Solaris のシステム管理 (基本編)

論理ディスクデバイス名

論理デバイス名は、次の場合に、ディスクデバイスにアクセスするために使用されます。

管理コマンドの多くは、ディスクスライスまたはファイルシステムを参照する引数を使用します。

シンボリックリンクされるサブディレクトリ (/dev/dsk または /dev/rdsk のどちらか) に続けて、特定のコントローラ、ディスク、およびスライスを識別する文字列を指定することによって、ディスクデバイスを参照してください。

図 30–1 論理デバイス名

論理デバイス名の構成要素、つまり raw ディスクデバイスディレクトリ、論理コントローラ、物理バスターゲット、ドライブ、スライスまたは fdisk パーティションを示しています。

ディスクサブディレクトリの指定

ディスクとファイルの管理コマンドには、raw (または「キャラクタ型」) デバイスインタフェースか、「ブロック」デバイスインタフェースを使用する必要があります。この区別は、データがデバイスから読み取られる方法によって決まります。

raw デバイスインタフェースは、一度に少量のデータだけを転送します。ブロックデバイスインタフェースには、大量のデータブロックが一度に読み取られるバッファーが含まれます。

コマンドによって、必要なインタフェースは異なります。

次の表に、一般的に使用されるディスクコマンドとファイルシステムコマンドの一部に必要なインタフェースを示します。

表 30–1 使用頻度の高いコマンドに必要なデバイスインタフェースのタイプ

コマンド 

インタフェースのタイプ 

使用例 

df(1M)

ブロック 

df /dev/dsk/c0t3d0s6

fsck(1M)

Raw 

fsck -p /dev/rdsk/c0t0d0s0

mount(1M)

ブロック 

mount /dev/dsk/c1t0d0s7 /export/home/ziggy

newfs(1M)

Raw 

newfs /dev/rdsk/c0t0d1s1

prtvtoc(1M)

Raw 

prtvtoc /dev/rdsk/c0t0d0s2

スライスの指定

特定のスライスを特定のディスクで識別するために使用する文字列は、コントローラのタイプが、直接またはバス指向のどちらであるかによって決まります。次の表に、直接コントローラとバス指向コントローラのどちらであるかによって、プラットフォームが何になるかを示します。

表 30–2 コントローラのタイプ

直接コントローラ 

バス指向コントローラ 

IDE (x86) 

SCSI (SPARC/x86) 

 

FCAL (SPARC) 

 

ATA (SPARC/x86) 

両方のタイプのコントローラについて、次の節で説明します。


注 –

コントローラ番号は、システム初期設定時に自動的に割り当てられます。この番号は、厳密に論理的なものであり、物理コントローラに直接対応するものではありません。


x86: 直接コントローラでアクセスされるディスク

x86 システムにおいて IDE コントローラでアクセスされるディスクにスライスを指定するには、 下の図に示す命名規則に従ってください。

図 30–2 x86: 直接コントローラでアクセスされるディスク

この図は、論理コントローラ、ドライブ、スライスまたは fdisk パーティションを含む、直接コントローラでアクセスされるディスクのデバイス名を示しています。

Solaris fdisk パーティション全体を示すには、スライス 2 (S2) を指定してください。

システムにコントローラが 1 つしかない場合、w は、通常、0 になります。

SPARC: バス指向コントローラでアクセスされるディスク

SPARC システムにおいてバス指向コントローラ (SCSI など) でアクセスされるディスクにスライスを指定するには、下の図に示す命名規則に従ってください。

図 30–3 SPARC: バス指向コントローラでアクセスされるディスク

論理コントローラ、物理バスターゲット、ドライブ、スライスまたは fdisk パーティションを含む、バス指向コントローラでアクセスされるディスクのデバイス名

直接接続されるディスク (Ultra10 の IDE ディスクなど) を備えている SPARC システムでは、バス指向コントローラを備えているシステムと同じ命名規則になります。

システムにコントローラが 1 つしかない場合、w は、通常、0 になります。

SCSI コントローラの場合、x はデバイスの背面にあるスイッチによって設定されたターゲットアドレス、y はターゲットに接続されたドライブの論理デバイス番号 (LUN) を示します。ディスクに組み込みコントローラがある場合、y は通常 0 になります。

ディスク全体を示すには、スライス 2 (S2) を指定してください。

x86: SCSI コントローラでアクセスされるディスク

x86 システムにおいて SCSI コントローラでアクセスされるディスクにスライスを指定するには、 下の図に示す命名規則に従ってください。

図 30–4 x86: SCSI コントローラでアクセスされるディスク

論理コントローラ、物理バスターゲット、ドライブ、スライスまたは fdisk パーティションを含む、バス指向コントローラでアクセスされるディスクのデバイス名を示しています。

システムにコントローラが 1 つしかない場合、v は、通常、0 になります。

SCSI コントローラの場合、w はデバイスの背面にあるスイッチによって設定されたターゲットアドレス、x はターゲットに接続されたドライブの論理デバイス番号 (LUN) を示します。ディスクに組み込みコントローラがある場合、x は通常 0 になります。

Solaris fdisk パーティション全体を示すには、スライス 2 (s2) を指定してください。