Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

プロジェクトの作業セットサイズの決定

この例では、前の例と同じプロジェクトを使用します。

前の例では、プロジェクト user1 が自分に許可された上限よりも多くの物理メモリーを使用しているところを示しました。この例では、どれくらいのメモリーをプロジェクトの作業負荷が必要とするのかを示します。


user1machine% rcapstat 5 5
    id project  nproc    vm   rss   cap    at avgat     pg  avgpg
376565   user1      3 6249M 6144M 6144M  690M    0K   689M     0K
376565   user1      3 6249M 6144M 6144M    0K    0K     0K     0K
376565   user1      3 6249M 6171M 6144M   27M    0K    27M     0K
376565   user1      3 6249M 6146M 6144M 4872K    0K  4816K     0K
376565   user1      3 6249M 6156M 6144M   12M    0K    12M     0K
376565   user1      3 6249M 6150M 6144M 5848K    0K  5816K     0K
376565   user1      3 6249M 6155M 6144M   11M    0K    11M     0K
376565   user1      3 6249M 6150M   10G   32K    0K    32K     0K
376565   user1      3 6249M 6214M   10G    0K    0K     0K     0K
376565   user1      3 6249M 6247M   10G    0K    0K     0K     0K
376565   user1      3 6249M 6247M   10G    0K    0K     0K     0K
376565   user1      3 6249M 6247M   10G    0K    0K     0K     0K
376565   user1      3 6249M 6247M   10G    0K    0K     0K     0K
376565   user1      3 6249M 6247M   10G    0K    0K     0K     0K
376565   user1      3 6249M 6247M   10G    0K    0K     0K     0K

サイクルの中ほどで、プロジェクト user1 の上限を 6G バイトから 10G バイトに上げました。値を上げることによって上限の制限が止まり、常駐セットサイズが上昇しました。常駐セットサイズを規制するのは、ほかのプロセスと、マシンのメモリー容量だけになりました。rss 列が、プロジェクトの作業セットサイズ (この例では 6247M バイト) を反映して安定する場合があります。この値が、このプロジェクトのプロセスがページフォルトを頻繁に起こさずに動作できる、上限の最小値です。

次の 2 つの図は、上限が 6G バイトと 10G バイトのときに、rcapd user1 に与える影響を示しています。 サンプリング間隔である 5 秒ごとに、rcapd が作業負荷のメモリーの一部をページアウトすることによって、RSS が減り、入出力が増えます。ページアウトの直後、これらのページを必要とする作業負荷は、(動作し続ける限り) メモリーをページインします。このサイクルは、例の中ほどで上限を 10G バイトに上げるまで繰り返され、その後、RSS は 6.1G バイトで安定します。作業負荷の RSS が上限より低くなったため、これ以後ページングは発生しません。同様に、ページングに関連する入出力も止まります。このことは、vmstat (vmstat(1M)のマニュアルページを参照) コマンドまたは iostat ( iostat(1M)のマニュアルページ参照) コマンドで確認できます。以上のようにして、観察時にプロジェクトが行なっていた作業の実行には、6.1G バイトが必要であったと推論できます。

図 9–1 user1 の上限を WSS よりも大きくしたあとに RSS 値が安定する様子

このグラフは、user1 の上限を user1 の WSS よりも高くしたあとに RSS 値が安定したことを示します。

図 9–2 ページインとページアウトの関係、および user1 の上限を上げたあとに入出力が安定する様子

このグラフは、ページインとページアウトの関係、および user1 の上限を上げたあとの入出力の安定を示します。