Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

デバイスクリーンスクリプト

「デバイスクリーン」スクリプトは、使用可能なすべてのデータを再使用する前に物理デバイスからパージするというセキュリティ要件に対応するものです。デフォルトでは、カートリッジテープドライブ、フロッピーディスクドライブ、CD-ROM デバイス、オーディオデバイスには、必要なデバイスクリーンスクリプトが用意されています。この節では、デバイスクリーンスクリプトが実行する処理について説明します。

オブジェクトの再使用

デバイス割り当てによって、オブジェクト再使用の要件の一部が満たされます。デバイスクリーンスクリプトによって、あるユーザーがデバイス上に残したデータは、そのデバイスが別のユーザーによって割り当て可能になる前に確実にクリアされます。

テープ用のデバイスクリーンスクリプト

st_clean デバイスクリーンスクリプトでは、3 つのテープデバイスがサポートされます。サポートされるテープデバイスは次のとおりです。

st_cleanスクリプトでは、mt コマンドの rewofflオプションを使用して、デバイスのクリーンアップを制御します。詳細は、mt(1) のマニュアルページを参照してください。st_clean スクリプトは、システムブート中に実行されると、デバイスを照会し、そのデバイスがオンラインになっていてメディアが挿入されているかどうかを調べます。1/4 インチのテープデバイスにメディアが挿入されているときは、そのデバイスは強制的に割り当てエラー状態になるため、システム管理者はそのデバイスを手動でクリーンアップする必要があります。

通常のシステム操作中に、allocate または deallocate コマンドを対話型モードで実行すると、割り当てを解除しようとしているデバイスからメディアを取り出すように求めるプロンプトが表示されます。スクリプトは、メディアがデバイスから取り出されるまで一時停止します。

フロッピーディスクと CD-ROM 用のデバイスクリーンスクリプト

次の表に、フロッピーディスクとCD-ROM 用のデバイスクリーンスクリプトを示します。

表 26–9 フロッピーディスクと CD-ROM 用のデバイスクリーンスクリプト

ディスクデバイスの種類 

デバイスクリーンスクリプト 

フロッピーディスク 

fd_clean

CD-ROM  

sr_clean

スクリプトは、eject コマンドを使用してドライブからメディアを取り出します。詳細については、eject(1) のマニュアルページを参照してください。eject コマンドが失敗すると、デバイスは割り当てエラー状態になります。

オーディオ用のデバイスクリーンスクリプト

オーディオデバイスは、audio-clean スクリプトを使用してクリーンアップします。スクリプトは、AUDIO_DRAIN ioctl システムコールを実行してデバイスをフラッシュしてから、AUDIO_SETINFO ioctl システムコールコマンドを実行してデバイス構成をデフォルトにリセットします。また、スクリプトは AUDIOGETREG ioctl システムコールを使用して、オーディオチップレジスタを検出します。レジスタのデフォルト設定にリセットする場合は、AUDIOSETREG ioctl システムコールを使用します。

新しいデバイスクリーンスクリプトの作成

システムに新しく割り当て可能デバイスを追加する場合は、独自のデバイスクリーンスクリプトを作成する必要があります。deallocate コマンドは、デバイスクリーンスクリプトにパラメータを渡します。次のように、パラメータはデバイス名が入った文字列です (device_allocate(4) のマニュアルページを参照)。


st_clean -[I|F|S] device-name

デバイスクリーンスクリプトは、正常終了した場合は 0 を、失敗した場合は 1 以上の値を返します。オプション -I-F-S を使用すると、スクリプトに実行モードを判断させることができます。

-I オプションは、システムをブートするときにだけ指定します。すべての出力は、システムコンソールに送られます。失敗した場合や、メディアを強制的に取り出せない場合は、デバイスを割り当てエラー状態にします。

-F オプションは、強制クリーンアップを行うときに指定します。このオプションは対話型で、ユーザーがプロンプトに応答するものと見なします。このオプションが付いたスクリプトは、クリーンアップの一部に失敗した場合に、クリーンアップ全体を完了しようとします。

-S オプションは、標準クリーンアップを行うときに指定します。このオプションは対話型で、ユーザーがプロンプトに応答するものと見なします。