Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

第 12 章 Solaris 管理コンソールの資源制御機能

この章では、Solaris 管理コンソールの資源制御機能とパフォーマンス監視機能について説明します。

このコンソールでは、システムのパフォーマンスを監視したり、プロジェクト、タスク、およびプロセスに資源制御の値を設定したりします。このコンソールは、何台ものシステムに渡って設定されている数百の構成パラメータを管理する際に、コマンド行インタフェース (CLI) の代わりとして使用できる便利で安全なツールです。各システムは個別に管理されます。このコンソールのグラフィカルインタフェースは、ユーザーの経験レベルに合った使い方ができます。

Solaris 管理コンソールの使用 (作業マップ)

作業 

説明 

参照先 

Solaris 管理コンソールを使用する 

ローカル環境、ネームサービス環境、またはディレクトリサービス環境で Solaris 管理コンソールを起動する。 ネームサービス環境では、パフォーマンスツールは使用できない 

Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris 管理コンソールを起動する」および『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「ネームサービス環境で Solaris 管理ツールを使用する (作業マップ)」

システムのパフォーマンスを監視する 

「System Status」の下にあるパフォーマンスツールにアクセスする 

パフォーマンスツールにアクセスする方法

プロジェクトに資源制御機能を追加する 

「System Configuration」の下にある「資源制御 (Resource Controls)」タブにアクセスする 

「資源制御 (Resource Controls)」タブへのアクセス方法

概要

資源管理機能は、Solaris 管理コンソールの構成要素です。このコンソールは、GUI ベースの管理ツールのためのコンテナです。管理ツールはツールボックスと呼ばれるコレクションに格納されています。コンソールとその使用方法については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris 管理コンソールの操作 (手順)」を参照してください。

コンソールとそのツール群のマニュアルは、コンソールのオンラインヘルプで参照できます。オンラインヘルプで参照できるマニュアルの内容については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris 管理コンソール (概要)」を参照してください。

管理範囲

管理範囲とは、選択した管理ツールで使用するネームサービス環境のことです。資源制御機能とパフォーマンスツールを使用するときの管理範囲は、/etc/project ローカルファイルまたは NIS から選択します。

コンソールセッションで選択する管理範囲は、/etc/nsswitch.conf ファイルで特定される最も優先度の高いネームサービスと一致する必要があります。

パフォーマンスツール

パフォーマンスツールは、資源の使用状況を監視するために使用します。資源の使用状況をシステム単位で集計したり、プロジェクト単位または個人ユーザー単位で表示したりできます。

図 12–1 Solaris 管理コンソールのパフォーマンスツール

この画面は、左側の「ナビゲーション」区画にパフォーマンスの場所を、右側の「属性」と「値」区画にシステムパフォーマンスの概要を表示しています。

パフォーマンスツールにアクセスする方法

パフォーマンスツールは、ナビゲーション区画の「System Status」の下にあります。 パフォーマンスツールにアクセスするには、次の手順に従います。

  1. ナビゲーション区画の「System Status」コントロール要素をクリックします。

    このコントロール要素は、ナビゲーション区画のメニュー項目を拡張するために使用します。

  2. 「パフォーマンス (Performance)」コントロール要素をクリックします。

  3. 「システム (System)」コントロール要素をクリックします。

  4. 「概要 (Summary)」、「プロジェクト (Projects)」、または「ユーザー (Users)」をダブルクリックします。

    何を選択するかは、監視する対象によって異なります。

システム単位の監視

次の属性の値が表示されます。

属性 

説明 

アクティブプロセス (Active Processes) 

システム上でアクティブなプロセス数 

物理メモリー使用量 (Physical Memory Used) 

使用中のシステムメモリーのサイズ  

物理メモリー空き容量 (Physical Memory Free) 

使用可能なシステムメモリーのサイズ 

スワップ使用量 (Swap Used) 

使用中のシステムスワップ領域のサイズ 

スワップ空き容量 (Swap Free) 

使用可能なシステムスワップ領域のサイズ 

ページング頻度 (Page Rate) 

システムページングの頻度 

システムコール (System Calls) 

秒当たりのシステムコール数 

ネットワークパケット (Network Packets) 

秒当たりに送信されるネットワークのパケット数 

CPU 使用率 (CPU Usage) 

現在使用中の CPU の比率 

平均負荷率 (Load Average) 

過去 1 分、5 分、または 15 分の間にシステム実行キューに存在した平均プロセス数 

プロジェクト単位またはユーザー単位の監視

次の属性の値が表示されます。

属性 

短縮名 

説明 

入力ブロック (Input Blocks) 

inblk

読み取られたブロック数 

書き込まれたブロック (Blocks Written) 

oublk

書き込まれたブロック数 

読み取られた/書き込まれた文字数 (Chars Read/Written) 

ioch

読み取りおよび書き込みが行われた文字数  

データページフォルトのスリープ時間 (Data Page Fault Sleep Time) 

dftime

データページフォルトの処理で経過した時間 

強制的なコンテキストスイッチ (Involuntary Context Switches) 

ictx

コンテキストの強制的な切り替え数  

システムモード時間 (System Mode Time) 

stime

カーネルモードで経過した時間  

メジャーページフォルト (Major Page Faults) 

