Solaris のシステム管理 (基本編)

第 39 章 ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)

この章では、ファイルシステムをマウントしたり、マウント解除する方法について説明します。

この章で説明する手順は次のとおりです。

ファイルシステムのマウントの概要

ファイルシステムを作成したら、そのファイルシステムをシステムで使用できるようにする必要があります。ファイルシステムを使用できるようにするには、マウントします。マウントしたファイルシステムは、システムのディレクトリツリー内の指定したマウントポイントに接続されます。ルート (/) ファイルシステムは、常にマウントされています。

次の表に、ファイルシステムをその用途に応じてマウントするためのガイドラインを示します。

必要なマウントの種類 

推奨されるマウント方法 

ローカルまたはリモートのファイルシステムをときどきマウントする 

コマンド行から手動で mount コマンドを入力する。

ローカルのファイルシステムを頻繁にマウントする 

/etc/vfstab ファイルを使用して、システムがマルチユーザー状態でブートされたときに、自動的にファイルシステムをマウントする。

リモートのファイルシステムを頻繁にマウントする (ホームディレクトリなど) 

  • /etc/vfstab ファイルを使用して、システムがマルチユーザー状態でブートされたときに、自動的にファイルシステムをマウントする。

  • AutoFS により、ユーザーがディレクトリにアクセスしたとき、あるいはディレクトリから移動したときに、自動的にファイルシステムをマウントまたはマウント解除する。

パフォーマンスを向上させるために、CacheFS ファイルシステムを使用してリモートのファイルシステムをキャッシュに書き込むこともできる。 

ファイルシステムを含むメディアは、必要に応じてメディアをドライブに挿入し、volcheck コマンドを実行することによってマウントできます。リムーバブルメディアのマウント方法については、第 17 章「リムーバブルメディアの管理 (概要)」を参照してください。

ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド

表 39–1 に、ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用する /usr/sbin ディレクトリ内のコマンドを示します。

表 39-1 ファイルシステムのマウントとマウント解除に使用するコマンド

コマンド名 

マニュアルページ 

説明 

mount

mount(1M)

ファイルシステムとリモートリソースをマウントする。 

mountall

mountall(1M)

/etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウントする。マルチユーザー実行状態になるときに、mountall コマンドが自動的に実行される。

umount

mount(1M)

ファイルシステムとリモートリソースをマウント解除する。 

umountall

mountall(1M)

/etc/vfstab ファイルに指定されているすべてのファイルシステムをマウント解除する。

mountmountall の各コマンドは、不整合が認められた読み取り/書き込み用のファイルシステムはマウントしません。mount または mountall コマンドからエラーメッセージが表示される場合は、ファイルシステムをチェックする必要があります。ファイルシステムをチェックする方法については、第 42 章「UFS ファイルシステムの整合性チェック (手順)」を参照してください。

umountumountall の各コマンドは、使用中のファイルシステムはマウント解除しません。ファイルシステムは、次の場合に使用中であるとみなされます。

汎用マウントオプション

次の表に、mount -o オプションで指定できる汎用オプションを示します。複数のオプションを指定する場合は、コンマ (空白を入れない) で区切ります。たとえば、-o ro,nosuidのようになります。

各ファイルシステムタイプで指定可能なマウントオプションのリストについては、各マウントコマンドのマニュアルページ (mount_ufs(1M) など) を参照してください。

表 39-2 -o で指定する汎用マウントオプション

オプション 

ファイルシステム 

説明 

bg | fg

NFS 

最初のマウントに失敗すると、バックグラウンド (bg) またはフォアグラウンド (fg) で再試行する。このオプションは重要でない vfstab エントリには安全である。デフォルトは fg

hard | soft

NFS 

サーバーが応答しない場合の手続きを指定する。soft オプションは、エラーが返されることを示す。hard オプションは、サーバーが応答するまで再試行要求が継続されることを示す。デフォルトは hard

