Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

第 24 章 メールサービス (概要)

電子メールサービスの設定と維持管理には、ネットワークの日常の運用にとって不可欠な、複雑な作業が伴います。ネットワーク管理者は、既存のメールサービスを拡張しなければならない場合があります。または、新しいネットワークまたはサブネット上でメールサービスを設定しなければならないこともあります。メールサービスに関する各章では、ネットワークでメールサービスを計画したり設定したりするために必要な情報を提供します。この章では、sendmail の新機能および参考資料を紹介します。この章ではまた、メールサービスを確立するために必要なソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントの概要を説明します。

第 25 章「メールサービス (手順)」では、メールサービスの設定および管理方法の手順を説明します。詳細は、メールサービス (作業マップ)を参照してください。

第 26 章「メールサービス (リファレンス)」では、メールサービスのコンポーネントについて詳しく説明します。 また、この章では、メールサービスのプログラムとファイル、メールルーティング処理、ネームサービスを使った sendmail の対話型操作についても説明します。

sendmail バージョン 8.12 の新機能

今回の Solaris 9 リリースには sendmail のバージョン 8.12 が含まれています。第 27 章「メールサービスの新機能 (リファレンス)」 では、すべての新機能について説明します。以下に、sendmail の重要な変更点の一部を紹介します。

第 27 章「メールサービスの新機能 (リファレンス)」 では、上記以外の次の変更点についても説明します。

その他の sendmail の情報源

次に、上記以外の sendmail 関連の参考資料を示します。

メールサービスのコンポーネントの概要

メールサービスを確立するためには、多くのソフトウェアコンポーネントおよびハードウェアコンポーネントが必要になります。以下では、これらのコンポーネントについて簡単に紹介します。コンポーネントの説明で使用する用語についても紹介します。

最初の節 ソフトウェアコンポーネントの概要 では、メール配信システムのソフトウェア部分を説明するのに使用する用語を定義します。その次の節 ハードウェアコンポーネントの概要 では、メール構成におけるハードウェアシステムの機能について取り上げます。

ソフトウェアコンポーネントの概要

次の表にメールシステムのソフトウェアコンポーネントを示します。 ソフトウェアコンポーネントすべてに関する完全な説明については、ソフトウェアのコンポーネント を参照してください。

コンポーネント 

説明 

.forward ファイル

ユーザーのホームディレクトリ内で設定して、メールを自動的にリダイレクトしたり、プログラムに送ったりすることができるファイル 

メールボックス 

メールサーバー上にあり、電子メールメッセージの最終受信先であるファイル 

メールアドレス 

メールメッセージが配信される受信者とシステムの名称を含むアドレス 

メール別名 

メールアドレス内で使用されている代替名 

メールキュー 

メールサーバーによる処理を必要とするメールメッセージの集まり 

ポストマスター 

メールサービスについての問題を報告し質問を出すために使用される特別なメール別名 

sendmail 構成ファイル 

メールのルーティングに必要なすべての情報の入ったファイル 

ハードウェアコンポーネントの概要

メール構成では次の 3 つの要素が必要ですが、これらは同じシステムで組み合わせることも、別のシステムで提供することもできます。

ユーザーがドメイン外のネットワークと通信をするためには、4 番目の要素であるメールゲートウェイを追加する必要があります。

図 24–1 には、一般的な電子メール構成を示しますが、ここでは基本的な 3 つのメール要素とメールゲートウェイが使用されています。

図 24–1 一般的な電子メール構成

この図は、メールゲートウェイ、メールホスト、メールサーバー、メールボックス、およびクライアント間の関係を示しています。

各要素については、ハードウェアコンポーネント を参照してください。