Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

DA 通知と検出頻度の変更

次のような場合は、DA 通知と検出要求のタイミングを制御するプロパティを変更できます。

この節の手順では、次のプロパティを変更する方法について説明します。

表 20–2 DA 通知タイミングと検出要求のプロパティ

プロパティ  

説明 

net.slp.passiveDADetection

請求されていない DA 通知を slpd が受信するかどうかを示すブール値

net.slp.DAActiveDiscoveryInterval

slpd が、新しい DA に対して DA の能動的検出を実行する頻度を示す値

net.slp.DAHeartBeat

請求されていない DA 通知を DA がマルチキャストする頻度を示す値 

UA と SA を静的に構成された DA に限定する

UA と SA が slp.conf ファイル内の静的な構成情報から DA アドレスだけを取得するように制限することが必要な場合があります。次の手順では、slpdnet.slp.DAAddresses プロパティから DA 情報だけを取得するように 2 つのプロパティを変更できます。

UA と SA を静的に構成された DA に限定する方法

次の手順に従って、net.slp.passiveDADetection および net.slp.DAActiveDiscoveryInterval プロパティを変更します。


注 –

この手順は、静的な構成を使用するように制限されている UA と SA を実行するホストにだけ使用してください。


  1. スーパーユーザーになります。

  2. ホスト上の slpd とすべての SLP 動作を停止します。


    # /etc/init.d/slpd stop
    
  3. 構成の設定を変更する前に、デフォルトの /etc/inet/slp.conf ファイルのバックアップをとります。

  4. slp.conf ファイル内の net.slp.passiveDADetection プロパティに False を設定して、受動的検出を無効にします。この設定により、slpd は請求されていない DA 通知を無視します。


    net.slp.passiveDADetection=False
  5. net.slp.DAActiveDiscoveryInterval-1 を設定して、初期および定期の能動的検出を無効にします。


    net.slp.DAActiveDiscoveryInterval=-1
  6. 変更を保存し、ファイルを閉じます。

  7. 変更を反映するには、slpd を再起動します。


    # /etc/init.d/slpd start
    

ダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成

UA または SA がダイアルアップネットワークによって DA から切り離されている場合は、DA 検出を構成して、検出要求と DA 通知の数を削減するか、完全になくすことができます。ダイアルアップネットワークでは、通常起動時に課金されます。余分な通話を最小限に抑えることにより、ダイアルアップネットワークの使用コストを削減できます。


注 –

UA と SA を静的に構成された DA に限定する で説明している方法で、DA 検出を完全に無効にすることができます。


ダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成方法

次の手順に従って、DA ハートビートの期間と能動的検出の間隔を長くすることで、請求されていない DA 通知と能動的検出を削減できます。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. ホスト上の slpd とすべての SLP 動作を停止します。


    # /etc/init.d/slpd stop
    
  3. 構成の設定を変更する前に、デフォルトの /etc/inet/slp.conf ファイルのバックアップをとります。

  4. slpd.conf ファイル内の net.slp.DAHeartbeat プロパティの値を大きくします。


    net.slp.DAHeartbeat=value
    

    value

    32 ビットの整数で、DA 通知の受動的ハートビートに対して秒数を設定する 

    デフォルト値は、10800 秒 (3 時間) 

    値の範囲は、2000 から 259200000 秒 

    たとえば、DA を実行しているホストに対して、DA のハートビートを約 18 時間に設定できます。


    net.slp.DAHeartbeat=65535

  5. slpd.conf ファイル内の net.slp.DAActiveDiscoveryInterval プロパティの値を大きくします。


    net.slp.DAActiveDiscoveryInterval value
    

    value

    32 ビットの整数で、DA の能動的検出クエリーに対して秒数を設定する 

    デフォルトの値は、900 秒 (15 分) 

    値の範囲は、300 から 10800 秒 

    たとえば、UA と SA を実行しているホストに対して、DA の能動的検出の間隔を 18 時間に設定できます。


    net.slp.DAActiveDiscoveryInterval=65535

  6. 変更を保存し、ファイルを閉じます。

  7. 変更を反映するには、slpd を再起動します。


    # /etc/init.d/slpd start
    

頻繁なパーティション分割に対する DA のハートビートの構成

スコープをサポートするすべての DA に登録するには、SA が必要です。DA は、slpd が能動的検出を行なった後で現れることがあります。DA が slpd スコープをサポートする場合、SLP デーモンはホスト上のすべての通知を DA に登録します。

slpd が DA を検出する 1 つの方法は、起動時に DA が送り出す初期の請求されていない通知を使用します。SLP デーモンは定期的な請求されていない通知 (ハートビート) を使用して、DA がまだアクティブであるかどうかを判断します。ハートビートが出現しない場合、SLP デーモンは自分が使用する DA を削除し、これを UA に申し出ます。

最後に、DA にシャットダウン要求が出されると、DA は特別な DA 通知を転送して、受信中の SA サービスに DA がサービスから抜け出すことを知らせます。SLP デーモンもこの特別な通知を使用して、キャッシュからアクティブでない DA を削除します。

ネットワークが頻繁にパーティション分割を行い、SA の期限が長い場合、ハートビートの通知を受けなければ、slpd はパーティションの分割中に DA をキャッシュから削除できます。ハートビートの頻度を減らすことにより、使用中止になった DA がパーティションの修正後にキャッシュに復元されるまでの遅延時間を縮小できます。

頻繁なパーティション分割に対して DA のハートビートを構成する方法

次の手順に従って、net.slp.DAHeartBeat プロパティを変更し、DA のハートビート期間を短くします。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. ホスト上の slpd とすべての SLP 動作を停止します。


    # /etc/init.d/slpd stop
    
  3. 構成の設定を変更する前に、デフォルトの /etc/inet/slp.conf ファイルのバックアップをとります。

  4. DA のハートビートの値を 1 時間 (3600 秒) に縮小します。デフォルトでは、DA のハートビート期間は 3 時間 (10800 秒) に設定されています。


    net.slp.DAHeartBeat=3600
  5. 変更を保存し、ファイルを閉じます。

  6. 変更を反映するには、slpd を再起動します。


    # /etc/init.d/slpd start
    

注 –

DA 検出が完全に無効になっている場合、ホスト上で実行されている UA と SA が正しい DA にアクセスするように、net.slp.DAAddresses プロパティを slp.conf に設定する必要があります。


ネットワーク輻輳の軽減

ネットワークが非常に混雑している場合、マルチキャストの量を制限できます。ネットワークに DA を配置していない場合は、DA を配置すると SLP 関連のマルチキャストの量を大幅に削減できます。

ただし、DA の配置後でも DA 検出のためのマルチキャストは必要です。 DA 検出に必要なマルチキャストの量は、ダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成方法 で説明している方法で削減できます。UA と SA を静的に構成された DA に限定する で説明している方法で、DA 検出のためのマルチキャストを完全になくすことができます。