intr | nointr

NFS 

ハードマウントされたファイルシステムに関する応答を待って実行を停止しているプロセスを、キーボード割り込みで強制終了できるかどうかを指定する。デフォルトは intr (割り込み可能)。

largefiles | nolargefiles

UFS 

2G バイトを超えるファイルを持つことができるようにする。largefiles オプションでマウントされたファイルシステムは、2G バイトを超えるファイルを格納できる (必須ではない)。nolargefiles オプションを指定した場合、UFS ファイルシステムは Solaris 2.6 (またはその互換バージョン) が動作しているシステムにはマウントできない。デフォルトは largefiles

logging | nologging

UFS 

ファイルシステムのロギングを有効または無効にする。UFS ロギングとは、トランザクション (完全な UFS 処理を構成する変更) をログに保存してから、そのトランザクションを UFS ファイルシステムに適用するプロセスである。ロギングを使用すると、UFS ファイルシステムの整合性を保つことができる。つまり、fsck を省略できることを意味する。fsck を省略すると、システムがクラッシュしたとき、あるいはシステムをクリーンな状態でシャットダウンできなかったとき、システムをリブートする時間を省ける。

ログはファイルシステムの空きブロックから、1G バイトのファイルシステムごとに約 1M バイトのサイズ (合計で 64M バイトまで) が割り当てられる。デフォルトは nologging

atime | noatime

UFS 

ファイルのアクセス時間更新を抑制する。ただし、最後にファイルの状態が変わった時間または最後にファイルが変更された時間に対する更新が同時に行われる場合を除く。詳細は、stat(2) のマニュアルページを参照。このオプションによって、アクセス時間が重要でないファイルシステム (Usenet ニューススプールなど) でのディスクに対する動作が減る。デフォルトでは、通常アクセス時間 (atime) が記録される。

remount

すべて 

既にマウントされているファイルシステムに関連付けられているマウントオプションを変更する。通常このオプションは、ro オプション以外のオプションと共に使用できる。ただし、変更できるマウントオプションは、ファイルシステムタイプによって異なる。

retry= n

NFS 

マウント処理に失敗した場合に再試行する。n は再試行回数。

ro | rw

CacheFS、NFS、 PCFS、UFS、HSFS 

読み取り/書き込み (rw) または読み取り専用 (ro) を指定 する。このオプションを指定しない場合のデフォルトは rw。HSFS のデフォルトのオプションは ro

suid | nosuid

CacheFS、HSFS、 NFS、UFS 

setuid 実行を許可または禁止する。デフォルトは、setuid 実行を許可する。

/etc/vfstab ファイルのフィールドの説明

/etc/vfstab ファイル内のエントリには、表 39–3 に示すように 7 つのフィールドがあります。

表 39-3 /etc/vfstab ファイルのフィールドの説明

フィールド名 

説明 

device to mount

このフィールドは、次のいずれかを指定する。 

  • ローカル UFS ファイルシステム用のブロックデバイス名 (/dev/dsk/c0t0d0s0 など)

  • リモートファイルシステム用のリソース名 (myserver:/export/home など)。NFS の詳細については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』を参照。

  • スワップ空間用のスライスのブロックデバイス名 (/dev/dsk/c0t3d0s1 など)

  • 仮想ファイルシステムタイプ用のディレクトリ

device to fsck

device to mount」フィールドで指定した UFS ファイルシステムに対応する raw (キャラクタ型) デバイス名 (/dev/rdsk/c0t0d0s0 など)。このフィールドによって、fsck コマンドが使用する raw インタフェースが決まる。読み取り専用ファイルシステムやリモートファイルシステムなど、適用できるデバイスがない場合は、ダッシュ (-) を使用する。

mount point

デフォルトのマウントポイントディレクトリ ( /usr など) を指定する。

FS type

ファイルシステムのタイプを指定する。 

fsck pass

fsck コマンドがファイルシステムをチェックするか決めるために使用するパス番号。このフィールドでダッシュ (-) を指定すると、ファイルシステムはチェックされない。

