システム動作についてのデータを編成し表示する
特殊な要求に基づいて、システム動作データにアクセスする
システムパフォーマンスを測定および監視するレポートを自動的に生成する。また、特定のパフォーマンス障害を正確に突き止めるための、特殊な要求レポートも生成する。これらのツールについては、システム動作データの自動収集 (sar) を参照
このコマンドの詳細は、sar(1) のマニュアルページを参照してください。
sar -a コマンドを使用すると、ファイルアクセス操作の統計情報が表示されます。
$ sar -a SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 iget/s namei/s dirbk/s 01:00:00 0 3 0 02:00:00 0 3 0 03:00:00 0 3 0 04:00:00 0 3 0 05:00:00 0 3 0 06:00:00 0 3 0 07:00:00 0 3 0 08:00:00 0 3 0 08:20:01 0 3 0 08:40:00 0 3 0 09:00:00 0 3 0 09:20:01 0 10 0 09:40:01 0 1 0 10:00:02 0 5 0 Average 0 4 0 |
次の表に、sar -a コマンドによってレポートされるオペレーティングシステムのルーチンを示します。
表 24–7 sar -a コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
iget/s |
ディレクトリ名検索キャッシュ (DNLC) 内に入っていない i ノードに対して出された要求数 |
namei/s |
1 秒当りのファイルシステムパスの検索数。namei で DNLC 内にディレクトリ名が見つからない場合は、iget が呼び出され、ファイルまたはディレクトリの i ノードが取得される。したがって、ほとんどの igets は DNLC が欠落した結果である |
dirbk/s |
1 秒間に実行されたディレクトリブロックの読み取り回数 |
表示される値が大きいほど、カーネルはユーザーファイルへのアクセスに長い時間を費やしています。この時間には、プログラムとアプリケーションによるファイルシステムの使用量が反映されます。-a オプションを使用すると、アプリケーションのディスク依存度を表示できるので便利です。
sar -b コマンドを使用すると、バッファー動作の統計情報が表示されます。
バッファーは、i ノード、シリンダグループブロック、間接ブロックなどのメタデータをキャッシュするために使用されます。
$ sar -b 00:00:00 bread/s lread/s %rcache bwrit/s lwrit/s %wcache pread/s pwrit/s 01:00:00 0 0 100 0 0 55 0 0 |
次の表は、-b オプションを指定したときに表示されるバッファー動作を示します。
表 24–8 sar -b コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
bread/s |
ディスクからバッファーキャッシュに投入された 1 秒当りの平均読み取り数 |
lread/s |
バッファーキャッシュからの 1 秒当りの平均論理読み取り数 |
%rcache |
バッファーキャッシュ内で見つかった論理読み込み数の小数部 (lread/s に対する bread/s の比を 100% から差し引いた値) |
bwrit/s |
バッファーキャッシュからディスクに書き込まれた 1 秒当りの平均物理ブロック数 (512 ブロック) |
lwrit/s |
バッファーキャッシュへの 1 秒当りの平均論理書き込み数 |
%wcache |
バッファーキャッシュ内で見つかった論理書き込み数の小数部 (lwrit/s に対する bwrit/s の比を 100% から差し引いた値) |
pread/s |
キャラクタ型デバイスインタフェースを使用する 1 秒当りの平均物理読み取り数 |
pwrit/s |
キャラクタ型デバイスインタフェースを使用する 1 秒当りの平均物理書き込み要求数 |
最も重要なエントリは、キャッシュヒット率 %rcache と %wcache です。この 2 つのエントリは、システムバッファーリングの効率を測定します。%rcache が 90% 未満の場合や、%wcache が 65% 未満の場合は、バッファー領域を大きくすればパフォーマンスを改善できる可能性があります。
次のsar -b 出力の例は、すべてのデータは許容範囲に収まっているので、%rcache バッファーと %wcache バッファーが処理速度低下の原因ではないことを示します。すべてのデータは許容範囲に収まっています。
$ sar -b SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 bread/s lread/s %rcache bwrit/s lwrit/s %wcache pread/s pwrit/s 01:00:00 0 0 100 0 0 50 0 0 02:00:00 0 0 100 0 0 45 0 0 03:00:00 0 0 100 0 0 72 0 0 04:00:00 0 0 100 0 0 43 0 0 05:00:00 0 0 100 0 0 42 0 0 06:00:00 0 0 100 0 0 48 0 0 07:00:00 0 0 100 0 0 42 0 0 08:00:00 0 0 100 0 0 48 0 0 08:20:01 0 0 100 0 0 42 0 0 08:40:00 0 0 100 0 0 48 0 0 09:00:00 0 0 100 0 0 43 0 0 09:20:01 0 2 99 0 2 83 0 0 09:40:01 0 0 98 0 0 61 0 0 10:00:02 0 1 99 0 0 62 0 0 Average 0 0 99 0 0 74 0 0 |
