Solaris Live Upgrade は、スライスの内容を指定の新しいブート環境のスライスにコピーします。容量とコピーにかかる時間を節約したい場合は、そのスライス上に複数のブート環境で共有できるだけの大きなファイルシステムを用意することもできます。ルート(/)、/var のようなオペレーティング環境に欠かせないクリティカルファイルシステムは必ずコピーしてください。/home などの非クリティカルファイルシステムは、複数のブート環境で共有できます。共有可能なファイルシステムは、ユーザーによって定義され、アクティブブート環境と新しいブート環境の両方の個々のスワップスライス上に存在していなければなりません。必要に応じて、複数の方法でディスクを再構成できます。
新しいブート環境を作成する前にディスクスライスを作成し直し、そのスライス上に共有可能なファイルシステムを配置することができます。たとえば、ルート ( /)、/var、/home がすべて同じスライス上にある場合、ディスクを再構成して /home を固有のスライスに配置できます。デフォルトの設定では、新しいブート環境を作成すると、 /home はアクティブブート環境と新しいブート環境で共有されます。
ディレクトリを共有したい場合、そのディレクトリを固有のスライスに配置する必要があります。こうすることにより、ディレクトリは、そのほかのブート環境と共有可能なファイルシステムになります。lucreate -m コマンドを実行すると、新しいブート環境が作成され、ディレクトリを固有のスライスに配置することができます。しかし、この新しいファイルシステムはまだもとのブート環境と共有できません。再度 lucreate -m コマンドを実行して、もう 1 つ別のブート環境を作成する必要があります。この 2 つの新しいブート環境では、ディレクトリを共有できます。
たとえば、Solaris 8 から Solaris 9 にアップグレードし、両方のオペレーティング環境で /home を共有したい場合は、lucreate -m コマンドを実行して、 /home 固有のスライス上に独立したファイルシステムとして配置し、Solaris 8 リリースを作成します。次に、再度 lucreate - m コマンドを実行し、そのブート環境を複製します。さらに、この複製ブート環境を Solaris 9 リリースへアップグレードします。/home は Solaris 8 リリースと Solaris 9 リリース間で共有されます。
共有可能なファイルシステムおよびクリティカルファイルシステムの概要については、ブート環境の作成 (概要)を参照してください。