このフィールドに 0 が指定されている場合、UFS ファイルシステムはチェックされないが、フィールドに 0 より大きい値が指定されている場合に UFS 以外のファイルシステムはチェックされる。 

このフィールドに 1 が指定されている場合、すべてのファイルシステムは vfstab ファイル内の順番どおりに 1 つずつチェックされる。このフィールドに 1 より大きな値が指定され、さらに preen (修復) オプション (-o p) が指定されている UFS ファイルシステムが複数ある場合、効率を最大限に高めるために、fsck コマンドは複数のディスク上のファイルシステムを自動的に並行してチェックする。それ以外の場合、このフィールドの値は意味を持たない。

mount at boot

システムのブート時にファイルシステムが mountall コマンドによって自動的にマウントされるかどうかを yes または no で設定する。このフィールドは AutoFS とは連動していないので注意すること。ルート (/)、 /usr/var のファイルシステムは最初は vfstab ファイルからマウントされない。これらのファイルシステムおよび /proc/dev/fd などのような仮想ファイルシステムの場合、このフィールドは常に no に設定しなければならない。

mount options

ファイルシステムのマウントに使用されるオプションを (空白を空けずに) コンマで区切ったリスト。オプションなしを示すにはダッシュ (-) を使用する。汎用マウントオプションについては、表 39–2 を参照。


注 -

/etc/vfstab ファイル内の各フィールドには必ずエントリが必要です。フィールドに値を指定しない場合は、必ずダッシュ (-) を入力してください。ダッシュを入力しないと、システムが正常にブートしない可能性があります。同様に、フィールドの値に空白文字を使用しないでください。


ファイルシステムのマウント

次の節では、/etc/vfstab ファイルにエントリを追加するか、コマンド行から mount コマンドを使用してファイルシステムをマウントする方法について説明します。

どのファイルシステムがマウントされているかを調べる方法

どのファイルシステムがすでにマウント済みであるかを調べるには、mount コマンドを使用します。


$ mount [ -v ]

-v

マウントされているファイルシステムのリストを冗長モードで表示する 

例 — どのファイルシステムがマウントされているかを調べる

この例は、mount コマンドを使用して、現在マウントされているファイルシステムに関する情報を表示する方法を示しています。


$ mount
/ on /dev/dsk/c0t0d0s0 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/onerror= ...
/usr on /dev/dsk/c0t0d0s6 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/onerror= ...
/proc on /proc read/write/setuid/dev=4300000 on Fri Nov 30 11:25:13 2001
/etc/mnttab on mnttab read/write/setuid/dev=43c0000 on Fri Nov 30 11:25:13 ...
/dev/fd on fd read/write/setuid/dev=4400000 on Fri Nov 30 11:25:17 2001
/var/run on swap read/write/setuid/xattr/dev=1 on Fri Nov 30 11:25:20 2001
/tmp on swap read/write/setuid/xattr/dev=2 on Fri Nov 30 11:25:24 2001
/export on /dev/dsk/c0t0d0s4 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/ ...
/export/home on /dev/dsk/c0t0d0s7 read/write/setuid/intr/largefiles/ ...
$

/etc/vfstab ファイルにエントリを追加する方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 必要に応じて、マウントするファイルシステムのマウントポイントを作成します。


    # mkdir /mount-point
    

    ファイルシステムをマウントするには、ローカルシステム上にマウントポイントを作成する必要があります。マウントポイントとは、マウントされるファイルシステムが接続されるディレクトリのことです。

  3. /etc/vfstab ファイルを編集してエントリを追加します。次のことを確認してください。

    1. 各フィールドを空白 (空白文字またはタブ) で区切る。

    2. フィールドで値を指定しない場合はダッシュ (-) を入力する。

    3. 変更結果を保存する。

    /etc/vfstab フィールドのエントリについては、表 39–3 を参照してください。


    注 -

    ルート (/) ファイルシステムは、ブートプロセスの過程でカーネルによって読み取り専用としてマウントされます。そのため、remount オプション (および、remount と一緒に使用できるオプション) だけが /etc/vfstab ファイルのルート (/) エントリでは有効です。