sar -c コマンドを使用すると、システムコールの統計情報が表示されます。
$ sar -c 00:00:00 scall/s sread/s swrit/s fork/s exec/s rchar/s wchar/s 01:00:00 38 2 2 0.00 0.00 149 120 |
次の表は、-c オプションを指定したときに報告されるシステムコールのカテゴリを示します。一般に、読み取りと書き込みはシステムコール合計の約半分を占めますが、割合はシステムで実行中の動作によって大幅に変動します。
表 24–9 sar -c コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
scall/s |
1 秒当たりのすべてのタイプのシステムコール数 (通常は、4 ないし 6 ユーザーのシステム上で 1 秒当たり約 30) |
sread/s |
1 秒当りの read システムコール数 |
swrit/s |
1 秒当りの write システムコール数 |
fork/s |
1 秒当たりのfork システムコール数 (4 ないし 6 ユーザーのシステム上で毎秒約 0.5)。この数値は、シェルスクリプトの実行中は大きくなる |
exec/s |
1 秒当りの exec システムコール数。exec/s を fork/s で割った値が 3 より大きい場合は、効率の悪い PATH 変数を調べる |
rchar/s |
read システムコールによって転送される 1 秒当りの文字 (バイト) 数 |
wchar/s |
write システムコールによって転送される 1 秒当りの文字 (バイト) 数 |
次の例は、sar -c コマンドからの出力を示します。
$ sar -c SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 scall/s sread/s swrit/s fork/s exec/s rchar/s wchar/s 01:00:00 118 14 9 0.00 0.00 3360 2506 02:00:00 118 14 9 0.00 0.00 3360 2505 03:00:00 118 14 9 0.00 0.00 3361 2506 04:00:00 118 14 9 0.01 0.00 3363 2506 05:00:00 118 14 9 0.00 0.00 3360 2505 06:00:00 118 14 9 0.00 0.00 3360 2505 07:00:00 118 14 9 0.00 0.00 3360 2505 08:00:00 118 14 9 0.00 0.00 3360 2505 08:20:01 120 14 9 0.00 0.00 3394 2522 08:40:00 119 14 9 0.01 0.01 3357 2502 09:00:00 119 14 9 0.01 0.00 3356 2500 09:20:01 437 76 48 0.04 0.04 19606 6531 09:40:01 585 117 73 0.00 0.00 12962 10119 10:00:02 564 97 60 0.03 0.03 16354 6196 Average 159 22 14 0.01 0.01 4657 3017 |
sar -d コマンドを使用すると、ディスク動作の統計情報が表示されます。
$ sar -d 00:00:00 device %busy avque r+w/s blks/s avwait avserv 01:00:00 fd0 0 0.0 0 0 0.0 0.0 |
次の表は、-d オプションを指定したときに報告されるディスクデバイスの動作を示します。
表 24–10 sar -d コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
device |
監視中のディスクデバイス名 |
%busy |
デバイスが転送要求のサービスに費やす時間の割合 |
avque |
平均待ち時間と平均サービス時間の合計 |
r+w/s |
デバイスへの 1 秒当りの読み取り転送数と書き込み転送数 |
blks/s |
デバイスに転送される 1 秒当たりの 512 バイトブロック数 |
avwait |
待ち行列内の転送要求の平均アイドル時間 (ミリ秒単位)。これは、待ち行列が占有されている場合のみ計測される |
avserv |
デバイスが 1 転送要求の処理に要する平均時間 (ミリ秒単位)。ディスクの場合は、この値にシークタイム、回転待ち時間、データ転送時間が含まれる |
待ち行列内に何かがあるときは、待ち行列の長さと待ち時間が計測されるので注意してください。%busy の値が小さい場合に、待ち行列とサービス時間が大きければ、変更されたブロックをディスクに随時書き込むために、システムが定期的に処理していることを示す場合があります。
次の例は、sar -d コマンドからの一部省略した出力を示します。
