Solaris 共通デスクトップ環境 (CDE) の実行時に発生するバグの情報および注意事項について説明します。
Solaris 9 では、文字集合 JIS X 0212:1990 に対するフォントが、「平成明朝体」から、「RICOH ゴシック体」と「RICOH 明朝体」に変更になりました (今までの平成明朝体も引き続きインストールされますが、利用するにはシステム側の変更が必要となります)。
また、文字集合 JIS X 0213:2000 に関しては UTF-8 ロケール上で利用可能ですが、UNICODE3.1 で定義された文字集合が対象となります (ただし、Java および DPS からの利用はできません)。
次のいずれかのヨーロッパ言語またはロシア語 Unicode/UTF-8 ロケールをインストールしている場合、米国英語、中国語、または韓国語の Unicode/UTF-8 ロケールをインストールしないと、mp(1) 印刷コマンドの実行に失敗します。
de_DE.UTF-8
fr_FR.UTF-8
it_IT.UTF-8
es_ES.UTF-8
sv_SE.UTF-8
ru_RU.UTF-8
mp 印刷コマンドでは印刷ジョブが中止され、次のエラーメッセージが表示されます。
mp: config file line: 46, cannot stat font file (/usr/openwin/lib/locale/zh.GBK/X11/fonts/TrueType/songti.ttf) |
その他の CDE デスクトップアプリケーション (dtmail、dtpad など) でも、同様のエラーが発生します。
mp 印刷コマンドについて詳細は、mp(1) のマニュアルページを参照してください。
回避方法: 次のいずれかを実行してください。
Solaris 9 4/03 オペレーティング環境の新規インストール、または Solaris 9 4/03 へのアップグレードを実行し、次に挙げる米国英語、中国語、または韓国語の Unicode/UTF-8 ロケールを 1 つ以上選択し、インストールします。
en_US.UTF-8
zh_CN.UTF-8
zh_HK.UTF-8
zh_TW.UTF-8
ko_KR.UTF-8
インストールまたはアップグレードが完了している場合は、Solaris 9 4/03 Software 1 of 2 CD またはネットイメージに含まれている SUNWgttf パッケージを手作業で追加します。次の手順に従ってください。
スーパーユーザーとしてシステムにログインします。
Solaris 9 4/03 Software 1 of 2 CD を挿入します。
/cdrom/sol_9*/s0/Solaris_9/Product ディレクトリに移動します。
# cd /cdrom/sol_9*/s0/Solaris_9/Product |
SUNWgttf パッケージを追加します。
# pkgadd -d . SUNWgttf |
中国語ロケールの SunTM LX50 上で共通デスクトップ環境 (CDE) デスクトップセッションを開始すると、起動時に実行される CDE アプリケーションが over-the-spot 入力方式ではなく root-window 入力方式で表示される場合があります。
回避方法: /usr/dt/config/Xsession.d/0020.dtims スクリプトの最後に、 sleep 1 という行を追加して、新しく CDE デスクトップセッションを開始します。
CDE デスクトップ環境のリムーバブルメディア自動実行機能は、Solaris 9 4/03 オペレーティング環境から一時的に削除されています。
回避方法: CD-ROM などのリムーバブルメディアの自動実行機能を使用するには、次のいずれかを実行する必要があります。
リムーバブルメディアのファイルシステムに移動し、最上位のディレクトリで volstart プログラムを実行します。
CD に記載されている指示に従って、CDE 以外の環境からリムーバブルメディアにアクセスします。
dtmail をコマンド行から起動した場合、FontList オプションが指定されていると、IMAP サーバーに接続した後で dtmail がクラッシュします。次の例を参照してください。
/usr/dt/bin/dtmail -xrm "Dtmail*FontList: -*-r-normal-*:" |
次のエラーメッセージが表示されます。
Segmentation Fault |
この問題は、C および ja ロケールの両方で発生します。
回避方法: dtmail をコマンド行から起動するときは、FontList オプションを指定しないでください。
Solaris 9 4/03 Unicode または UTF-8 ロケールで、行数の多い電子メールメッセージを読むと、CDE Mailer (dtmail) がハングアップしたようになり、メッセージがすぐには表示されません。
回避方法 : 次のどちらかを実行してください。
132 桁が表示されるように、dtmail メールボックスウィンドウを拡大する。
次の手順で、Complex Text Layout 機能を使用不可にする。
スーパーユーザーになります。
使用システムのロケールディレクトリに切り替えます。
# cd /usr/lib/locale/locale-name |
上の例では、locale-name はシステムの Solaris 9 4/03 Unicode ロケール名または UTF-8 ロケール名です。
ロケールレイアウトエンジンのカテゴリ名を変更します。
