Solaris 9 12/03 インストールガイド

フラッシュアーカイブの作成の計画

マスターシステムからのアーカイブの作成または 2 つのシステムイメージからの差分アーカイブの作成が可能です。差分アーカイブでは、2 つのイメージの相違部分のみがインストールされます。

初期インストール用フラッシュアーカイブの作成を計画する

マスターシステムへのインストールの完了後、フラッシュインストールの次の作業として、フラッシュアーカイブを作成します。マスターシステム上のファイルは、さまざまな識別情報と共にフラッシュアーカイブにコピーされます。フラッシュアーカイブは、マルチユーザーモードまたはシングルユーザーモードでマスターシステムが稼働している間に作成できます。フラッシュアーカイブは、次のメディアのうちの 1 つからブートした後でも作成できます。

更新用フラッシュ差分アーカイブの作成を計画する

保持しているクローンシステムを更新する場合、更新前のマスターイメージと更新後のマスターイメージとの変更点のみを含む差分アーカイブを作成できます。クローンにインストールされた元のソフトウェアが稼動しているシステムをイメージの 1 つにできます。これを使用しない場合は、保存された更新前のマスターイメージのコピーにアクセスする必要があります。このイメージに該当する変更を適用して、更新を行います。アクセスするもう 1 つのイメージは、比較に使用します。2 つのイメージの相違部分が、差分アーカイブになります。カスタム JumpStart インストール方法を使用して、フラッシュ差分アーカイブをインストールします。あるいは、Solaris Live Upgrade を使用して、非アクティブブート環境に差分アーカイブをインストールします。差分アーカイブを使用してクローンシステムを更新すると、差分アーカイブ内に存在するファイルだけがクローンシステム上で変更されます。インストールの前または後に、スクリプトを使用してアーカイブをカスタマイズできます。再構成を行う場合、これは特に有効です。

次のいずれかの方法でアクセス可能にするため、初期インストールの実行後に更新前のマスターイメージを保存する必要があります。

手順については、マスターイメージの更新と差分アーカイブの作成を参照してください。

アーカイブのファイルとディレクトリのカスタマイズ

フラッシュアーカイブの作成時に、マスターシステムからコピーされるファイルやディレクトリの一部分をアーカイブから除外することができます。アーカイブからディレクトリを除外する際に、そのディレクトリ内にある特定のファイルやサブディレクトリを除外せずにアーカイブに含めることも可能です。たとえば、/a/aa/bb/c にあるすべてのファイルやディレクトリを除外するアーカイブを作成できます。このアーカイブを作るときに、bb サブディレクトリの内容だけを除外せずにアーカイブに含めることができます。これにより、アーカイブに含められるのは bb サブディレクトリの内容だけになります。


注意 – 注意 –

flar create のファイル除外オプションは、注意して使用してください。一部のディレクトリを除外する際、気づかずにシステム構成ファイルなどの他のファイルがアーカイブに残ってしまう場合があります。この場合、システムの整合性が損なわれるため、インストールが失敗してしまいます。ディレクトリやファイルの除外は、大規模なデータファイルなど、システムを破綻させることなく容易に削除可能なデータに対して行うのが最善です。


次の表に、ファイルやディレクトリの除外および追加用の flar create コマンドのオプションを示します。

指定方法 

除外用のオプション 

追加用のオプション 

ディレクトリまたはファイルの名前を指定します。 

-x exclude_dir/filename

-y include_dir/filename

対象のファイルやディレクトリのリストを含むファイルを使用します。 

-X list_filename

-z list_filename

-f list_filename

-z list_filename

これらのオプションの詳細は、表 20–7 を参照してください。

アーカイブのカスタマイズ例については、例 — 初期インストール用アーカイブの作成を参照してください。

スクリプトを使用したアーカイブのカスタマイズ

マスターシステムへのソフトウェアのインストールが完了したら、作成、インストール、ポストインストール、および初回再起動時に特別なスクリプトを実行できます。これらのスクリプトを使用して、以下を実行できます。