$ sar -d SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 device %busy avque r+w/s blks/s avwait avserv 01:00:00 dad0 0 0.0 0 0 18.1 14.9 dad0,a 0 0.0 0 0 0.0 0.0 dad0,b 0 0.0 0 0 0.0 15.1 dad0,c 0 0.0 0 0 0.0 0.0 dad0,d 0 0.0 0 0 20.1 14.9 dad0,e 0 0.0 0 0 0.0 0.0 dad0,g 0 0.0 0 0 0.0 0.0 dad0,h 0 0.0 0 0 0.0 0.0 fd0 0 0.0 0 0 0.0 0.0 nfs1 0 0.0 0 0 0.0 0.0 nfs2 0 0.0 0 0 2.9 4.4 nfs3 0 0.0 0 0 0.0 0.0 sd0 0 0.0 0 0 0.0 0.0 |
sar -g コマンドを使用すると、ページアウト動作の平均値とメモリー解放動作の平均値とが表示されます。
$ sar -g 00:00:00 pgout/s ppgout/s pgfree/s pgscan/s %ufs_ipf 01:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 |
sar -g コマンドで表示される出力は、より多くのメモリーが必要かどうかを判断するのに役立ちます。 ps -elf コマンドを使用すると、ページデーモンに使用される CPU サイクル数が表示されます。サイクル数が大きく、pgfree/s と pgscan/s の値が大きければ、メモリー不足を示します。
また、sar -g を使用すると、i ノードの再利用間隔が短すぎるために、再利用可能なページが失われているかどうかも表示されます。
次の表に -g オプションからの出力について説明します。
表 24–11 sar -g コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
pgout/s |
1 秒間にページアウトされた要求数 |
ppgout/s |
1 秒間に実際にページアウトされたページ数(1 つのページアウト要求で複数のページがページアウトされることがある) |
pgfree/s |
空きリストに配置された 1 秒当りのページ数 |
pgscan/s |
ページデーモンによって走査された 1 秒当りのページ数。この値が大きい場合は、ページデーモンが空きメモリーのチェックに大量の時間を費やしている。これは、メモリーを増やす必要があることを示す |
%ufs_ipf |
ufs がそれに関連付けられた再使用可能ページを持つ iget によって空きリストから取り出された割合。これらのページはフラッシュされ、プロセスが回収できなくなる。したがって、これはページフラッシュを 伴う igets の割合である。値が大きければ、i ノードの空きリストがページ境界であり、ufs の i ノード数を増やす必要があることを示す |
次の例は、sar -g コマンドからの出力を示します。
$ sar -g SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 pgout/s ppgout/s pgfree/s pgscan/s %ufs_ipf 01:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 02:00:00 0.01 0.01 0.01 0.00 0.00 03:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 04:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 05:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 06:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 07:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 08:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 08:20:01 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 08:40:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 09:00:00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 09:20:01 0.05 0.52 1.62 10.16 0.00 09:40:01 0.03 0.44 1.47 4.77 0.00 10:00:02 0.13 2.00 4.38 12.28 0.00 10:20:03 0.37 4.68 12.26 33.80 0.00 Average 0.02 0.25 0.64 1.97 0.00 |
sar -k コマンドを使用すると、KMA (Kernel Memory Allocator) に関して次の動作が表示されます。
KMA を使用すると、カーネルサブシステムは必要に応じてメモリーを割り当て、解放できます。最大量のメモリーを静的に割り当てるのではなく、ピークを下回る負荷を要求するのが予想されるため、KMA はメモリー要求を「小」(256 バイト未満)、「大」(512 バイト 〜 4K バイト)、「サイズ超過」 (4K バイト超) という 3 つのカテゴリに分けます。 また、2 つのメモリープールを管理して、「小」要求と「大」要求を満たします。「サイズ超過」要求は、システムページアロケータからメモリーを割り当てることで満たされます。