majfl

メジャーページフォルト数 

受信したメッセージ (Messages Received) 

mrcv

受信されたメッセージ数 

送信したメッセージ (Messages Sent) 

msend

送信されたメッセージ数 

マイナーページフォルト (Minor Page Faults) 

minf

マイナーページフォルトの数 

プロセス数 (Num Processes) 

nprocs

ユーザーまたはプロジェクトが所有するプロセス数 

LWP 数 (Num LWPs) 

count

軽量プロセスの数 

その他のスリープ時間 (Other Sleep Time) 

slptime

tftimedftimekftime、および ltime を除いたスリープ時間

CPU 時間 (CPU Time) 

pctcpu

プロセス、ユーザー、またはプロジェクトが使用した最新の CPU 時間の比率 

使用メモリー (Memory Used) 

pctmem

プロセス、ユーザー、またはプロジェクトが使用したシステムメモリーの比率 

ヒープサイズ (Heap Size) 

brksize

プロセスのデータセグメントに割り当てられているメモリーサイズ 

常駐サイズ (Resident Set Size) 

rsssize

プロセスによって要求されている現在のメモリーサイズ 

プロセスイメージサイズ (Process Image Size) 

size

プロセスイメージのサイズ (K バイト) 

受信したシグナル (Signals Received) 

sigs

受信されたシグナルの数 

停止時間 (Stopped Time) 

stoptime

停止状態で経過した時間 

スワップ操作 (Swap Operations) 

swaps

進行中のスワップ操作の数 

実行されたシステムコール (System Calls Made) 

sysc

設定された (直前の) 時間間隔で実行されたシステムコール数 

システムページフォルトのスリープ時間 (System Page Fault Sleep Time) 

kftime

ページフォルトの処理で経過した時間 

システムトラップ時間 (System Trap Time) 

ttime

システムトラップの処理で経過した時間 

テキストページフォルトのスリープ時間 (Text Page Fault Sleep Time) 

tftime

テキストページフォルトの処理で経過した時間 

ユーザーロック待機のスリープ時間 (User Lock Wait Sleep Time) 

ltime

ユーザーロックを待機している間に経過した時間 

ユーザーモード時間 (User Mode Time) 

utime

ユーザーモードで経過した時間  

ユーザーおよびシステムモード時間 (User and System Mode Time) 

time

CPU 実行の累積時間 

任意コンテキストスイッチ (Voluntary Context Switches) 

vctx

コンテキストの自主的な切り替え数  

待機 CPU 時間 (Wait CPU Time) 

wtime

CPU を待機している間に経過した時間 (応答時間) 

「資源制御 (Resource Controls)」タブ

資源制御を使用して、プロジェクトを資源制約の集合と対応付けることができます。これらの制約によって、プロジェクトのコンテキストで実行するタスクまたはプロセスの資源許容量が決定されます。

図 12–2 Solaris 管理コンソールの「資源制御 (Resource Controls)」タブ

この画面は、「資源制御 (Resource Controls)」タブを表示しています。このタブには、資源制御とその値が表示されています。

「資源制御 (Resource Controls)」タブへのアクセス方法

「資源制御 (Resource Controls)」タブは、ナビゲーション区画の「System Configuration」の下にあります。 「資源制御 (Resource Controls)」にアクセスするには、次の手順に従います。

  1. ナビゲーション区画の「System Configuration」コントロール要素をクリックします。

  2. 「プロジェクト (Projects)」をダブルクリックします。

  3. コンソールのメインウィンドウにあるプロジェクトをクリックして選択します。

  4. 「アクション (Action)」メニューから「プロパティ (Properties)」を選択します。

  5. 「資源制御 (Resource Controls)」タブをクリックします。

    プロセス、プロジェクト、およびタスクの資源制御の値を表示、編集、または削除します。

設定可能な資源制御

使用可能な資源制御のリストを表示するには、コンソールヘルプの「資源制御」または 使用可能な資源制御を参照してください。

値の設定

プロセス、プロジェクト、およびタスクの資源制御の値を表示、編集、または削除できます。 これらの操作は、コンソールのダイアログボックスで実行します。

資源制御 (Resource Control) と値 (Value) は、コンソールに表形式で表示されます。資源制御 (Resource Control) の欄には、設定可能な資源制御の一覧が表示されます。値 (Value) の欄には、各資源制御に対応付けられているプロパティが表示されます。表内では、これらの値は括弧で囲まれており、コンマで区切られたプレーンテキストとして表示されます。括弧内の値は「action 文節」を示します。各 action 文節は、しきい値、特権レベル、シグナル、および特定のしきい値に対応付けられているローカルアクションで構成されます。 各資源制御は複数の action 文節を持つことができ、各 action 文節もコンマで区切られます。


注 –

実行中のシステムでは、コンソールから project データベースに加えた変更は、プロジェクトで起動される新しいタスクに対してだけ有効になります。


関連項目

プロジェクトとタスクについては、第 6 章「プロジェクトとタスク」を参照してください。資源制御については、第 8 章「資源制御」を参照してください。フェアシェアスケジューラ (FSS) については、第 9 章「フェアシェアスケジューラ」を参照してください。