Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

第 6 章 プロジェクトとタスク

この章では、Solaris の資源管理機能のうち、プロジェクトおよびタスク機能について説明します。プロジェクトとタスクは、作業負荷にラベル付けを行い、他の作業負荷と区別するために使用されます。プロジェクトは、関連した作業に対してネットワーク全体で適用される管理識別子を与えます。タスクは、プロセスのグループを、作業負荷コンポーネントを表す管理しやすいエンティティにまとめます。

概要

作業負荷の応答性を最適化するには、まず分析対象のシステム上で実行中の作業負荷を特定できなければなりません。この情報は、プロセス指向の手法とユーザー指向の手法のどちらか一方だけを使用して取得できるものではありません。Solaris 環境では、作業負荷を区別して特定するための 2 つの追加機能、プロジェクトとタスクを利用できます。

実行中のプロセスは、そのプロセスのプロジェクトメンバーシップまたはタスクメンバーシップに基づいて、Solaris の標準コマンドを使って操作できます。 拡張アカウンティング機能は、プロセスとタスクの両方の使用状況についてレポートを作成し、各レコードに管理用プロジェクト識別子のタグを付けることができます。この処理により、オフラインで行う作業負荷分析作業をオンラインでの監視作業と関連付けることができます。プロジェクト識別子は、project ネームサービスデータベースを介して複数のマシンで共有できます。したがって、最終的には、複数のマシン上で実行される (つまり複数のマシンにわたる) 関連した作業負荷の資源消費をすべてのマシンについて分析できます。

プロジェクト

プロジェクト識別子は、関連する作業を特定するために使用される管理識別子です。プロジェクト識別子は、ユーザー識別子やグループ識別子と同様な、作業負荷に付けられているタグと考えることができます。ユーザーまたはグループは 1 つ以上のプロジェクトに所属できます。プロジェクトは、ユーザーまたはユーザーグループが参加することを許可されている作業負荷を表すために使用します。このメンバーシップは、たとえば、使用状況や初期資源割り当てに基づくチャージバックの根拠となります。ユーザーにはデフォルトのプロジェクトを割り当てる必要がありますが、ユーザーが起動するプロセスは、ユーザーが属しているプロジェクトであれば、どのプロジェクトにでも関連付けることができます。

ユーザーのデフォルトプロジェクトの判定

システムにログインするには、そのユーザーにデフォルトのプロジェクトが割り当てられている必要があります。

システム上の各プロセスはプロジェクトのメンバーシップを所有しているため、ログインやその他の初期処理にデフォルトのプロジェクトを割り当てるアルゴリズムが必要です。デフォルトプロジェクトを判定するアルゴリズムは、4 つの手順から成ります。デフォルトプロジェクトが見つからない場合、ユーザーのログインまたはプロセスの開始要求は拒否されます。

システムは、次の手順でユーザーのデフォルトプロジェクトを判定します。

  1. ユーザーが、/etc/user_attr 拡張ユーザー属性データベースで定義されている project 属性のエントリを持っている場合は、その project 属性の値がデフォルトプロジェクトになります (user_attr(4) 参照)。

  2. user.user-id という名前のプロジェクトが project(4) データベースにある場合は、そのプロジェクトがデフォルトプロジェクトになります。

  3. group.group-name というプロジェクトが project データベースにあり、group-name がユーザーのデフォルトのグループ名 (passwd(4) で指定されている) である場合は、そのプロジェクトがデフォルトプロジェクトになります。

  4. project データベースに default という特別なプロジェクトがある場合は、そのプロジェクトがデフォルトプロジェクトになります。

このロジックは getdefaultproj() ライブラリ関数が提供します (getprojent(3PROJECT) 参照)。

project データベース

プロジェクトのデータは、ローカルファイル、ネットワーク情報サービス (NIS) のプロジェクトマップ、または LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) ディレクトリサービスに保存できます。/etc/project データベースまたはネームサービスは、ログイン時、および PAM (Pluggable Authentication Module) によるアカウント管理に対する要求があったときに使用され、ユーザーをデフォルトのプロジェクトに結合します。


