この章では、GNOME デスクトップで利用可能なテーマの種類、テーマのインストール方法、およびカスタムテーマの作成方法について説明します。
「テーマ」は、GNOME デスクトップの外観を指定する統合的な設定グループです。 テーマを選ぶことにより、デスクトップの外観を変更できます。
以下のテーマは、それぞれ GNOME デスクトップの異なる部分に影響します。
デスクトップテーマは、ウィンドウ、パネル、およびアプレットの外観を決定します。また、ウィンドウ、パネル、およびアプレット上に現れる GNOME 対応インタフェース (メニュー、アイコン、ボタンなど) の外観も決定します。GNOME で利用可能な一部のデスクトップテーマは、特別なアクセシビリティ要件に適応するように設計されています。デスクトップテーマはテーマ
の設定ツールの「ウィジェットテーマ」タブセクションから選択できます。
ウィンドウフレームテーマは、ウィンドウ周りのフレームの外観のみを決定します。ウィンドウフレームテーマはテーマ
の設定ツールの「ウィンドウフレーム」タブセクションから選択できます。
デスクトップテーマは、/usr/share/themes ディレクトリにあります。ファイルシステムでのデスクトップテーマの典型的なディレクトリ構造は、以下のとおりです。
テーマファイル |
/usr/share/themes/theme_name/gtk-2.0/gtkrc |
イメージファイル |
/usr/share/themes/theme_name/pixmaps/*.* |
通常、新しいデスクトップテーマは、.tar.gz ファイルで提供されます。新しいデスクトップテーマをインストールするには、.tar.gz ファイルを解凍して、.tar ファイルを /usr/share/themes ディレクトリに展開します。
ユーザーは独自のデスクトップテーマをインストールすることができます。ユーザーが独自のデスクトップテーマをインストールする場合、そのテーマは $HOME/.themes ディレクトリに格納されます。
ウィンドウフレームテーマは、 /usr/share/themes/theme_name/metacity-1 ディレクトリにあります。ファイルシステムでのウィンドウフレームテーマの典型的なディレクトリ構造は、以下のとおりです。
テーマファイル |
/usr/share/themes/theme_name/metacity-1/metacity-theme-1.xml |
イメージファイル |
/usr/share/themes/theme_name/metacity-1/*.* |
通常、新しいウィンドウフレームテーマは、.tar.gz ファイルで提供されます。新しいウィンドウフレームテーマをインストールするには、.tar.gz ファイルを解凍して、.tar ファイルを /usr/share/themes ディレクトリに展開します。
ユーザーは独自のウィンドウフレームテーマをインストールすることができます。ユーザーが独自のウィンドウフレームテーマをインストールする場合、そのテーマは $HOME/.themes ディレクトリに格納されます。
GNOME デスクトップには、特別な視覚的要件を持つユーザー用に設計されたいくつかのテーマがあります。たとえば、視力の弱いユーザー用に設計されたテーマが用意されています。テーマには、同じアイコンのいくつかのバージョンが含まれているため、各テーマごとにアイコンを表示できます。
アプリケーション用に新しいアイコンをインストールしなければならない場合があります。新しいアイコンをインストールするときは、そのアイコンに対していくつかのバージョンを作成する必要があります。それによって、アイコンはそれぞれのテーマで正しく表示されます。アイコンは、いくつかの形式で作成できます。 たとえば PNG (Portable Network Graphic) 形式など。GNOME デスクトップ用のアイコンの推奨サイズは、48 x 48 ピクセルです。このサイズであれば、ほとんどのテーマでそのアイコンの大きさを変更できます。
新しいアイコンをインストールするときは、以下に示すアイコンを 48 x 48 ピクセルバージョンで作成します。
通常のアイコン
低コントラストのアイコン
高コントラストのアイコン
反転の高コントラストのアイコン
大きな表示を必要としないテーマのために、可能な場合、上記の各アイコンに対して 16 x 16 ピクセルバージョンも作成します 。
アイコンは、デスクトップテーマのインストールまたはウィンドウフレームテーマのインストールで説明されているイメージファイルの場所にインストールします。たとえば、アイコンを HighContrast テーマに追加する場合は、そのアイコンを /usr/share/themes/HighContrast/pixmaps ディレクトリに追加します。該当するテーマファイルにアイコンの参照先を追加します。たとえば、アイコンを HighContrast テーマに追加する場合は、アイコンの参照先を /usr/share/themes/HighContrast/gtk-2.0/gtkrc ファイルに追加します。
上記の説明は、次の種類のアイコンのみに適用されます。
GNOME デスクトップ上のアプリケーション内で使用されるアイコン
GTK+ アプリケーションによって内部で使用されるアイコン、または GTK+ ストックアイコン
アプリケーションランチャー用およびパネル用のアイコンの作成方法については、 http://www.freedesktop.org/standards/icon-theme-spec.html を参照してください。
GNOME デスクトップが提供するデスクトップテーマが、ユーザー要件に適応しない場合は、カスタムのデスクトップテーマを作成できます。カスタムデスクトップテーマを作成するには、次の手順を実行します。
テーマのディレクトリ構造を /usr/share/themes ディレクトリ内に作成します。ほかのテーマと同じディレクトリ構造を使用します。たとえば、SmallPrint というテーマを作成する場合は、次のディレクトリを作成します。
/usr/share/themes/SmallPrint/gtk-2.0
/usr/share/themes/SmallPrint/pixmaps
ユーザー要件をほぼ満たす gtkrc テーマファイルを見つけます。そのファイルを新しいテーマの gtk-2.0 ディレクトリにコピーします。
テキストエディタを使用して、gtkrc ファイルを開き、必要に応じてインターフェイス要素の属性を変更します。
新しいテーマにイメージが含まれる場合は、そのイメージを新しいテーマの pixmaps ディレクトリにインストールします。新しいテーマが別のテーマのイメージを使用する場合は、新しいテーマ用にイメージのコピーを作成する必要はありません。ただし、gtkrc ファイルの pixmap_path エントリに登録されているイメージへの参照が正しいことを確認する必要があります。
以上の操作により、新しいテーマを選択できるようになります。
gtkrc ファイルの詳細については、http://developer.gnome.org/doc/API/2.0/gtk/index.html を参照してください。