KMA 資源を使用するドライブや STREAMS の作成に使用中のシステムを調査する場合は、sar -k コマンドを使用すると便利です。それ以外の場合は、このコマンドで提供される情報は不要です。KMA 資源を使用するが、終了前には特に資源を返さないドライバやモジュールがあると、メモリーのリークが生じることがあります。メモリーリークが発生すると、KMA によって割り当てられるメモリーは時間が経つにつれて増大します。したがって、sar -k コマンドの alloc フィールドの値が時間が経つにつれ増える場合は、メモリーリークの可能性があります。メモリーリークのもう 1 つの兆候は、要求が失敗することです。この問題が発生した場合は、メモリーリークのために KMA がメモリーを予約したり割り当てたりできなくなっている可能性があります。
メモリーリークが発生した場合は、KMA からメモリーを要求したが返していないドライバや STREAMS がないかどうかをチェックする必要があります。
$ sar -k 00:00:00 sml_mem alloc fail lg_mem alloc fail ovsz_alloc fail 01:00:00 2523136 1866512 0 18939904 14762364 0 360448 0 02:00:02 2523136 1861724 0 18939904 14778748 0 360448 0 |
次の表に -k オプションからの出力について説明します。
表 24–12 sar -k コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
sml_mem |
KMA が小メモリー要求プール内で使用できるメモリーのバイト数 (小要求は 256 バイト未満) |
alloc |
KMA が小メモリー要求プールから小メモリー要求に割り当てたメモリーのバイト数 |
fail |
小量のメモリーで失敗した要求数 |
lg_mem |
KMA が大メモリー要求プール内で使用できるメモリーのバイト数 (大要求は 512 バイトから 4K バイトまで) |
alloc |
KMA が大メモリー要求プールから大メモリー要求に割り当てたメモリーのバイト数 |
fail |
大メモリーで失敗した要求数 |
ovsz_alloc |
サイズ超過要求 (4K バイトを超える要求) に割り当てられたメモリーの容量。これらの要求はページアロケータによって満たされる。このため、プールはない |
fail |
サイズ超過メモリーで失敗した要求数 |
次の例は、sar -k 出力を示します。
$ sar -k SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:05 sml_mem alloc fail lg_mem alloc fail ovsz_alloc fail 01:00:03 1761280 1209760 0 4833280 3955104 0 2293760 0 02:00:05 1761280 1209020 0 4833280 3953360 0 2293760 0 03:00:03 1761280 1208712 0 4833280 3972096 0 2293760 0 04:00:03 1761280 1209796 0 4833280 3976432 0 2293760 0 05:00:03 1761280 1207708 0 4833280 3976864 0 2293760 0 06:00:04 1761280 1208112 0 4833280 3977200 0 2293760 0 07:00:04 1761280 1209024 0 4833280 3977200 0 2293760 0 08:00:04 1761280 1208932 0 4833280 4035120 0 2293760 0 08:20:04 1761280 1210480 0 4833280 4035120 0 2293760 0 08:40:04 1761280 1210592 0 4833280 4035968 0 2293760 0 09:00:03 1761280 1212440 0 4833280 4039024 0 2293760 0 09:20:04 1761280 1214388 0 4833280 4043792 0 2293760 0 09:40:04 1761280 1210760 0 4833280 4041744 0 2293760 0 10:00:05 1761280 1208192 0 4833280 4040496 0 2293760 0 10:20:03 1761280 1213404 0 4833280 4046576 0 2293760 0 10:40:02 1761280 1212184 0 4833280 4046576 0 2293760 0 Average 1761280 1210219 0 4833280 4009542 0 2293760 0 |
sar -m コマンドを使用すると、プロセス間通信の動作が表示されます。
$ sar -m 00:00:00 msg/s sema/s 01:00:00 0.00 0.00 |
通常、これらの数字は、メッセージやセマフォを使用するアプリケーションを実行していない限りゼロ (0.00) です。