注 –

プロジェクトデータベース内のエントリに対する更新は、/etc/project ファイルまたはネットワークネームサービスのデータベース表現のどちらに対するものであっても、現在アクティブなプロジェクトには適用されません。 更新内容は、login(1) または newtask(1) が使用されたときに、プロジェクトに新たに参加するタスクに適用されます。


PAM サブシステム

アカウント情報の変更や設定を行う操作には、システムへのログイン、rcp または rsh コマンドの呼び出し、ftp の使用、su の使用などがあります。 アカウント情報の変更や設定が必要な場合は、設定可能なモジュール群を使用して、認証、アカウント管理、資格管理、セッション管理などを行います。

プロジェクト用のアカウント管理 PAM モジュールについては、pam_projects(5) のマニュアルページを参照してください。PAM システムについては、pam(3PAM)pam.conf(4) および pam_unix(5) のマニュアルページを参照してください。

ネームサービス構成

資源管理は、ネームサービス project データベースをサポートします。project データベースが格納されている場所は、/etc/nsswitch.conf で指定されます。デフォルトでは files が最初に指定されていますが、ソースは任意の順序で指定できます。


project: files [nis] [ldap]

プロジェクト情報に対して複数のソースが指定されている場合、ルーチンは最初に指定されているソースで情報を検索し、次にその後に続くデータベースを検索します。

/etc/nsswitch.conf の詳細については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』の「ネームサービススイッチ (概要)」および nsswitch.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

ローカルの project ファイルの形式

nsswitch.confproject データベースとして files を選択した場合、ログインプロセスはプロジェクト情報を /etc/project ファイルで検索します (projects(1) および project(4) 参照)。project ファイルには、システムによって認識されるプロジェクトごとにエントリが 1 行ずつ、次の形式で記述されています。


projname:projid:comment:user-list:group-list:attributes

フィールドの定義は次のとおりです。

projname

プロジェクト名。英数字、下線 (_)、ハイフン (-) から成る文字列を指定します。最初の文字は英字でなければなりません。projname に、ピリオド (.)、コロン (:)、または改行文字を使用することはできません。

projid

システムでプロジェクトに割り当てられる一意の数値 ID (PROJID)。projid フィールドの最大値は UID_MAX (2147483647) です。

comment

プロジェクトの説明です。

user-list

プロジェクトへの参加を許可されたユーザーをコンマで区切ったリストです。

このフィールドではワイルドカードを使用できます。アスタリスク (*) を指定した場合、すべてのユーザーにプロジェクトへの参加を許可します。感嘆符に続けてアスタリスクを指定した場合 (!*)、すべてのユーザーのプロジェクトへの参加を拒否します。 感嘆符 (!) に続けてユーザー名を指定した場合、指定されたユーザーのプロジェクトへの参加を拒否します。

group-list

プロジェクトへの参加を許可されたユーザーのグループをコンマで区切ったリストです。

このフィールドではワイルドカードを使用できます。アスタリスク (*) を指定した場合、すべてのグループにプロジェクトへの参加を許可します。 感嘆符に続けてアスタリスクを指定した場合 (!*)、すべてのグループのプロジェクトへの参加を拒否します。 感嘆符 (!) に続けてグループ名を指定した場合、指定されたグループのプロジェクトへの参加を拒否します。

attributes

名前と値の組をセミコロンで区切ったリストです (第 8 章「資源制御」参照)。name は、オブジェクトに関連する属性を指定する任意の文字列です。また value はその属性のオプション値です。


name[=value]

名前と値の組で、名前に使用できるのは、文字、数字、下線、ピリオドに制限されます。rctl のカテゴリとサブカテゴリの区切り文字にはピリオドを使用します。属性名の最初の文字は英字にする必要があります。名前については大文字と小文字は区別されます。

値を、コンマと括弧を使用して構造化することにより、優先順位を設定できます。セミコロンは、名前と値の組を区切るために使用されるので、値の定義には使用できません。コロンは、プロジェクトフィールドを区切るために使用されるので、値の定義には使用できません。


注 –

このファイルを読み取るルーチンは、無効なエントリを検出すると停止します。 このため、無効なエントリの後に指定されているプロジェクトの割り当ては実行されません。


次に、デフォルトの /etc/project ファイルの例を示します。


system:0:System:::
user.root:1:Super-User:::
noproject:2:No Project:::
default:3::::
group.staff:10::::

