax とほぼ同じ値に設定します。

コミットレベル

変更の可能性あり