Solaris のシステム管理 (上級編)

割り当て制限の変更と削除

割り当て制限を変更して、ユーザーが使用するディスク容量と i ノード数を調整できます。または、必要に応じて各ユーザーから、あるいはファイルシステム全体から割り当て制限を削除できます。

表 17–3 で、割り当て制限を変更または削除するのに使用するコマンドを示します。

表 17–3 割り当て制限を変更または削除するコマンド

コマンド 

マニュアルページ 

説明 

edquota

edquota

各ユーザーについて i ノード数とディスク容量の強い制限と弱い制限を変更する。また、任意のユーザーが弱い制限値を超えることが許される期間の長さを変更する 

quotaoff

quotaoff(1M)

指定したファイルシステムの割り当て制限を無効にする 

弱い期間制限値のデフォルトを変更する方法

デフォルトでは、ユーザーはある週の割り当て制限に対する弱い制限値を 1 週間超えることができます。 弱い制限値を 1 週間よりも長く超えると、システムはそのユーザーに対し、i ノードとディスクブロックの使用を禁止します。

edquota コマンドを使用すると、この割り当て制限の期間制限を変更できます。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように割り当て制限エディタを使用して、弱い期間制限値を含む一時ファイルを作成します。


    # edquota -t
    

    -t オプションは、各ファイルシステムの弱い期間制限値を指定します。

  3. 期間制限を、0 (デフォルト) から数値とキーワード monthweekdayhourmin、または sec を使用して指定する値に変更します。


    注 –

    この手順は、現在のディスク割り当て制限違反者には影響しません。


例 — 期間の弱い制限値のデフォルトを変更する

次の例は、/export/home がただ 1 つの quotas を持つマウント済みファイルシステムであるシステムで edquota コマンドによって開かれた一時ファイルの内容を示しています。デフォルト値 0 は、デフォルトで 1 週間の期間制限値が使用されることを意味します。


fs /export/home blocks time limit = 0 (default), files time limit = 0 (default)

次の例は、ブロック割り当て制限の超過に対する期間制限値が 2 週間に変更され、ファイル数の超過に対する期間制限値が 16 日に変更された後の、上の例と同じ一時ファイルの内容を示しています。


fs /export/home blocks time limit = 2 weeks, files time limit = 16 days

1 ユーザーの割り当て制限を変更する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように割り当て制限エディタを使用して、quotas ファイルがそれぞれのファイルシステムのルートディレクトリにある各マウント済みファイルシステムに対して 1 行ずつエントリが入っている一時ファイルを開きます。


    # edquota username
    

    username は、割り当て制限を変更したいユーザー名を指定します。


    注意 – 注意 –

    edquota コマンドの引数として複数のユーザーを指定できますが、表示される情報にはどのユーザーのものなのか示されないので、混乱を招く恐れがあります。


  3. 1K バイトディスクブロック数の弱い制限値と強い制限値、および i ノード数の弱い制限値と強い制限値を入力します。

  4. ユーザーの割り当て制限が正しく変更されたことを確認します。


    # quota -v username
    

    -v

    ディスク割り当て制限が有効にされている、すべてのマウント済みのファイルシステムについて、ユーザーのディスク割り当て制限情報を表示します 

    username

    割り当て制限をチェックしたいユーザー名を指定する。 

例 — 1 ユーザーの割り当て制限を変更する

次の例は、edquota コマンドで開いた一時ファイルの内容を示しています。このシステムでは、ルートディレクトリに quotas ファイルが含まれているマウント済みファイルシステムは、/files だけです。


fs /files blocks (soft = 0, hard = 0) inodes (soft = 0, hard = 0)

次の例は、上と同じ一時ファイルの割り当て制限変更後の内容を示しています。


fs /files blocks (soft = 0, hard = 500) inodes (soft = 0, hard = 100)

次の例は、ユーザー smith の強い制限値の変更結果を確認する方法と、1K バイトブロック数と i ノード数の強い制限値がそれぞれ 500 と 100 に変更されていることを示しています。


# quota -v smith
Disk quotas for smith (uid 12):
Filesystem  usage  quota  limit  timeleft  files  quota  limit  timeleft
 
  /files     1       0     500              1       0     100

1 ユーザーの割り当て制限を無効にする方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように割り当て制限エディタを使用して、quotas ファイルがその最上位ディレクトリにある各マウント済みファイルシステムに対して 1 行の割り当て制限情報を含む一時ファイルを作成します。


    # edquota username
    

    username は、割り当て制限を無効にしたいユーザー名を指定します。


    注意 – 注意 –

    edquota コマンドの引数として複数のユーザーを指定できますが、表示される情報にはどのユーザーのものなのか示されないので、混乱を招く恐れがあります。


  3. 1K バイトディスクブロック数の弱い制限値と強い制限値、および i ノード数の弱い制限値と強い制限値を 0 (ゼロ) に変更します。


    注 –

    必ずこれらの値を 0 (ゼロ) に変更してください。テキストファイルから行を削除してはいけません。


  4. ユーザーの割り当て制限を無効にしたことを確認します。


    # quota -v username
    

    -v

    ディスク割り当て制限が有効にされている、すべてのマウント済みのファイルシステムについて、ユーザーのディスク割り当て制限情報を表示します 

    username

    割り当て制限を確認したいユーザー名 (UID) を指定します。 

例 — 1 ユーザーの割り当て制限を無効にする

次の例は、edquota コマンドで開いた一時ファイルの内容を示しています。このシステムでは、ルートディレクトリに quotas ファイルが含まれているマウント済みファイルシステムは、/files だけです。


fs /files blocks (soft = 50, hard = 60) inodes (soft = 90, hard = 100)

次の例は、割り当て制限を無効にした後の上と同じ一時ファイルの内容を示しています。


fs /files blocks (soft = 0, hard = 0) inodes (soft = 0, hard = 0)

割り当て制限を無効にする方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. ファイルシステムの割り当て制限を無効にします。


    # quotaoff [-v] -a filesystem ...
    

    -v

    割り当て制限が無効にされた場合、各ファイルシステムからメッセージを表示する 

    -a

    全ファイルシステムの割り当て制限を無効にする 

    filesystem

    指定する 1 つ以上のファイルシステムの割り当て制限を無効にするスペースでファイル名を区切って、複数のファイルシステムを指定する 

例—割り当て制限を無効にする

次の例は、 /export/home ファイルシステムの割り当て制限を無効にする方法を示しています。


# quotaoff -v /export/home
/export/home: quotas turned off