次に、デフォルトの/etc/project ファイルの最後にプロジェクトエントリを追加した例を示します。


system:0:System:::
user.root:1:Super-User:::
noproject:2:No Project:::
default:3::::
group.staff:10::::
user.ml:2424:Lyle Personal:::
booksite:4113:Book Auction Project:ml,mp,jtd,kjh::

/etc/project ファイルに資源制御を追加する方法については、資源制御の使用を参照してください。

NIS のネームサービス構成

NIS を使用している場合は、NIS マップ内でプロジェクトを検索するように、/etc/nsswitch.conf ファイルで指定できます。


project: nis files 

NIS マップの project.bynameproject.bynumber はどちらも、次に示すように /etc/project ファイルと同じ形式です。


projname:projid:comment:user-list:group-list:attributes

詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

LDAP のディレクトリサービス構成

LDAP を使用している場合は、LDAP エントリでプロジェクトを検索するように、/etc/nsswitch.conf ファイルで指定できます。


project: ldap files

LDAP データベースにおけるプロジェクトエントリのスキーマなどの詳細については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』の「LDAP の一般的なリファレンス」を参照してください。

タスク

プロジェクトへのログインが成功するたびに、ログインプロセスを含む新しい「タスク」が作成されます。タスクは、時間をかけて行われる一連の作業を表すプロセスです。また、タスクは作業負荷コンポーネントと考えることもできます。

各プロセスは、1 つのタスクのメンバーであり、各タスクは 1 つのプロジェクトに関連付けられています。

図 6–1 プロジェクトとタスクのツリー

この図では、1 つのプロジェクトに 3 つのタスクが関連付けられており、各タスクの下に 2 〜 4 つのプロセスがあります。

シグナル送信のようなセッション上のすべての操作も、タスクでサポートされています。タスクをプロセッサセットに結合して、スケジューリングの優先順位とクラスを設定することにより、タスク内の現在のプロセスとそれに続くすべてのプロセスを変更することもできます。

タスクは、ログイン時に作成されるほか (login(1) 参照)、cron(1M)newtask(1)、および setproject(3PROJECT) によっても作成されます。

拡張アカウンティング機能は、タスクレベルで集計されたプロセスのアカウンティングデータを提供できます。

プロジェクトとタスクの管理に使用するコマンド

コマンド名 

説明 

projects(1)

ユーザーのプロジェクトメンバーシップを表示する 

newtask(1)

ユーザーのデフォルトのシェルまたは指定されたコマンドを実行し、指定されたプロジェクトが所有する新しいタスクに実行コマンドを配置する。また、newtask は、実行中のプロセスに結合するタスクとプロジェクトを変更するためにも使用できる

projadd(1M)

/etc/project ファイルに新しいプロジェクトエントリを追加する。projadd は、ローカルシステム上にだけプロジェクトエントリを作成する。projadd は、ネットワークネームサービスから提供される情報は変更できない

projmod(1M)

ローカルシステム上のプロジェクトの情報を変更する。 projmod は、ネットワークネームサービスから提供される情報は変更できない。ただし、このコマンドは、外部のネームサービスに対してプロジェクト名とプロジェクト ID の一意性を確認する

projdel(1M)

ローカルシステムからプロジェクトを削除する。projdel は、ネットワークネームサービスから提供される情報は変更できない

プロジェクトとタスクで使用するコマンドオプション

ps

タスクおよびプロジェクトの ID を表示するには、ps -o を使用します。たとえば、プロジェクト ID を表示するには、次のように入力します。


# ps -o user,pid,uid,projid
USER PID   UID  PROJID
jtd  89430 124  4113

id

ユーザーおよびグループ ID に加えて、現在のプロジェクト ID を表示するには、id -p を使用します。user オペランドを指定した場合、そのユーザーの通常のログインに関連付けられたプロジェクトが表示されます。