# mv LO_LTYPE LO_LTYPE- |
パッチを適用する場合は、ロケールレイアウトエンジンのカテゴリ名を元の名前 (LO_LTYPE) に戻してから、ロケールレイアウトエンジンにパッチを適用してください。
デスクトップから最後のエントリを削除した後に、PDA デバイスに対して同期処理を実行すると、最後のエントリが PDA デバイスからデスクトップに復元されてしまいます。 たとえば、カレンダの最後のアポイントメントやアドレス帳の最後のアドレスが、削除した後に復元されてしまいます。
回避方法 : 同期処理を実行する前に、PDA デバイスから最後のエントリを手動で削除してください。
国際化 (複数バイト文字) 対応の PDA デバイスと Solaris CDE とで、日本語などの複数バイト文字のデータを交換すると、両方の環境において、交換した複数バイト文字データが壊れる可能性があります。
回避方法 : PDA Sync を実行する前に必ず、PDA デバイスに付属しているバックアップ機能やバックアップユーティリティを使用して、PC などにデータの完全なバックアップをとってください。間違ってデータ交換をしてしまった場合には、バックアップデータからデータを復旧させてください。
不在返信メッセージを作成する場合、dtmail はその内容を (日本語のメールの場合) ISO-2022-JP エンコーディングではなく、dtmail を起動したエンコーディングで保存します。 このため、不在返信メールを受信した際に、メールの内容が文字化けすることがあります。
回避方法 :不在返信メッセージが保存されている .vacation.msg ファイルを、次のように入力して (日本語のメールの場合) ISO-2022-JP エンコーディングに変更し、保存し直します。
% /usr/bin/iconv -f org_locale -t ISO-2022-JP $HOME/.vacation.msg \ > $HOME/.vacation.msg_tmp % /usr/bin/cp $HOME/.vacation.msg_tmp $HOME/.vacation.msg |
上記の org_locale には、iconv で使用されるコードセット (dtmail で作成した .vacation.msg ファイルのエンコーディングに対応) を指定します。日本語環境では、次の 3 つのいずれかです。
ボリュームマネージャのメッセージを表示するためのダイアログウィンドウは XViewTM アプリケーションなので、ja_JP.PCK ロケールおよび ja_JP.UTF-8 ロケールでは英語表示で起動されます。
ja ロケールで登録したカレンダは、ja_JP.PCK ロケール および ja_JP.UTF-8 ロケールで起動されたカレンダ・マネージャで見ることができません (ja_JP.PCK ロケールまたは ja_JP.UTF-8 ロケールで作成した場合も同様です)。
Solaris CDE 1.2 より前のメールプログラムで、オプションメニューの「移動メニューの設定」で登録したメールボックス名に日本語文字列が含まれている場合、Solaris CDE 1.2 以降のメールプログラムではそれらのメールボックス名が文字化けすることがあります。
回避方法 : Solaris CDE 1.2 あるいは Solaris CDE 1.3 のメールプログラムで、再度登録してください。
ATOK12 を使用して AWT の TextField または TextArea に入力する場合、候補ウィンドウで確定した文字が入力されないという問題があります。また、Swing を使用した Java のプログラムにおいてもプログラムによっては候補ウィンドウで確定した文字が入力されず、その後の入力文字がプレエディットテキスト上で二重に入力されるという問題があります。この問題は、たとえば AWT を使用した Solaris ユーザー登録ツール (solregis) で発生します。
なお、この問題はウィンドウフォーカスの切り替え方法が、Click-To-Mouse (デフォルト) の時には常に発生しますが、Follow-To-Mouse の時にはマウスカーソルが候補ウィンドウ上にある場合にのみ発生します。
次の Solaris 9 Update リリースにバンドルされる J2SE (1.4.1_02a の予定) でこの問題は修正される予定です。また、今後の Java のアンバンドルリリース (J2SE 1.4.1_03 の予定) でも修正される予定です。
回避方法 : 以下のいずれかの方法で問題を回避してください。
ウィンドウフォーカスの切り替えを Follow-To-Mouse に設定して (スタイル・マネージャの「ウィンドウ」のコントロールで「ポインタでウィンドウをアクティブに」を選択します)、問題を発生しづらくする。
Wnn6 を使用する (ワークスペース・メニューの日本語入力システム切替から切り替えます)。
ほかのウインドウで入力した文字をカット&ペーストする。
このバグが修正された J2SE リリース (1.4.1_03 以降の予定) をダウンロードして、/usr/j2se (1.4.1_02) と入れ替える。
可能なら、デフォルトの J2SE 1.4.1_02 ではなく、JDK1.2 (/usr/java1.2) を使用する。たとえば、以下の方法で solregis を JDK1.2 を使用して起動することができます。
% env JRE_HOME=/usr/java1.2 /usr/dt/bin/solregis |