Solaris のシステム管理 (基本編)

ユーザーアカウントの設定 (作業マップ)

作業 

説明 

参照先 

1. Solaris 管理コンソール起動用ウィンドウの開始 

ユーザーアカウントツールおよびグループツールにアクセスするために、Solaris 管理コンソール起動用ウィンドウを開始する 

スーパーユーザーまたは役割としてコンソールを起動する方法または ネームサービス環境で Solaris 管理コンソールを起動する方法

2. (省略可能) ユーザー初期設定ファイルのカスタマイズ 

新規ユーザーに一貫した環境を提供できるようにユーザー初期設定ファイル (.cshrc.profile .login) を設定する

ユーザー初期設定ファイルをカスタマイズする方法

3. (省略可能) グループの追加 

ユーザーの管理を容易にするため、グループツールを使用してグループを追加する 

Solaris 管理コンソールオンラインヘルプ 

4. (省略可能) ユーザーテンプレートの設定  

類似したユーザープロパティをすべて手動で追加する必要がないようにユーザーテンプレートを作成できる 

Solaris 管理コンソールオンラインヘルプ 

5. ユーザーの追加  

ユーザーツールを使用して、ユーザーアカウントを追加できる 

Solaris 管理コンソールオンラインヘルプ 

6. (省略可能) ユーザーへの権限または役割の追加  

特定のコマンドまたはタスクを実行できるようにユーザーに権限または役割を追加する 

Solaris 管理コンソールオンラインヘルプ 

7. ユーザーのホームディレクトリの共有  

ユーザーのホームディレクトリを共有することによって、ユーザーのシステムからそのディレクトリをリモートでマウントできる 

ユーザーのホームディレクトリを共有する方法

8. ユーザーのホームディレクトリのマウント  

ユーザーのホームディレクトリをユーザーのシステムにマウントする 

ユーザーのホームディレクトリをマウントする方法

ユーザー情報データシート

ユーザーアカウントを追加する前に、ユーザーに関する情報を以下のような形式で記録しておくと便利です。

項目 

説明 

ユーザー名 

 

役割名 

 

プロファイルまたは承認  

 

ユーザー名 

 

UID 

 

一次グループ 

 

二次グループ 

 

コメント 

 

デフォルトシェル 

 

パスワードの状態と有効期限 

 

ホームディレクトリのサーバー名 

 

ホームディレクトリのパス名 

 

マウント方法 

 

ホームディレクトリのアクセス権 

 

メールサーバー 

 

所属部署 

 

部署管理者  

 

管理者 

 

従業員名 

 

役職 

 

資格 

 

従業員番号 

 

開始日 

 

メール別名への追加  

 

デスクトップシステム名 

 

ユーザー初期設定ファイルをカスタマイズする方法

  1. ユーザーのホームディレクトリを作成し、共有するシステムでスーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 各タイプのユーザー用にスケルトンディレクトリを作成します。


    # mkdir /shared-dir/skel/user-type
    

    shared-directory

    ネットワーク上の別のシステムで利用できるディレクトリの名前 

    user-type

    ユーザーのタイプに応じて初期設定ファイルを格納するディレクトリの名前 

  3. デフォルトのユーザー初期設定ファイルを、異なるタイプのユーザー用に作成したディレクトリにコピーします。


    # cp /etc/skel/local.cshrc /shared-dir/skel/user-type/.cshrc
    # cp /etc/skel/local.login /shared-dir/skel/user-type/.login
    # cp /etc/skel/local.profile /shared-dir/skel/user-type/.profile
    

    注 –

    アカウントにプロファイルが割り当てられている場合、プロファイルに割り当てられた (セキュリティ属性付きの) コマンドを使用するために、ユーザーは特別なバージョンのシェル (プロファイルシェルと呼ぶ) を起動しなければなりません。シェルの種類に合わせて、pfsh (Bourne シェル)、pfcsh (C シェル)、および pfksh (Korn シェル) の 3 つのプロファイルシェルがあります。


  4. 各ユーザータイプ用にユーザー初期設定ファイルを編集し、必要に応じてカスタマイズします。

    ユーザー初期設定ファイルをカスタマイズする方法についての詳細は、ユーザーの作業環境のカスタマイズを参照してください。

  5. ユーザー初期設定ファイルのアクセス権を設定します。


    # chmod 744 /shared-dir/skel/user-type/.*
    
  6. ユーザー初期設定ファイルのアクセス権が正しいことを確認します。


    # ls -la /shared-dir/skel/*
    

例 — ユーザー初期設定ファイルのカスタマイズ

次の例では、特定のタイプのユーザー向けの、/export/skel/enduser ディレクトリにある C シェルユーザー初期設定ファイルをカスタマイズします。.cshrc ファイルの例については、コード例 — .cshrc ファイルの例を参照してください。