例 — /etc/vfstab ファイルにエントリを追加する

次の例は、ディスクスライス /dev/dsk/c0t3d0s7 を UFS ファイルシステムとして、マウントポイントディレクトリ /files1 にマウントする方法を示しています。「device to fsck」として raw キャラクタ型デバイス /dev/rdsk/c0t3d0s7 を指定します。「fsck pass」の値が 2 なので、ファイルシステムは順不同でチェックされます。


#device           device             mount    FS       fsck   mount    mount
#to mount         to fsck            point    type     pass   at boot  options
#
/dev/dsk/c0t3d0s7 /dev/rdsk/c0t3d0s7 /files1  ufs      2      yes       -

次の例は、システム pluto 上のディレクトリ /export/man を、NFS ファイルシステムとしてマウントポイント /usr/man にマウントする方法を示しています。ファイルシステムが NFS であるため、「device to fsck」や「fsck pass」は指定されません。この例では、「mount options」は ro (読み取り専用) と soft になっています。


#device           device             mount    FS       fsck   mount    mount
#to mount         to fsck            point    type     pass   at boot  options
pluto:/export/man   -                /usr/man nfs      -      yes       ro,soft

次の例は、ルート (/) ファイルシステムをループバックマウントポイント /tmp/newroot にマウントする方法を示しています。LOFS ファイルシステムをマウントするときは、LOFS ファイルシステム内に入るファイルシステムを先にマウントし、その後で LOFS をマウントします。


#device           device             mount    FS       fsck   mount    mount
#to mount         to fsck            point    type     pass   at boot  options
#
/                   -                /tmp/newroot lofs -      yes       -                   

1 つのファイルシステムをマウントする方法 (/etc/vfstab ファイル)

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. /etc/vfstab ファイル内に列挙されているファイルシステムをマウントします。


    # mount /mount-point
    

    /mount-point は、/etc/vfstab ファイル内の「 mount point」または「device to mount」フィールドのエントリを指定します。通常は、マウントポイントを指定する方が簡単です。

例 — 1 つのファイルシステムをマウントする (/etc/vfstab ファイル)

次の例は、/etc/vfstab ファイル内に列挙されているファイルシステム /usr/dist をマウントする方法を示しています。


# mount /usr/dist

例 — すべてのファイルシステムをマウントする (/etc/vfstab ファイル)

次の例は、mountall コマンドを実行したときに、すでにファイルシステムがマウントされている場合に表示されるメッセージを示します。


# mountall
/dev/rdsk/c0t0d0s7 already mounted
mount: /tmp already mounted
mount: /dev/dsk/c0t0d0s7 is already mounted, /export/home is busy,
        or the allowable number of mount points has been exceeded

マウントが実行される前に、「device to fsck」エントリがあるすべてのファイルシステムがチェックされ、必要であれば修正されます。

次の例は、/etc/vfstab ファイル内に列挙されているすべてのローカルシステムをマウントする方法を示しています。


# mountall -l
# mount
/ on /dev/dsk/c0t0d0s0 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/onerror= ...
/usr on /dev/dsk/c0t0d0s6 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/ ...
/proc on /proc read/write/setuid/dev=38c0000 on Tue Oct 30 15:45:32 2001
/etc/mnttab on mnttab read/write/setuid/dev=3980000 on Tue Oct 30  ...
/dev/fd on fd read/write/setuid/dev=39c0000 on Tue Oct 30 15:45:36 2001
/var/run on swap read/write/setuid/xattr/dev=1 on Tue Oct 30 15:45:39 ...
/tmp on swap read/write/setuid/xattr/dev=2 on Tue Oct 30 16:05:57 2001
/datab on /dev/dsk/c0t0d0s7 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/ ...