カスタムスクリプト作成のガイドライン

再起動スクリプト以外のスクリプトを作成する場合、スクリプトがオペレーティング環境やシステムを破壊してしまうことがないよう、以下のガイドラインに従ってください。これらのガイドラインに従うことで、Solaris Live Upgrade を使用して、オペレーティング環境インストール用の新規ブート環境が作成可能になります。新規ブート環境は、現行システムの稼働中にアーカイブを使用してインストールできます。


注 –

これらのガイドラインは、デーモンの実行やルート (/) ファイルシステムへの他のタイプの変更を実行可能にする再起動スクリプトに適用されるものではありません。


Solaris Live Upgrade の概要については、第 30 章「Solaris Live Upgrade の概要」を参照してください。

フラッシュアーカイブのセクション

フラッシュアーカイブには、次のセクションが含まれます。一部のセクションを使用して、アーカイブの識別やカスタマイズ、およびインストールの状態情報の表示を実行できます。各セクションの詳細は、第 20 章「フラッシュに関するリファレンス情報」を参照してください。

表 17–1 フラッシュアーカイブのセクション

セクション名 

情報提供のみ 

説明 

Cookie 

最初のセクションには、ファイルをフラッシュアーカイブとして識別する cookie が含まれます。

識別 

 

2 番目のセクションには、アーカイブについての識別情報を値に持つキーワードが含まれます。一部の識別情報は、アーカイブソフトウェアにより提供されます。その他の特定の識別情報は、flar create コマンドのオプションを使用して追加できます。

ユーザー定義 

 

このセクションは、識別セクションの次に続きます。これらのセクションを定義および挿入して、アーカイブをカスタマイズできます。フラッシュアーカイブは、ユーザーが定義したセクションは処理しません。たとえば、このセクションには、アーカイブの説明や、アプリケーションの整合性をチェックするスクリプトなどを含めることができます。 

マニフェスト 

このセクションは、フラッシュ差分アーカイブに対して生成され、クローンシステムの検証に使用されます。マニフェストセクションには、クローンシステムに保持、追加または削除されるシステム上のファイルが一覧表示されます。このセクションは情報提供専用であり、内部形式でファイルをリスト表示します。スクリプトの記述には使用できません。 

配置前、配置後、再起動 

このセクションには、オペレーティング環境イメージのインストール前または後にフラッシュソフトウェアが使用する内部情報が含まれます。指定したスクリプトはすべて、このセクションに含まれます。 

サマリー 

 

このセクションには、アーカイブ作成に関するメッセージが含まれます。セクションには、配置前および配置後スクリプトのアクティビティも記録できます。このセクションに出力を送信するスクリプトを記述することにより、このセクション内でインストールの成功を確認できます。 

アーカイブファイル 

アーカイブファイルセクションには、マスターシステムから収集されたファイルが含まれます。 

初期インストールでのアーカイブの作成時期

アーカイブは、システムができるだけ静的な状態である時に作成してください。

マスターシステムにソフトウェアをインストールした後でソフトウェアを構成する前にアーカイブを作成します。たとえば、Solaris ボリュームマネージャは、ファイルシステム外部にメタ情報を格納します。起動ディスクをカプセル化およびミラー化してある場合、アーカイブは作成できません。アーカイブ作成ではファイルシステム外部のメタ情報にアクセスできないため、構成前にアーカイブを作成する必要があります。

フラッシュアーカイブの保存先

フラッシュアーカイブを作成した後、そのアーカイブをマスターシステムのハードディスクまたはテープに保存できます。保存後は、任意のファイルシステムまたは媒体へそのアーカイブをコピーできます。

アーカイブの圧縮

フラッシュアーカイブを作成する際は、compress(1) ユーティリティを使用して、そのアーカイブが圧縮ファイルとして保存されるように指定することができます。圧縮されたアーカイブはディスク容量が少なくてすみ、ネットワークを介してアーカイブをインストールする場合の負荷も減ります。