次の表に -m オプションからの出力について説明します。
表 24–13 sar -m コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
msg/s |
1 秒当りのメッセージ処理 (送受信) 数 |
sema/s |
1 秒当りのセマフォ処理数 |
次の例は、sar -m コマンドからの一部省略した出力を示します。
$ sar -m SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 msg/s sema/s 01:00:00 0.00 0.00 02:00:02 0.00 0.00 03:00:00 0.00 0.00 04:00:00 0.00 0.00 05:00:01 0.00 0.00 06:00:00 0.00 0.00 Average 0.00 0.00 |
sar -p コマンドを使用すると、保護フォルトや変換フォルトを含むページイン動作が表示されます。
$ sar -p 00:00:00 atch/s pgin/s ppgin/s pflt/s vflt/s slock/s 01:00:00 0.07 0.00 0.00 0.21 0.39 0.00 |
次の表に -p オプションから報告される統計情報を示します。
表 24–14 sar -p コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
atch/s |
現在メモリーに入っているページを回収して満たされる 1 秒当りのページフォルト数 (1 秒当りの付加数)。この例には、空きリストから無効なページを回収し、別のプロセスに現在使用中のテキストページを共有する処理が含まれる (たとえば、複数のプロセスが同じプログラムテキストにアクセスしている場合など) |
pgin/s |
ファイルシステムがページイン要求を受信する 1 秒当りの回数 |
ppgin/s |
ページインされる 1 秒当りのページ数。ソフトロック要求 (slock/s を参照) などの 1 つのページイン要求や、大型ブロックサイズでは、複数のページがページインされることがある |
pflt/s |
保護エラーによるページフォルト数。保護フォルトの例には、ページへの不正なアクセスや、「書き込み時コピー」などがある。通常、この数値は主に「書き込み時コピー」からなっている |
vflt/s |
1 秒当りのアドレス変換ページフォルト数。これは、有効性フォルトと呼ばれ、所定の仮想アドレスに有効なプロセステーブルエントリが存在しないときに発生する |
slock/s |
物理入出力を要求するソフトウェアロック要求によって発生する 1 秒当りのフォルト数。ソフトロック要求の発生例には、ディスクからメモリーへのデータ転送などがある。システムはデータを受信しないページをロックするので、別のプロセスはそれを回収して使用できない |
次の例は、sar -p コマンドからの出力を示します。
$ sar -p SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 atch/s pgin/s ppgin/s pflt/s vflt/s slock/s 01:00:00 1.00 0.00 0.00 0.26 1.13 0.00 02:00:00 1.00 0.00 0.00 0.26 1.13 0.00 03:00:00 1.01 0.00 0.00 0.29 1.17 0.00 04:00:00 1.03 0.00 0.00 0.34 1.27 0.00 05:00:00 1.00 0.00 0.00 0.26 1.13 0.00 06:00:00 1.00 0.00 0.00 0.26 1.13 0.00 07:00:00 1.00 0.00 0.00 0.26 1.13 0.00 08:00:00 1.00 0.00 0.00 0.26 1.13 0.00 08:20:01 1.03 0.00 0.00 0.32 1.26 0.00 08:40:00 1.03 0.00 0.00 0.32 1.26 0.00 09:00:00 1.03 0.00 0.00 0.42 1.43 0.00 09:20:01 2.17 1.37 1.95 2.59 50.06 0.00 09:40:01 0.09 0.52 0.63 0.27 105.42 0.00 10:00:02 0.65 2.59 3.11 1.19 42.19 0.00 10:20:03 1.69 11.45 13.77 4.36 39.58 0.00 10:40:01 0.08 0.31 0.32 1.56 12.23 0.00 Average 1.00 0.51 0.62 0.55 8.79 0.00 |
sar -q コマンドを使用すると、待ち行列に要求が入っている平均待ち行列の長さと、その間の時間の割合が表示されます。
$ sar -q 00:00:00 runq-sz %runocc swpq-sz %swpocc |
次の表に -q オプションからの出力について説明します。
表 24–15 sar -q コマンドの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
runq-sz |
CPU を実行するためにメモリー内で待機中のカーネルスレッド数。通常、この値は 2 未満になる。値が常に 2 より大きい場合は、システムが CPU の限界に到達している可能性がある |
%runocc |
ディスパッチ待ち行列が使用されている時間の割合 |
swpq-sz |