#  id -p
uid=124(jtd) gid=10(staff) projid=4113(booksite)

pgreppkill

特定のリスト内のプロジェクト ID と一致するプロセスだけを表示するには、次のように入力します。


# pgrep -J projidlist
# pkill -J projidlist

特定のリスト内のタスク ID と一致するプロセスだけを表示するには、次のように入力します。


# pgrep -T taskidlist
# pkill -T taskidlist

prstat

システムで現在実行中のプロセスとプロジェクトのさまざまな統計情報を表示するには、次のように入力します。


% prstat -J
	  PID USERNAME  SIZE   RSS STATE  PRI NICE      TIME  CPU PROCESS/NLWP
 21634 jtd      5512K 4848K cpu0    44    0   0:00.00 0.3% prstat/1
   324 root       29M   75M sleep   59    0   0:08.27 0.2% Xsun/1
 15497 jtd        48M   41M sleep   49    0   0:08.26 0.1% adeptedit/1
   328 root     2856K 2600K sleep   58    0   0:00.00 0.0% mibiisa/11
  1979 jtd      1568K 1352K sleep   49    0   0:00.00 0.0% csh/1
  1977 jtd      7256K 5512K sleep   49    0   0:00.00 0.0% dtterm/1
   192 root     3680K 2856K sleep   58    0   0:00.36 0.0% automountd/5
  1845 jtd        24M   22M sleep   49    0   0:00.29 0.0% dtmail/11
  1009 jtd      9864K 8384K sleep   49    0   0:00.59 0.0% dtwm/8
   114 root     1640K  704K sleep   58    0   0:01.16 0.0% in.routed/1
   180 daemon   2704K 1944K sleep   58    0   0:00.00 0.0% statd/4
   145 root     2120K 1520K sleep   58    0   0:00.00 0.0% ypbind/1
   181 root     1864K 1336K sleep   51    0   0:00.00 0.0% lockd/1
   173 root     2584K 2136K sleep   58    0   0:00.00 0.0% inetd/1
   135 root     2960K 1424K sleep    0    0   0:00.00 0.0% keyserv/4
PROJID    NPROC  SIZE   RSS MEMORY      TIME  CPU PROJECT
    10       52  400M  271M    68%   0:11.45 0.4% booksite
     0       35  113M  129M    32%   0:10.46 0.2% system

Total: 87 processes, 205 lwps, load averages: 0.05, 0.02, 0.02

システムで現在実行中のプロセスとタスクのさまざまな統計情報を表示するには、次のように入力します。


% prstat -T
   PID USERNAME  SIZE   RSS STATE  PRI NICE      TIME  CPU PROCESS/NLWP
 23023 root       26M   20M sleep   59    0   0:03:18 0.6% Xsun/1
 23476 jtd        51M   45M sleep   49    0   0:04:31 0.5% adeptedit/1
 23432 jtd      6928K 5064K sleep   59    0   0:00:00 0.1% dtterm/1
 28959 jtd        26M   18M sleep   49    0   0:00:18 0.0% .netscape.bin/1
 23116 jtd      9232K 8104K sleep   59    0   0:00:27 0.0% dtwm/5
 29010 jtd      5144K 4664K cpu0    59    0   0:00:00 0.0% prstat/1
   200 root     3096K 1024K sleep   59    0   0:00:00 0.0% lpsched/1
   161 root     2120K 1600K sleep   59    0   0:00:00 0.0% lockd/2
   170 root     5888K 4248K sleep   59    0   0:03:10 0.0% automountd/3
   132 root     2120K 1408K sleep   59    0   0:00:00 0.0% ypbind/1
   162 daemon   2504K 1936K sleep   59    0   0:00:00 0.0% statd/2
   146 root     2560K 2008K sleep   59    0   0:00:00 0.0% inetd/1
   122 root     2336K 1264K sleep   59    0   0:00:00 0.0% keyserv/2
   119 root     2336K 1496K sleep   59    0   0:00:02 0.0% rpcbind/1
   104 root     1664K  672K sleep   59    0   0:00:03 0.0% in.rdisc/1
TASKID    NPROC  SIZE   RSS MEMORY      TIME  CPU PROJECT                     
   222       30  229M  161M    44%   0:05:54 0.6% group.staff                 
   223        1   26M   20M   5.3%   0:03:18 0.6% group.staff                 
    12        1   61M   33M   8.9%   0:00:31 0.0% group.staff                 
     1       33   85M   53M    14%   0:03:33 0.0% system                      