# mkdir /export/skel/enduser
# cp /etc/skel/local.cshrc /export/skel/enduser/.cshrc
 
(.cshrc ファイルの編集)
# chmod 744 /export/skel/enduser/.*

ユーザーのホームディレクトリを共有する方法

  1. ユーザーのホームディレクトリを含むシステムでスーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

  2. 次のように入力して、mountd デーモンが動作していることを確認します。


    # ps -ef | grep mountd
    root   176     1  0   May 02 ?        0:19 /usr/lib/nfs/mountd

    mountd デーモンが動作している場合には、/usr/lib/nfs/mountd と表示されます。

  3. mountd デーモンが動作していない場合は、mountd デーモンを起動します。


    # /etc/init.d/nfs.server start
    
  4. システム上で共有されているファイルシステムを一覧表示します。


    # share
    
  5. ユーザーのホームディレクトリを含むファイルシステムがすでに共有されているかどうかによって、次のいずれかの手順を選択します。

    1. ユーザーのホームディレクトリがすでに共有されている場合、次の確認手順へ進みます。

    2. ユーザーのホームディレクトリが共有されていない場合、手順 6 に進みます。

  6. /etc/dfs/dfstab ファイルを編集して、次の行を追加します。


    share -F nfs /file-system
    

    file-system は、共有するユーザーのホームディレクトリを含むファイルシステム。習慣上、このファイルシステムは /export/home になる。

  7. /etc/dfs/dfstab ファイルで指定されたファイルシステムを共有します。


    # shareall -F nfs
    

    このコマンドは、/etc/dfs/dfstab ファイルにある share コマンドをすべて実行するので、システムをリブートする必要はありません。

  8. ユーザーのホームディレクトリが共有されていることを確認します。


    # share
    

次に進む手順

ユーザーのホームディレクトリがユーザーのシステム上にない場合、それが配置されているシステムから、ユーザーのホームディレクトリをマウントしなければなりません。詳細な手順については、ユーザーのホームディレクトリをマウントする方法を参照してください。

例 — ユーザーのホームディレクトリの共有


# ps -ef | grep mountd
# /etc/init.d/nfs.server start
# share
# vi /etc/dfs/dfstab
 
(share -F nfs /export/home 行を追加)
# shareall -F nfs
# share
-               /usr/dist                ro   "" 
-               /export/home/user-name     rw   ""  

ユーザーのホームディレクトリをマウントする方法

ホームディレクトリを自動的にマウントする場合は、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』の「autofs 管理作業の概要」を参照してください。

  1. ユーザーのホームディレクトリが共有されていることを確認します。

    詳細については、ユーザーのホームディレクトリを共有する方法を参照してください。

  2. ユーザーのシステムにスーパーユーザーとしてログインします。

  3. /etc/vfstab ファイルを編集して、次のようなユーザーのホームディレクトリ用のエントリを作成します。


    system-name:/export/home/user-name - /export/home/user-name nfs - yes rw

    system-name

    ホームディレクトリが配置されているシステムの名前 

    /export/home/user-name

    共有されるユーザーのホームディレクトリの名前。規約上、 /export/home/user-name にユーザーのホームディレクトリが含まれる。ただし、別のファイルシステムでも構わない

    -

    エントリに必要な可変部分 

    /export/home/user-name

    ユーザーのホームディレクトリがマウントされるディレクトリの名前 

    エントリを /etc/vfstab ファイルに追加する方法については、第 40 章「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。

  4. ユーザーのホームディレクトリのマウント先を作成します。


    # mkdir -p /export/home/user-name
    
  5. ユーザーのホームディレクトリをマウントします。


    # mountall
    

    現在の vfstab ファイルにあるすべてのエントリ (このファイルの「mount at boot」フィールドが yes に設定されている) がマウントされます。

  6. ホームディレクトリがマウントされているかどうかを確認します。


    # mount | grep user-name
    

例 — ユーザーのホームディレクトリのマウント


# vi /etc/vfstab
 
(The line  venus:/export/home/ripley - /export/home/ripley
nfs - yes rw is added.)
# mkdir -p /export/home/ripley
# mountall
# mount
/ on /dev/dsk/c0t0d0s0 read/write/setuid/intr/largefiles/onerror=panic/dev=2200000 ...
/proc on /proc read/write/setuid/dev=3840000 on Wed Feb 28 09:49:07 2001
/dev/fd on fd read/write/setuid/dev=3900000 on Wed Feb 28 09:49:10 2001
/etc/mnttab on mnttab read/write/setuid/dev=3a00000 on Wed Feb 28 09:49:12 2001
/var/run on swap read/write/setuid/dev=1 on Wed Feb 28 09:49:12 2001
/tmp on swap read/write/setuid/dev=2 on Wed Feb 28 09:49:15 2001
/export/home on /dev/dsk/c0t0d0s7 read/write/setuid/intr/largefiles/onerror=panic/dev= ...
/export/home/ripley on venus:/export/home/ripley remote/read/write/setuid/dev=3a8001e ...