認証処理を理解するには、この節で説明する用語を理解する必要があります。プログラマやシステム管理者はこれらの用語に精通している必要があります。
「クライアント」は、ユーザーのワークステーションで動作するソフトウェアです。クライアントで動作する SEAM ソフトウェアは、処理中に多数の要求を作成します。このため、SEAM ソフトウェアとユーザーの動作を区別することが重要です。
「サーバー」と「サービス」はよく同じ意味で使われます。明確に定義すると、「サーバー」は、SEAM ソフトウェアが動作する物理システムです。「サービス」は、サーバー上でサポートされる特定の機能 ( nfs など) です。サーバーがサービスの一部として記述されることがよくありますが、これはこれらの用語の定義をあいまいにします。このマニュアルでは、サーバーという用語は、物理システムを指し、サービスという用語は、ソフトウェアを指します。
SEAM 製品には 3 種類の鍵があります。1 つは「非公開鍵」です。この鍵は各ユーザー (主体) に与えられ、主体のユーザーと KDC だけに知られています。ユーザー主体に対しては、鍵はユーザーのパスワードに基づいています。サーバーとサービスに対する鍵は「サービス鍵」と呼ばれます。サービス鍵は非公開鍵と同じ目的で使われますが、これはサーバーとサービスによって使用されます。3 つ目の鍵は「セッション鍵」です。セッション鍵は、認証サービスまたはチケット認可サービスによって生成されます。セッション鍵は、クライアントとサービス間のトランザクションのセキュリティを保護するために生成されます。
「チケット」は、ユーザーの識別情報をサーバーやサービスに安全に渡すために使用される情報パケットです。チケットは、単一クライアントと特定サーバー上の特定サービスだけに有効です。チケットには、サービスの主体名、ユーザーの主体名、ユーザーのホストの IP アドレス、タイムスタンプ、チケットの有効期限を定義する値などが含まれます。チケットは、クライアントとサービスによって使用されるランダムセッション鍵を使用して作成されます。チケットは、作成されてから有効期限まで再使用できます。
「資格」は、対応するセッション鍵とチケットを含む情報パケットです。一般に資格は、資格を暗号化するソフトウェアにより、非公開鍵かサービス鍵を使用して暗号化されます。
「オーセンティケータ (authenticator)」はさらに別の種類の情報です。これをチケットとともに使用すると、ユーザー主体の認証に使用できます。オーセンティケータには、ユーザーの主体名、ユーザーのホストの IP アドレス、タイムスタンプが含まれます。チケットとは異なり、オーセンティケータは一度しか使用できません。通常、サービスへのアクセスが要求されたときに使用されます。オーセンティケータは、そのクライアントとそのサーバーのセッション鍵を使用して暗号化されます。