Solaris ボリュームマネージャの管理

状態データベースの複製の作成


注意 – 注意 –

Solstice DiskSuiteTMから Solaris ボリュームマネージャにアップグレードしたときに、スライスが、状態データベースの複製とファイルシステムまたは論理ボリュームの間で共有されている (それぞれが異なるスライス上に置かれていない) 場合は、既存の複製を削除して、同じ場所に新しいデフォルトの複製を作成しないでください。

Solaris ボリュームマネージャの状態データベースの複製のデフォルトサイズは 8192 ブロックですが、Solstice DiskSuite のデフォルトサイズは 1034 ブロックです。Solstice DiskSuite のデフォルトサイズの状態データベースの複製を削除し、Solaris ボリュームマネージャでデフォルトサイズの新しい複製を追加すると、共有スライスの残りの部分を占めているファイルシステムの先頭の 7158 ブロックが上書きされ、データが破壊されてしまいます。



注意 – 注意 –

ファブリックに接続された記憶領域、SAN などの、システムに直接接続されていない記憶領域に、状態データベースの複製を格納しないでください。複製は、従来の SCSI または IDE ドライブと同じ起動プロセス点で使用できる記憶領域に格納しなければなりません。


状態データベースの複製を作成するには

  1. Solaris ボリュームマネージャ要素を作成するための前提条件をチェックします。

  2. 次のどちらかの方法で状態データベースの複製を作成します。

    • Solaris 管理コンソール内の「拡張ディスク」から「状態データベースの複製」ノードを開きます。「アクション (Action)」、「複製の作成 (Create Replicas)」の順に選択し、画面の指示に従って複製を作成します。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。

    • 次の形式の metadb コマンドを実行します。詳細は、metadb(1M) のマニュアルページを参照してください。


      metadb -a -c n -l nnnn -f ctds-of-slice
      
      • -a は、状態データベースの複製を追加します。

      • -f は、複製が存在しなくても強制的に操作を実行します。

      • -c n には、指定したスライスに追加する複製の数を指定します。

      • -l nnnn には、新しい複製のサイズをブロック数で指定します。

      • ctds-of-slice には、複製を格納するコンポーネントの名前を指定します。

      最初の複製を強制的に追加するには、-f フラグを指定します。


注 –

オプションを指定しないと、 metadb コマンドはすべての複製の状態を表示します。


例 — 最初の状態データベースの複製を作成する


# metadb -a -f c0t0d0s7
# metadb
        flags         first blk      block count
...
     a      u         16             8192            /dev/dsk/c0t0d0s7

-a オプションは状態データベースの複製をシステムに追加し、-f オプションは最初の複製を強制的に作成します。2 番目以後の複製を追加するときは、-f オプションは省略できます。

例 — 2 つの状態データベースの複製を同じスライスに追加する


# metadb -a -c 2 c1t3d0s1
# metadb
        flags         first blk      block count
...
     a        u         16              8192            /dev/dsk/c1t3d0s1
     a        u         8208            8192            /dev/dsk/c1t3d0s1

-a オプションは、状態データベースの複製をシステムに追加します。-c 2 オプションは、指定したスライスに 2 つの複製を格納します。metadb コマンドは、これらの複製が有効であるかどうかをチェックします (a フラグで示される)。

また、-l オプションでブロック数を指定すると、状態データベースの複製のサイズを指定できます。ただし、デフォルトのサイズ (8192) は、数千の論理ボリュームを持つ構成を含め、事実上すべての構成に適しています。

例 — 指定したサイズの状態データベースの複製を追加する

既存の状態データベースの複製を置き換える場合は、複製のサイズを指定しなければならない場合があります。特に、ファイルシステムとスライスを共有している状態データベースの複製がすでに存在している場合は (たとえば、Solstice DiskSuite からアップグレードした場合など)、既存の複製を同じサイズの複製で置き換えるか、別の場所に新しい複製を作成する必要があります。


注意 – 注意 –

Solstice DiskSuite のデフォルトサイズ (1034 ブロック) の状態データベースの複製がファイルシステムとスライスを共有している場合は、その複製を Solaris ボリュームマネージャのデフォルトサイズの複製で置き換えないでください。置き換えると、新しい複製がファイルシステムの先頭の部分を上書きしてしまうため、データが破壊されてしまいます。



# metadb -a -c 3 -l 1034 c0t0d0s7
# metadb
        flags         first blk      block count
...
     a      u         16             1034            /dev/dsk/c0t0d0s7
     a      u         1050           1034            /dev/dsk/c0t0d0s7
     a      u         2084           1034            /dev/dsk/c0t0d0s7

-a オプションは、状態データベースの複製をシステムに追加します。-l オプションは、追加する複製のサイズをブロック数で指定します。