format.dat ファイル内の disk_type キーワードは、コントローラとディスクのモデルを定義します。各 disk_type 定義には、ディスクの物理ジオメトリに関する情報が含まれます。デフォルトの format.dat ファイルには、Solaris オペレーティング環境でサポートされるコントローラとディスクの定義が入っています。サポートされないディスクを使用する場合に限り、新しい disk_type を追加する必要があります。必要に応じて、disk_type 定義をデータファイルにいくつ追加してもかまいません。
キーワード自体が、ディスクタイプ名になります。この名前は、ディスクのラベルの一部になり、format ユーティリティの実行時にディスクタイプを識別するために使用されます。空白が含まれている名前は、二重引用符で囲んでください。次の表に、すべての disk_type 定義でキーワードの他に割り当てなければならない識別子を示します。
表 35-7 必須の disk_type 識別子
識別子 |
説明 |
---|---|
ctlr |
ディスクタイプで有効なコントローラのタイプ。現在、有効な値は SCSI と ATA である。 |
ncyl |
ディスクタイプ内のデータシリンダ数。この数によって、システムがアクセスできるディスクの論理シリンダ数が決まる。 |
acyl |
ディスクタイプ内の代替シリンダ数。format ユーティリティは、これらのシリンダを使用して、ドライブの欠陥リストなどの情報を格納する。代替シリンダとして、常に 2 つはシリンダを残しておく必要がある。 |
pcyl |
ディスクタイプ内の物理シリンダ数。この数値は、ディスクメディアの境界を計算するために使用される。通常、この数値は ncyl と acyl の合計に等しくなる。 |
nhead |
ディスクタイプ内のヘッド数。この数値は、ディスクメディアの境界を計算するために使用される。 |
nsect |
ディスクタイプ内の 1 トラック当たりのデータセクター数。この数値は、ディスクメディアの境界を計算するために使用される。これはデータセクターだけである。スペアは、各トラックのデータセクション数には含まれない。 |
rpm |
ディスクタイプの 1 分当たりの回転数。この情報はラベルに書き込まれ、後からファイルシステムでファイルデータの最適位置の計算に使用される。 |
コントローラによっては、他の識別子が必要な場合があります。次の表に、SCSI コントローラに必要な識別子を示します。
表 35-8 SCSI コントローラの disk_type 識別子
識別子 |
説明 |
---|---|
fmt_time |
所定のドライブのフォーマットに要する時間を示す数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 |
cache |
format ユーティリティの処理中にオンボードキャッシュの動作を制御する数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 |
trks_zone |
代替セクターのマッピング内で使用される 1 つの欠陥領域当たりのトラック数を指定した数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 |
asect |
所定の欠陥領域内で代替マッピングに利用可能なセクター数を指定する。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 |
次に、disk_type 定義の例を示します。
disk_type = "SUN1.3G" \ : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 \ : trks_zone = 17 : asect = 6 : atrks = 17 \ : ncyl = 1965 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 17 : nsect = 80 \ : rpm = 5400 : bpt = 44823 disk_type = "SUN2.1G" \ : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 \ : ncyl = 2733 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 19 : nsect = 80 \ : rpm = 5400 : bpt = 44823 disk_type = "SUN2.9G" \ : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 \ : ncyl = 2734 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 21 : nsect = 99 \ : rpm = 5400 |