次の例は、/etc/vfstab ファイル内に列挙されているすべてのリモートファイルシステムをマウントする方法を示しています。


# mountall -r
# mount
/ on /dev/dsk/c0t0d0s0 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/onerror= ...
/usr on /dev/dsk/c0t0d0s6 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/onerror= ...
/proc on /proc read/write/setuid/dev=38c0000 on Tue Oct 30 15:45:32 2001
/etc/mnttab on mnttab read/write/setuid/dev=3980000 on Tue Oct 30 ...
/dev/fd on fd read/write/setuid/dev=39c0000 on Tue Oct 30 15:45:36 2001
/var/run on swap read/write/setuid/xattr/dev=1 on Tue Oct 30 15:45:39 2001
/tmp on swap read/write/setuid/xattr/dev=2 on Tue Oct 30 16:05:57 2001
/datab on /dev/dsk/c0t0d0s7 read/write/setuid/intr/largefiles/xattr/ ...
/home/rimmer on pluto:/export/home/rimmer remote/read/write/setuid/xattr ...

UFS ファイルシステムのマウント方法 (mount コマンド)

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 必要に応じて、マウントするファイルシステムのマウントポイントを作成します。


    # mkdir /mount-point
    

    ファイルシステムをマウントするには、ローカルシステム上にマウントポイントを作成する必要があります。マウントポイントとは、マウントされるファイルシステムが接続されるディレクトリのことです。

  3. UFS ファイルシステムをマウントします。


    # mount [-o mount-options] /dev/dsk/device-name /mount-point
    

    -o mount-options

    UFS ファイルシステムのマウントに使用できるマウントオプションを指定する。オプションの詳細は、表 39–2 または mount_ufs(1M) のマニュアルページを参照。

    /dev/dsk/device-name

    ファイルシステムが含まれているディスクスライス用のディスクデバイス名 (/dev/dsk/c0t3d0s7 など) を指定する。ディスクのスライス情報については、ディスクスライス情報を表示する方法を参照。

    /mount-point

    ファイルシステムをマウントするディレクトリを指定する。 

例 — UFS ファイルシステムをマウントする (mount コマンド)

次の例は、/dev/dsk/c0t3d0s7/files1 ディレクトリにマウントする方法を示しています。


# mount /dev/dsk/c0t3d0s7 /files1

例 — ロギングを有効にして UFS ファイルシステムをマウントする (mount コマンド)

UFS ロギングによってファイルシステムの整合性が保たれるために、システムのリブート時間が大幅に短縮されます。次の例は、ロギングを有効にして、/dev/dsk/c0t3d0s7/files1 ディレクトリにマウントする方法を示しています。


# mount -o logging /dev/dsk/c0t3d0s7 /files1

大規模ファイルを持たない UFS ファイルシステムをマウントする方法 (mount コマンド)

ファイルシステムをマウントするときには、largefiles オプションがデフォルトで選択されるため、2G バイトを超えるファイルを作成できます。大規模ファイルを作成した後で、nolargefiles オプションを指定してファイルシステムを再マウントするには、あるいは Solaris 2.6 およびその互換バージョンを実行するシステム上にマウントするには、大規模ファイルをすべて削除し、fsck コマンドを実行して状態を「nolargefiles」にリセットしなければなりません。

以下の手順では、ファイルシステム用のエントリが /etc/vfstab ファイルにあるものとします。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 必要に応じて、マウントするファイルシステムのマウントポイントを作成します。


    # mkdir /mount-point
    

    ファイルシステムをマウントするには、ローカルシステム上にマウントポイントを作成する必要があります。マウントポイントとは、マウントされるファイルシステムが接続されるディレクトリのことです。

  3. ファイルシステム内に大規模ファイルが存在しないことを確認します。


    # cd /mount-point
    # find . -xdev -size +20000000 -exec ls -l {} \;
    

    /mount-point は、大規模ファイルがあるかどうかをチェックするファイル システムのマウントポイントを指定します。

  4. 大規模ファイルが当該ファイルシステム内に存在する場合は、必要に応じてそのファイルを削除するか、他のファイルシステムに移動します。

  5. ファイルシステムをアンマウントします。


    # umount /mount-point
    
  6. ファイルシステムの状態をリセットします。


    # fsck /mount-point
    
  7. nolargefiles オプションを指定してファイルシステムを再マウントします。


    # mount -o nolargefiles /mount-point
    

例 — 大規模ファイルを持たないファイルシステムをマウントする (mount コマンド)

