IPv6 の管理

IPv6 セキュリティの強化

現在のインターネットには多くのセキュリティ問題があります。インターネットでは、アプリケーション層より下の層には有効な機密機構や認証機構がありません。この欠点に対し、IPv6 では、セキュリティサービスを提供する 2 つの統合オプションを設けて対応しています。この 2 つのオプションは、別々に、あるいはまとめて使用してさまざまなユーザーにさまざまなセキュリティレベルを提供できます。ユーザー通信が異なれば、セキュリティのニーズも異なります。

最初のオプションは IPv6 認証ヘッダー (AH) と呼ばれる拡張ヘッダーです。この拡張ヘッダーは、IPv6 データグラムに機密性を持たない認証と完全性を提供します。この拡張機能はアルゴリズムに依存せず、さまざまな認証方式をサポートします。認証ヘッダーは、ワールドワイドなインターネット内の相互運用性の保証を支援するために、それを使用することが提案されています。認証ヘッダーを使用することにより、ホストなりすまし攻撃など、主なネットワーク侵害を回避できます。IPv6 でソースルーティングを使用する場合、IP ソースルーティングに明らかな危険性があるので IPv6 認証ヘッダーが重要になります。上位層プロトコルおよび上位層サービスには、現在有効な保護策はありません。しかし、インターネット層に認証ヘッダーを使用することで、ホスト発信元認証を提供できます。

2 番めのオプションである、IPv6 カプセル化セキュリティペイロード (ESP) と呼ばれる拡張ヘッダーは、IPv6 データグラムに完全性と機密性を提供します。いくつかの同じようなセキュリティプロトコル よりも単純ですが、ESP はフレキシブルなままで、独立したアルゴリズムです。同様のセキュリティプロトコルには、SP3D とISO NLSP が含まれます。

IPv6 認証ヘッダーと IPv6 カプセル化セキュリティヘッダーは、新しいインターネットプロトコルセキュリティ (IPsec) の機能です。IPsec の概要については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「IPsec (概要)」を参照してください。IP sec の実装の方法については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「IPsec 実装の作業マップ」を参照してください。