Solaris 9 12/03 インストールガイド

ブート環境間でのファイルの同期

新しいブート環境に切り替えてアクティブにする準備ができたら、新しいブート環境をアクティブにしてリブートするだけです。新たに作成したブート環境を初めて起動するとき、ブート環境間でファイルの同期がとられます。ここでいう「同期」とは、前にアクティブであったブート環境にあるシステムファイルやディレクトリを、ブートされているブート環境にコピーすることです。変更されているファイルやディレクトリがコピーされます。

/etc/lu/synclist へのファイルの追加

Solaris Live Upgrade では、変更されているクリティカルなファイルがチェックされます。クリティカルなファイルの内容が 2 つのブート環境で異なっている場合、そのファイルはアクティブなブート環境から新しいブート環境にコピーされます。ファイルの同期は、新しいブート環境の作成後に /etc/passwd /etc/group などのクリティカルなファイルが変更された場合のために用意されています。

/etc/lu/synclist ファイルには、同期するディレクトリやファイルのリストが記述されています。アクティブなブート環境から新しいブート環境にほかのファイルをコピーしたい場合もあるでしょう。必要に応じて、ディレクトリやファイルを /etc/lu/synclist に追加できます。

/etc/lu/synclist のリストにないファイルを追加すると、システムをブートできなくなる場合があります。同期処理では、ファイルのコピーとディレクトリの作成だけが行われます。ファイルやディレクトリの削除は行われません。

次の /etc/lu/synclist ファイルの例は、このシステムで同期される標準のディレクトリとファイルを示しています。


/var/mail                    OVERWRITE
/var/spool/mqueue            OVERWRITE
/var/spool/cron/crontabs     OVERWRITE
/var/dhcp                    OVERWRITE
/etc/passwd                  OVERWRITE
/etc/shadow                  OVERWRITE
/etc/opasswd                 OVERWRITE
/etc/oshadow                 OVERWRITE
/etc/group                   OVERWRITE
/etc/pwhist                  OVERWRITE
/etc/default/passwd          OVERWRITE
/etc/dfs                     OVERWRITE
/var/log/syslog              APPEND
/var/adm/messages            APPEND

次のディレクトリやファイルなどは、synclist ファイルに追加してもよいでしょう。


/var/yp                    OVERWRITE
/etc/mail                  OVERWRITE
/etc/resolv.conf          OVERWRITE
/etc/domainname            OVERWRITE

synclist ファイルのエントリは、ファイルまたはディレクトリです。2 番目のフィールドは、ブート環境をアクティブ化するときに行われる更新の方法を示します。ファイルの更新には 3 通りの方法があります。

ブート環境間での強制的な同期

新しく作成したブート環境で初めてブートする時に、Solaris Live Upgrade は新しいブート環境と以前のアクティブブート環境の同期をとります。この最初のブートと同期の後は、要求しない限り Solaris Live Upgrade で同期は行われません。

複数のバージョンの Solaris オペレーティング環境を使用していると、強制的に同期を行いたい場合があります。emailpasswd/groupなどのファイルに加えた変更を、アクティブにするブート環境に反映させたい場合があります。強制的に同期を実行すると、Solaris Live Upgrade は、同期をとるファイルの間に矛盾がないかチェックします。新しいブート環境がブートされ、矛盾が検出されると、警告が出されます。この場合、ファイルの同期は行われません。このような場合でも、アクティブ化は正常に終了します。新しいブート環境とアクティブなブート環境の両方で同じファイルに変更を加えると、矛盾が発生することがあります。たとえば、元のブート環境で /etc/passwd ファイルに変更を加えます。そして、新しいブート環境で /etc/passwd ファイルに別の変更を加えた場合などです。このような場合、同期処理では、どちらのファイルをコピーするべきか判断できません。


注意 – 注意 –

以前のアクティブブート環境で発生した変更にユーザーが気付いていない場合や、それらの変更を制御できない場合もあるため、このオプションを使用する際には十分注意してください。たとえば、現在のブート環境で Solaris 9 ソフトウェアを実行しているとします。この場合、Solaris 7 リリースをブートし、強制的な同期を実行すると、7 リリースのファイルは変更されることがあります。ファイルはオペレーティング環境のリリースに依存しているため、Solaris 7 リリースのブートは失敗することがあります。Solaris 9 のファイルと Solaris 7 のファイルは互換性があるとは限らないからです。