次の例は、/datab ファイルシステムをチェックし、nolargefiles オプションを指定して再マウントする方法を示しています。


# cd /datab
# find . -xdev -size +2000000 -exec ls -l {} \;
# umount /datab 
# fsck /datab
# mount -o nolargefiles /datab

NFS ファイルシステムのマウント方法 (mount コマンド)

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 必要に応じて、マウントするファイルシステムのマウントポイントを作成します。


    # mkdir /mount-point
    

    ファイルシステムをマウントするには、ローカルシステム上にマウントポイントを作成する必要があります。マウントポイントとは、マウントされるファイルシステムが接続されるディレクトリのことです。

  3. リソース (ファイルまたはディレクトリ) がサーバーから使用可能かどうかを確認します。

    NFS ファイルシステムをマウントするには、share コマンドを使用し、サーバー上のリソースを使用可能にしておかなければなりません。リソースの共有方法については、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』の「NFS サービスについて」を参照してください。

  4. NFS ファイルシステムをマウントします。


    # mount -F nfs [-o mount-options] server:/directory /mount-point
    

    -o mount-options

    NFS ファイルシステムのマウントに使用できるマウントオプションを指定する。汎用マウントオプションのリストについては、表 39–2 を参照。オプションについては、mount_nfs(1M) のマニュアルページを参照。

    server:/directory

    共有するリソースを持つサーバーのホスト名と、マウントするファイルまたはディレクトリへのパスを指定する。 

    /mount-point

    ファイルシステムをマウントするディレクトリを指定する。 

例 — NFS ファイルシステムをマウントする (mount コマンド)

次の例は、サーバー pluto/export/packages ディレクトリを /mnt にマウントする方法を示しています。


# mount -F nfs pluto:/export/packages /mnt

IA: ハードディスクから PCFS (DOS) ファイルシステムをマウントする方法 (mount コマンド)

次の手順で、PCFS (DOS) ファイルシステムをハードディスクからマウントします。

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 必要に応じて、マウントするファイルシステムのマウントポイントを作成します。


    # mkdir /mount-point
    

    ファイルシステムをマウントするには、ローカルシステム上にマウントポイントを作成する必要があります。マウントポイントとは、マウントされるファイルシステムが接続されるディレクトリのことです。

  3. PCFS ファイルシステムをマウントします。


    # mount -F pcfs [-o rw | ro] /dev/dsk/device-name:logical-drive /mount-point
    

    -o rw | ro

    PCFS ファイルシステムを読み取り/書き込み (rw) または読み取り専用 (ro) にマウントできることを指定する。このオプションを指定しない場合のデフォルトは rw。 

    /dev/dsk/device-name

    ディスク全体のデバイス名を指定する (/dev/dsk/c0t0d0p0 など)

    logical-drive

    DOS の論理ドライブ名 (c から z) またはドライブ番号 (1 から 24) を指定する。ドライブ c はドライブ 1 に相当し、ディスク上の基本 DOS スライスを表す。他のすべてのドライブ名やドライブ番号は、拡張 DOS スライス内の DOS 論理ドライブを表す。 

    /mount-point

    ファイルシステムをマウントするディレクトリを指定する。 

    device-name」と「logical-drive」とは、コロンで区切る必要があります。

IA: 例 — ハードディスクから PCFS (DOS) ファイルシステムをマウントする (mount コマンド)