Total: 65 processes, 154 lwps, load averages: 0.04, 0.05, 0.06	

注 –

-J オプションと -T オプションを一緒に使用することはできません。


プロジェクトとタスクでの cronsu の使用

cron

cron コマンドは、settaskid を発行し、実行を要求したユーザーの適切なデフォルトプロジェクトを使用して、cronat、および batch の各ジョブが別のタスクで実行されるようにします。また、at および batch コマンドは、現在のプロジェクト ID を取得して at ジョブを実行するときにプロジェクト ID が復元されるようにします。

su

ユーザーのデフォルトプロジェクトを切り替え、その結果として新しいタスクを作成する (ログインのシミュレーションの一環として) には、次のように入力します。


# su - user

呼び出し側のプロジェクト ID を保持するには、- フラグを付けずに su コマンドを発行します。


# su user

プロジェクト管理の例

プロジェクトを定義して現在のプロジェクトを表示する方法

次の例は、projadd および projmod コマンドを使用する方法を示します。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. システムのデフォルトの /etc/project ファイルを表示します。


    # cat /etc/project
    system:0::::
    user.root:1::::
    noproject:2::::
    default:3::::
    group.staff:10::::
  3. booksite というプロジェクトを追加し、追加したプロジェクトを mark という名前のユーザーにプロジェクト ID 番号 4113 で割り当てます。


    # projadd -U mark -p 4113 booksite
    
  4. 再度 /etc/project ファイルを表示し、プロジェクトが追加されていることを確認します。


    # cat /etc/project
    system:0::::
    user.root:1::::
    noproject:2::::
    default:3::::
    group.staff:10::::
    booksite:4113::mark::
  5. comment フィールドにプロジェクトを説明するコメントを追加します。


    # projmod -c `Book Auction Project' booksite
    
  6. /etc/project ファイルに加えた変更を確認します。


    # cat /etc/project
    system:0::::
    user.root:1::::
    noproject:2::::
    default:3::::
    group.staff:10::::
    booksite:4113:Book Auction Project:mark::

/etc/project ファイルからプロジェクトを削除する方法

次の例は、projdel コマンドを使ってプロジェクトを削除する方法を示します。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. projdel コマンドを使ってプロジェクト booksite を削除します。


    # projdel booksite
    
  3. /etc/project ファイルを表示します。


    # cat /etc/project
    system:0::::
    user.root:1::::
    noproject:2::::
    default:3::::
    group.staff:10::::
  4. ユーザー名 mark でログインし、projects と入力して、割り当てられているプロジェクトを表示します。


    # su - mark
    # projects
    default

ユーザーおよびプロジェクトのメンバーシップ情報を取得する方法

-p フラグを付けて id コマンドを使用し、起動中のプロセスの現在のプロジェクトメンバーシップを表示します。


$ id -p
uid=100(mark) gid=1(other) projid=3(default)

新しいタスクを作成する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. システムのタスク ID を取得するための -v (冗長) オプションを付けた newtask コマンドを使用して、booksite プロジェクトに新しいタスクを作成します。


    # newtask -v -p booksite
    16

    newtask を実行すると、指定したプロジェクト内に新しいタスクが作成され、そのタスクにユーザーのデフォルトのシェルが置かれます。

  3. 起動中のプロセスの現在のプロジェクトメンバーシップを表示します。


    # id -p
    uid=100(mark) gid=1(other) projid=4113(booksite)

    今度は、プロセスが新しいプロジェクトのメンバーになっています。

実行中のプロセスを新しいタスクに移動する方法

次の例は、実行中のプロセスを別のタスクとプロジェクトに関連付ける方法を示します。このタスクを実行するには、スーパーユーザーでなければなりません。または、プロセスの所有者で、かつ新しいプロジェクトのメンバーでなければなりません。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. book_catalog プロセスのプロセス ID を取得します。


    # pgrep book_catalog
    	8100
  3. プロセス 8100 を、新しいタスク ID を使って booksite プロジェクトに関連付けます。


    # newtask -v -p booksite -c 8100
    	17

    -c オプションは、newtask が指定された既存のプロセスに対して動作することを指定します。

  4. タスクとプロセス ID の対応を確認します。


    # pgrep -T 17
    	8100