sar では出力されなくなった |
%swpocc |
sar では出力されなくなった |
次の例は、sar -q コマンドからの出力を示します。%runocc の値が大きく (90 パーセント超)、runq-sz が 2 より大きい場合は、CPU の負荷が大きく、応答速度が低下しています。この場合は、CPU の容量を増やしてシステムの応答速度を適正化する必要があります。
$ sar -q SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 runq-sz %runocc swpq-sz %swpocc 01:00:00 0.0 0 0.0 0 02:00:00 0.0 0 0.0 0 03:00:00 0.0 0 0.0 0 04:00:00 1.0 0 0.0 0 05:00:00 0.0 0 0.0 0 06:00:00 0.0 0 0.0 0 07:00:00 1.0 0 0.0 0 08:00:00 0.0 0 0.0 0 08:20:01 0.0 0 0.0 0 08:40:00 0.0 0 0.0 0 09:00:00 1.0 0 0.0 0 09:20:01 1.6 3 0.0 0 09:40:01 1.5 8 0.0 0 10:00:02 1.6 7 0.0 0 10:20:03 1.5 2 0.0 0 10:40:01 1.9 1 0.0 0 11:00:01 1.4 0 0.0 0 11:20:01 1.6 0 0.0 0 Average 1.6 1 0.0 0 |
sar -r コマンドを使用すると、現在使用されていないメモリーページ数とスワップファイルのディスクブロック数が表示されます。
$ sar -r 00:00:00 freemem freeswap 01:00:00 2135 401922 |
次の表に -r オプションからの出力について説明します。
表 24–16 sar -r コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
freemem |
コマンドによるサンプル収集間隔の間にユーザープロセスに利用できる平均メモリーページ数。ページサイズはマシンに応じて異なる |
freeswap |
ページスワップに使用可能な 512 バイトのディスクブロック数 |
次の例は、sar -r コマンドからの出力を示します。
$ sar -r SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 freemem freeswap 01:00:00 3454 834587 02:00:00 3449 834549 03:00:00 3446 834552 04:00:00 3440 834722 05:00:00 3433 834535 06:00:00 3432 834557 07:00:00 3426 834526 08:00:00 3423 834502 08:20:01 3425 835158 08:40:00 3421 834453 09:00:00 3422 834473 09:20:01 2455 817457 09:40:01 651 768238 10:00:02 862 748302 10:20:03 373 713652 10:40:01 506 717459 11:00:01 668 716669 11:20:01 537 715802 Average 2907 815627 |
sar -u コマンドを使用すると、CPU 使用状況の統計情報が表示されます。
$ sar -u 00:00:00 %usr %sys %wio %idle 01:00:00 0 0 0 100 |
オプションを指定しない sar コマンドは、sar -u と同じです。 特定の瞬間では、 プロセッサはビジー状態またはアイドル状態になっています。ビジー状態のときは、プロセッサはユーザーモードまたはシステムモードになっています。アイドル状態のときは、プロセッサは入出力の完了を待っているか、何も処理することがないので「待機」している状態です。
次の表に -u オプションからの出力について説明します。
表 24–17 sar -u コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
%usr |
プロセッサがユーザーモードになっている時間の割合が表示される |
%sys |
プロセッサがシステムモードになっている時間の割合が表示される |
%wio |
プロセッサがアイドル状態で入出力の完了を待っている時間の割合が表示される |
%idle |
プロセッサがアイドル状態で入出力を待っていない時間の割合が表示される |
一般に、%wio の値が大きい場合は、ディスクの処理速度が低下していることを意味します。
次の例は、sar -u コマンドからの出力を示します。
$ sar -u SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 %usr %sys %wio %idle 01:00:00 0 0 0 100 02:00:00 0 0 0 100 03:00:00 0 0 0 100 04:00:00 0 0 0 100 05:00:00 0 0 0 100 06:00:00 0 0 0 100 07:00:00 0 0 0 100 08:00:00 0 0 0 100 08:20:01 0 0 0 100 08:40:00 0 0 0 100 09:00:00 0 0 0 100 09:20:01 6 1 1 91 09:40:01 15 2 0 82 10:00:02 13 1 2 83 10:20:03 5 2 8 84 10:40:01 3 1 0 96 11:00:01 1 0 1 97 11:20:01 2 0 0 97 Average 2 0 0 98 |
