Solaris のシステム管理 (上級編)

システムクラッシュダンプ情報の管理

システムクラッシュ情報を処理する場合には、次の点に注意してください。

現在のクラッシュダンプ構成を表示する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 現在のクラッシュダンプ構成を表示します。


    # dumpadm      Dump content: kernel pages
           Dump device: /dev/dsk/c0t3d0s1 (swap)
    Savecore directory: /var/crash/venus
      Savecore enabled: yes

    上記の出力例の意味は次のとおりです。

    • ダンプの内容は、カーネルメモリーページである

    • カーネルメモリーがスワップデバイス /dev/dsk/c0t3d0s1 にダンプされる。swap -l コマンドにより、すべてのスワップ領域を識別できる

    • システムクラッシュダンプファイルは /var/crash/venus ディレクトリに保存される

    • システムクラッシュダンプファイルの保存は有効に設定されている

クラッシュダンプ構成を変更する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 現在のクラッシュダンプ構成を確認します。


    # dumpadm
          Dump content: kernel pages
           Dump device: /dev/dsk/c0t3d0s1 (swap)
    Savecore directory: /var/crash/pluto
      Savecore enabled: yes

    上記の出力は、Solaris 9 リリースを実行するシステムのデフォルトダンプ構成を示しています。

  3. クラッシュダンプ構成を変更します。


    # dumpadm -c content -d dump-device -m nnnk | nnnm | nnn% -n -s savecore-dir
    

    -c content

    ダンプするデータの種類を指定する。すべてのカーネルメモリーをダンプするには kernel を、すべてのメモリーをダンプするには all を、カーネルメモリーとクラッシュ時に実行中だったスレッドを持つプロセスのメモリーページとをダンプするには curproc を使用する。デフォルトはカーネルメモリー

    -d dump-device

    システムがクラッシュしたときに、ダンプデータを一時的に保存するデバイスを指定する。デフォルトのダンプデバイスは 1 次スワップデバイス  

    -m nnnk | nnnm | nnn%

    現在の savecore ディレクトリに minfree ファイルを作成することにより、クラッシュダンプファイルを保存する最小限の空き容量を指定する。このパラメータは K バイト (nnnk)、M バイト (nnnm)、またはファイルシステムサイズのパーセント (nnn%) で指定できる。savecore コマンドは、クラッシュダンプファイルを書き込む前にこのファイルを調べる。クラッシュダンプファイルを書き込むと空き容量が minfree の値より少なくなる場合、ダンプファイルは書き込まれず、エラーメッセージが記録される。このような問題を解決するには、クラッシュダンプディレクトリが一杯になった場合に復元する方法 (省略可能)を参照

    -n

    システムがリブートするときに、savecore を実行しないように指定する。このダンプ構成は推奨できない。システムクラッシュ情報がスワップデバイスに書き込まれているときに、savecore が実行されないと、クラッシュダンプ情報はシステムがスワップを開始すると上書きされる

    -s

    クラッシュダンプファイルを保存する別のディレクトリを指定する。デフォルトのディレクトリは /var/crash/hostname で、hostnameuname -n コマンドの出力

例 —クラッシュダンプ構成を変更する

次の例は、すべてのメモリーを専用のダンプデバイス /dev/dsk/c0t1d0s1 にダンプします。また、クラッシュダンプファイルを保存した後に残っていなければならない最小空き容量は、ファイルシステム容量の 10% です。


# dumpadm
      Dump content: kernel pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t3d0s1 (swap)
Savecore directory: /var/crash/pluto
  Savecore enabled: yes
# dumpadm -c all -d /dev/dsk/c0t1d0s1 -m 10%
      Dump content: all pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t1d0s1 (dedicated)
Savecore directory: /var/crash/pluto (minfree = 77071KB)
  Savecore enabled: yes

クラッシュダンプを検査する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. mdb ユーティリティを使用して、クラッシュダンプを検査します。


    # /usr/bin/mdb [-k] crashdump-file
    

    -k

    オペレーティングシステムのクラッシュダンプファイルの場合のカーネルデバッグモードを指定します。 

    crashdump-file

    オペレーティングシステムのクラッシュダンプファイルを指定します。 

  3. クラッシュ状態情報を表示します。


    # /usr/bin/mdb file-name
    > ::status
       .
       .
       .
    > ::system
       .
       .
       .

例 — クラッシュダンプを検査する

次の例は、mdb ユーティリティからのサンプル出力を示します。このシステムのシステム情報と /etc/system ファイルに設定される調整可能パラメータが表示されます。


# /usr/bin/mdb -k unix.0 
Loading modules: [ unix krtld genunix ip nfs ipc ptm ]
> ::status
debugging crash dump /dev/mem (64-bit) from ozlo
operating system: 5.9 Generic (sun4u)
> ::system
set ufs_ninode=0x9c40 [0t40000]
set ncsize=0x4e20 [0t20000]
set pt_cnt=0x400 [0t1024]

クラッシュダンプディレクトリが一杯になった場合に復元する方法 (省略可能)

ここでは、システムがクラッシュしてもメモリーイメージを格納する十分な空き容量が savecore ディレクトリにないが、それでも、一部の重要なシステムクラッシュダンプ情報を保存したい場合を考えます。

  1. システムがリブートした後で、スーパーユーザーとしてログインします。

  2. すでにサービスプロバイダに送ってある既存のクラッシュダンプファイルを削除して、savecore ディレクトリ (通常は /var/crash/hostname) を整理します。あるいは、savecore コマンドを実行し、十分な容量を持つ別のディレクトリを指定します (次の手順を参照してください)。

  3. 手作業で savecore コマンドを実行し、必要なら別の savecore ディレクトリを指定します。


    # savecore [ directory ]

クラッシュダンプの保存を無効または有効にする方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. システム上のクラッシュダンプの保存を有効または無効にします。


    # dumpadm -n | -y
    

例 — クラッシュダンプの保存を無効にする

次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を無効にします。


# dumpadm -n
      Dump content: all pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t1d0s1 (dedicated)
Savecore directory: /var/crash/pluto (minfree = 77071KB)
  Savecore enabled: no

例 — クラッシュダンプの保存を有効にする

次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を有効にします。


# dumpadm -y
      Dump content: all pages
       Dump device: /dev/dsk/c0t1d0s1 (dedicated)
Savecore directory: /var/crash/pluto (minfree = 77071KB)
  Savecore enabled: yes