IPv6 の管理

IPv6 向けに追加または変更されたユーティリティ

IPv6 実装向けに以下のユーティリティの追加または変更が行われました。

ifconfig ユーティリティに対する IPv6 拡張機能

ifconfig ユーティリティにより、IPv6 インタフェースとトンネルモジュールを結合できるようになりました。ifconfig(1M) ユーティリティでは、ioctl の拡張セットで IPv4 ネットワークインタフェースと IPv6 ネットワークインタフェースの両方を設定します。次に、ifconfig に追加されたオプションを示します。このユーティリティによる診断手順については、インタフェースアドレス割り当ての表示方法を参照してください。

表 3–1 新しい ifconfig ユーティリティオプション

オプション 

説明 

index

インタフェースインデックスを設定する 

tsrc/ tdst

トンネルソース / 宛先を設定する 

addif

論理インタフェースの次の候補を作成する 

removeif

指定された IP アドレスの論理インタフェースを削除する 

destination

インタフェースにポイントツーポイント宛先アドレスを設定する 

set

インタフェースにアドレスとネットマスクのどちらか、または両方を設定する 

subnet

インタフェースのサブネットアドレスを設定する 

xmit/ -xmit

インタフェースにおけるパケット伝送を使用可能または使用不能する 

IPv6 設定手順については、IPv6 ノードを有効にするを参照してください。

例 – 新しい ifconfig コマンドオプション

次に示す ifconfig コマンドは、まず hme0:3 論理インタフェースを 1234::5678/64 IPv6 アドレスに作成します。次に up オプションでインタフェースを使用可能にし、状態を報告し、インタフェースを使用不可にします。最後に、インタフェースを削除します。


例 3–1 例 – addifremoveif の使用


# ifconfig hme0 inet6 addif 1234::5678/64 up
Created new logical interface hme0:3

# ifconfig hme0:3 inet6
hme0:3: flags=2000841<UP,RUNNING,MULTICAST,IPv6> mtu 1500 index 2
		inet6 1234::5678/64 

# ifconfig hme0:3 inet6 down

# ifconfig hme0 inet6 removeif 1234::5678

次に示す ifconfig コマンドは、まず物理インタフェース名に関連付けられたデバイスを開きます。次に TCP/IP がデバイスを使用するために必要なストリームを構成し、デバイスの状態を報告し、トンネルのソースアドレスと宛先アドレスを構成します。最後に、構成後のデバイスの最新状態を報告します。


例 3–2 例 – tsrc/tdstindex


# ifconfig ip.tun0 inet6 plumb index 13

# ifconfig ip.tun0 inet6
ip.tun0: flags=2200850<POINTOPOINT,RUNNING,MULTICAST,NONUD,
#IPv6> mtu 1480 index 13
		inet tunnel src 0.0.0.0 
		inet6 fe80::/10 --> :: 

# ifconfig ip.tun0 inet6 tsrc 120.46.86.158 tdst 120.46.86.122

# ifconfig ip.tun0 inet6
ip.tun0: flags=2200850<POINTOPOINT,RUNNING,MULTICAST,NONUD,
IPv6> mtu 1480 index 13
		inet tunnel src 120.46.86.158  tunnel dst 120.46.86.122
		inet6 fe80::8192:569e/10 --> fe80::8192:567a


例 3–3 ifconfig による 6to4 の設定—長い形式


# ifconfig ip.6to4tun0 inet6 plumb
# ifconfig ip.6to4tun0 inet tsrc 129.146.86.187 \
2002:8192:56bb:1::8192:56bb/64 up

# ifconfig ip.6to4tun0 inet6
ip.6to4tun0: flags=2200041<UP,RUNNING,NONUD,IPv6>mtu 1480 index 11
        inet tunnel src 129.146.86.187 
        tunnel hop limit 60 
        inet6 2002:8192:56bb:1::8192:56bb/64 

この 6to4 擬似インタフェース設定例は、サブネット ID として 1 を使用し、ホスト ID を 16 進形式で指定しています。



例 3–4 ifconfig による 6to4 の設定—短い形式


# ifconfig ip.6to4tun0 inet6 plumb
# ifconfig ip.6to4tun0 inet tsrc 129.146.86.187 up

# ifconfig ip.6to4tun0 inet6
ip.6to4tun0: flags=2200041<UP,RUNNING,NONUD,IPv6>mtu 1480 index 11
        inet tunnel src 129.146.86.187 
        tunnel hop limit 60 
        inet6 2002:8192:56bb::1/64 

6to4relay コマンド

6to4 トンネリングを使用すると、独立した 6to4 サイト間の通信が行えます。しかし、6to4 以外のネイティブ IPv6 サイトにパケットを転送する場合は、6to4 ルーターは 6to4 リレールーターとのトンネルを確立する必要があります。このトンネルが確立されると、6to4 リレールーターによって 6to4 パケットが IPv6 ネットワークに転送され、最終的にネイティブ IPv6 サイトに送信されます。6to4 サイトがネイティブ IPv6 サイトとデータを交換しなければならない場合は、6to4relay コマンドを使用して適切なトンネルを設定します。

リレールーターの使用は安全とは言えないため、Solaris オペレーティングシステムのデフォルト設定ではリレールーターとの間のトンネリングは無効になっています。このシナリオを実践に移す場合は、6to4 リレールーターとの間のトンネル構築に伴って発生する問題点をあらかじめ慎重に検討してください。6to4 リレールーターの詳細は、6to4 リレールーターとの間のトンネルについての考慮事項を参照してください。6to4 リレールーターのサポートを有効にする場合の関連作業については、6to4 リレールーターとの間の 6to4 トンネルの設定方法に示されています。

6to4relay の構文

6to4relay コマンドの書式は次のとおりです。


6to4relay -e [-a IPv4-address] -d -h

-e

6to4 ルーターとエニーキャスト 6to4 リレールーター間のトンネルサポートを有効にします。このオプションを指定すると、トンネルのエンドポイントアドレスが 192.88.99.1 (6to4 リレールーターのエニーキャストグループのデフォルトアドレス) に設定されます。

-a IPv4–address

6to4 ルーターと指定された IPv4–address の 6to4 リレールーター間にトンネルを確立します。

-d

6to4 リレールーターとの間のトンネリングのサポートを無効にします。これは、Solaris オペレーティングシステムのデフォルトの設定です。

–h

6to4relay の使用方法に関するヘルプ情報を表示します。

詳細は、6to4relay(1M) のマニュアルページを参照してください。

例—6to4 リレールーターサポートの状態の表示

引数を指定せずに 6to4relay を実行すると、6to4 リレールーターサポートの現在の状態が表示されます。最初の例はデフォルトの状態を示しています。


# /usr/sbin/6to4relay
6to4relay:6to4 Relay Router communication support is disabled

リレールーターサポートが有効に設定されている場合には、6to4relay を実行すると次のように表示されます。


# /usr/sbin/6to4relay
6to4relay:6to4 Relay Router communication support is enabled
IPv4 destination address of Relay Router=192.88.99.1

6to4relay-a オプションと IPv4 アドレスを指定すると、192.88.99.1 ではなく、-a で指定した IPv4 アドレスが表示されます。

–d–e、および -a IPv4 address オプションの実行が正常に完了した場合、6to4relay はそのことを報告しません。しかし、これらのオプションの実行時に発生した可能性のあるエラーは表示します。