sar -v コマンドを使用すると、プロセステーブル、i ノードテーブル、ファイルテーブル、および共有メモリーレコードテーブルの状態が表示されます。
$ sar -v 00:00:00 proc-sz ov inod-sz ov file-sz ov lock-sz 01:00:00 43/922 0 2984/4236 0 322/322 0 0/0 |
次の表に -v オプションからの出力について説明します。
表 24–18 sar -v コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
proc-sz |
現在カーネル内で使用されているか、割り当てられているプロセスエントリ (proc 構造体) の数 |
inod-sz |
メモリー内の合計 i ノード数とカーネル内で割り当て済みの最大 i ノード数の比。これは厳密な上限ではなく、超えることもできる |
file-sz |
開いているシステムファイルテーブルのサイズ。ファイルテーブルには領域が動的に割り当てられるので、sz は 0 として表示される |
ov |
現在カーネル内で使用されているか割り当てられている共有メモリーレコードテーブルのエントリ数。共有メモリーレコードテーブルには領域が動的に割り当てられるので、sz は 0 として表示される |
lock-sz |
現在カーネル内で使用されているか割り当てられている共有メモリーレコードテーブルのエントリ数。共有メモリーレコードテーブルには領域が動的に割り当てられるので、sz は 0 として表示される |
次の例は、sar -v コマンドからの一部省略した出力を示します。この例は、すべてのテーブルに十分なサイズがあり、オーバーフローは発生しないことを示します。これらのテーブルには、いずれも物理メモリーの容量に基づいて領域が動的に割り当てられます。
$ sar -v SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 proc-sz ov inod-sz ov file-sz ov lock-sz 01:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 02:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 03:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 04:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 05:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 06:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 07:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 08:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 08:20:01 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 08:40:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 09:00:00 64/1898 0 4280/8467 0 0/0 0 0/0 09:20:01 70/1898 0 4281/8467 0 0/0 0 0/0 09:40:01 70/1898 0 4281/8467 0 0/0 0 0/0 10:00:02 71/1898 0 4285/8467 0 0/0 0 0/0 |
sar -w コマンドを使用すると、スワッピングと切り替え動作が表示されます。
$ sar -w 00:00:00 swpin/s bswin/s swpot/s bswot/s pswch/s 01:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 22 |
次の表に、対象となる値と説明を示します。
表 24–19 sar -w コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
swpin/s |
メモリーに転送される 1 秒当りの軽量プロセス数 |
bswin/s |
メモリーからスワップアウトされる 1 秒当りの平均プロセス数。この数値が 1 より大きい場合は、メモリーを増やす必要がある |
swpot/s |
メモリーからスワップアウトされる 1 秒当りの平均プロセス数。この数値が 1 より大きい場合は、メモリーを増やす必要がある |
bswot/s |
スワップアウト用に転送される 1 秒当りのブロック数 |
pswch/s |
1 秒当りのカーネルスレッド切り替え数 |
すべてのプロセスのスワップインには、プロセスの初期化が含まれます。
次の例は、sar -w コマンドからの出力を示します。