次の例は、基本 DOS スライス内の論理ドライブを /pcfs/c ディレクトリにマウントする方法を示しています。


# mount -F pcfs /dev/dsk/c0t0d0p0:c /pcfs/c

次の例は、拡張 DOS スライス内の最初の論理ドライブを /mnt に読み取り専用としてマウントする方法を示しています。


# mount -F pcfs -o ro /dev/dsk/c0t0d0p0:2 /mnt

ファイルシステムのマウント解除

ファイルシステムをマウント解除すると、ファイルシステムがそのマウントポイントから削除され、そのエントリが /etc/mnttab ファイルから削除されます。マウントされているファイルシステム上では、一部のファイルシステム管理作業を実行できません。次の場合には、ファイルシステムをマウント解除する必要があります。

umount -f オプションを使用すると、非常時に使用中のファイルシステムを強制的にマウント解除できます。ファイルを開いた状態でファイルシステムをマウント解除すると、データが失われる可能性があるため、非常時以外はこの操作を行わないようにしてください。このオプションは、UFS と NFS のファイルシステムでのみ使用できます。

ファイルシステムをマウント解除する場合の前提条件

ファイルシステムをマウント解除する場合の前提条件は次のとおりです。

ファイルシステムのマウント解除を確認する方法

ファイルシステムをマウント解除したことを確認するには、mount コマンドからの出力を調べます。


$ mount | grep unmounted-file-system
$

ファイルシステムを使用中のすべてのプロセスを終了させる方法

  1. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. どのプロセスを終了させるかがわかるように、ファイルシステムを使用中のすべてのプロセスを表示します。


    # fuser -c [ -u ] /mount-point
    

    -c

    ファイルシステムのマウントポイントとなっているファイルと、マウントされているファイルシステム内のファイルが表示される。 

    -u

    プロセス ID ごとにユーザーのログイン名が表示される。 

    /mount-point

    プロセスを終了させるファイルシステムの名前を指定する。 

  3. ファイルシステムを使用しているすべてのプロセスを終了させます。


    # fuser -c -k /mount-point
    

    ファイルシステムを使用している各プロセスに SIGKILL が送信されます。


    注 -

    ユーザーのプロセスを終了させるときには、必ず事前に警告してください。


  4. ファイルシステムを使用しているプロセスがないことを確認します。


    # fuser -c /mount-point
    

例 — あるファイルシステムを使用中のすべてのプロセスを終了させる

次の例は、/export/home ファイルシステムを使用中のプロセス 4006c を終了させる方法を示しています。


# fuser -c /export/home
/export/home:     4006c
# fuser -c -k /export/home
/export/home:     4006c
# fuser -c /export/home
/export/home: 

1 つのファイルシステムをマウント解除する方法

次の手順に従って、ファイルシステム (ルート (/)、/usr/var を除く) をマウント解除します。


注 -

ルート(/)、/usr/var の各ファイルシステムは、システムが機能するのに必要であるため、シャットダウン中でなければマウント解除できません。


  1. ファイルシステムをマウント解除する場合の前提条件の前提条件を満たしているかどうかを確認します。

  2. ファイルシステムをアンマウントします。


    # umount /mount-point
    

    /mount-point は、マウント解除するファイルシステムの名前を示します。次のいずれかを指定できます。

    • ファイルシステムがマウントされているディレクトリ 名

    • ファイルシステムのデバイス名パス

    • NFS ファイルシステムのリソース

    • LOFS ファイルシステムのループバックディレクトリ

例 — 1 つのファイルシステムをマウント解除する

次の例は、ローカルのホームディレクトリからファイルシステムをマウント解除する方法を示しています。


# umount /export/home

次の例は、ローカルディスクの 7 番目のスライス上のファイルシステムをマウント解除する方法を示しています。


# umount /dev/dsk/c0t0d0s7

次の例は、/export ファイルシステムを強制的にマウント解除する方法を示しています。


# umount -f /export
# 

次の例は、 /etc/vfstab ファイル内のすべてのファイルシステム (ルート (/)、 /proc/var/usr を除く) をマウント解除する方法を示しています。


# umountall

使用中のファイルシステムを除く、すべてのファイルシステムがマウント解除されます。