$ sar -w SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 swpin/s bswin/s swpot/s bswot/s pswch/s 01:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 63 02:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 60 03:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 62 04:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 63 05:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 63 06:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 61 07:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 60 08:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 61 08:20:01 0.00 0.0 0.00 0.0 63 08:40:00 0.00 0.0 0.00 0.0 63 09:00:00 0.00 0.0 0.00 0.0 63 09:20:01 0.00 0.0 0.00 0.0 132 09:40:01 0.00 0.0 0.00 0.0 187 10:00:02 0.00 0.0 0.00 0.0 185 10:20:03 0.00 0.0 0.00 0.0 258 10:40:01 0.00 0.0 0.00 0.0 161 11:00:01 0.00 0.0 0.00 0.0 128 11:20:01 0.00 0.0 0.00 0.0 117 11:40:00 0.00 0.0 0.00 0.0 171 12:00:01 0.00 0.0 0.00 0.0 94 12:20:01 0.00 0.0 0.00 0.0 95 12:40:01 0.00 0.0 0.00 0.0 95 13:00:01 0.00 0.0 0.00 0.0 95 13:20:01 0.00 0.0 0.00 0.0 96 13:40:01 0.00 0.0 0.00 0.0 98 14:00:01 0.00 0.0 0.00 0.0 96 14:20:00 0.00 0.0 0.00 0.0 91 14:40:01 0.00 0.0 0.00 0.0 92 15:00:01 0.00 0.0 0.00 0.0 103 Average 0.00 0.0 0.00 0.0 88 |
sar -y コマンドを使用すると、端末デバイスの動作を監視できます。
$ sar -y 00:00:00 rawch/s canch/s outch/s rcvin/s xmtin/s mdmin/s 01:00:00 0 0 0 0 0 0 |
大量の端末入出力がある場合は、このレポートを使用して不良な行がないかどうかを判別できます。次の表に、記録される動作を示します。
表 24–20 sar -y コマンドからの出力
フィールド名 |
説明 |
---|---|
rawch/s |
1 秒当りの入力文字数 (raw 待ち行列) |
canch/s |
標準待ち行列で処理される 1 秒当りの文字数 |
outch/s |
1 秒当りの出力文字数 (出力待ち行列) |
rcvin/s |
1 秒当りの受信側ハードウェア割り込み数 |
xmtin/s |
1 秒当りの送信側ハードウェア割り込み数 |
mdmin/s |
1 秒当りのモデム割り込み数 |
1 秒当りのモデム割り込み数 (mdmin/s) は、0 に近い値になります。また、1 秒当りの送受信側ハードウェア割り込み数 ( xmtin/s と rcvin/s) は、それぞれ着信または発信文字数以下になります。そうでない場合は、不良回線がないかどうかをチェックしてください。
次の例は、sar -y コマンドからの出力を示します。
$ sar -y SunOS touchstone 5.9 Generic sun4u 03/04/2003 00:00:00 rawch/s canch/s outch/s rcvin/s xmtin/s mdmin/s 01:00:00 0 0 0 0 0 0 02:00:00 0 0 0 0 0 0 03:00:00 0 0 0 0 0 0 04:00:00 0 0 0 0 0 0 05:00:00 0 0 0 0 0 0 06:00:00 0 0 0 0 0 0 07:00:00 0 0 0 0 0 0 08:00:00 0 0 0 0 0 0 08:20:01 0 0 0 0 0 0 08:40:00 0 0 0 0 0 0 09:00:00 0 0 0 0 0 0 09:20:01 0 0 6 0 0 0 09:40:01 0 0 0 0 0 0 10:00:02 0 0 1 0 0 0 10:20:03 0 0 6 0 0 0 10:40:01 0 0 15 0 0 0 11:00:01 0 0 20 0 0 0 11:20:01 0 0 4 0 0 0 11:40:00 0 0 4 0 0 0 12:00:01 0 0 0 0 0 0 Average 0 0 2 0 0 0 |
sar -A コマンドを使用すると、すべてのオプションを指定した場合と同じように、システム全体を示す統計情報が表示されます。
このコマンドを使用すると、全体像を把握できます。複数のタイムセグメントからのデータが表示される場合は、レポートに平均値が含まれます。