Solaris 9 4/04 インストールガイド

ハッシュキーと暗号化鍵の作成

HTTPS を使ってデータを転送するには、HMAC SHA1 ハッシュキーと暗号化鍵を作成する必要があります。半私設のネットワーク上でインストールを行うときなど、インストールデータの暗号化が不要な場合もあります。HMAC SHA1 ハッシュキーを使用すると、wanboot プログラムの完全性を確認できます。ハッシュキーと暗号化鍵の概要については、WAN ブートインストール時のデータの保護を参照してください。

wanbootutil keygen コマンドを使用すると、これらのキーを生成し、/etc/netboot の適切なディレクトリに保存できます。

ハッシュキーと暗号化鍵を作成する方法
  1. WAN ブートサーバーで、Web サーバーユーザーと同じ役割になります。

  2. HMAC SHA1 マスターキーを作成します。


    # wanbootutil keygen -m
    
    keygen -m

    WAN ブートサーバーの HMAC SHA1 マスターキーを作成します。

  3. このマスターキーから、クライアントの HMAC SHA1 ハッシュキーを作成します。


    # wanbootutil keygen -c -o [net=net-ip,{cid=client-ID,}]type=sha1
    
    -c

    クライアントのハッシュキーをマスターキーから作成します。

    -o

    wanbootutil keygen コマンドに追加オプションが含まれていることを示します。

    (省略可能) net=net-ip

    クライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。net オプションを指定しない場合、キーは /etc/netboot/keystore ファイルに保存され、すべての WAN ブートクライアントで使用可能になります。

    (省略可能) cid=client-ID

    クライアント ID を指定します。クライアント ID は、ユーザーが定義した ID か、DHCP クライアント ID です。cid オプションの前には、net= に有効な値を指定する必要があります。net オプションを指定し、cid オプションを指定しない場合、キーは /etc/netboot/net-ip/keystore ファイルに保存されます。このキーは、net-ip サブネットにあるすべての WAN ブートクライアントで使用可能になります。

    type=sha1

    クライアントの HMAC SHA1 ハッシュキーを作成するよう、wanbootutil keygen ユーティリティに指示します。

  4. クライアントの暗号化鍵を作成する必要があるかどうかを決定します。

    HTTPS を介して WAN ブートインストールを実行するには、暗号化鍵を作成する必要があります。クライアントが WAN ブートサーバーと HTTPS 接続を確立する前に、WAN ブートサーバーは、暗号化されたデータと情報をクライアントに転送します。クライアントは暗号化鍵を使ってこの情報を復号化し、インストール時にこの情報を使用することができます。

    • サーバー認証を伴う、より高いセキュリティで保護された WAN インストールを HTTPS で実行する場合は、次の手順に進みます。

    • wanboot プログラムの完全性チェックだけを行う場合は、暗号化鍵を作成する必要はありません。手順 6 に進みます。

  5. クライアントの暗号化鍵を作成します。


    # wanbootutil keygen -c -o [net=net-ip,{cid=client-ID,}]type=key-type
    
    -c

    クライアントの暗号化鍵を作成します。

    -o

    wanbootutil keygen コマンドに追加オプションが含まれていることを示します。

    (省略可能) net=net-ip

    クライアントのネットワーク IP アドレスを指定します。net オプションを指定しない場合、キーは /etc/netboot/keystore ファイルに保存され、すべての WAN ブートクライアントで使用可能になります。

    (省略可能) cid=client-ID

    クライアント ID を指定します。クライアント ID は、ユーザーが定義した ID か、DHCP クライアント ID です。cid オプションの前には、net= に有効な値を指定する必要があります。net オプションを指定し、cid オプションを指定しない場合、キーは /etc/netboot/net-ip/keystore ファイルに保存されます。このキーは、net-ip サブネットにあるすべての WAN ブートクライアントで使用可能になります。

    type=key-type

    クライアントの暗号化鍵を作成するよう、wanbootutil keygen ユーティリティに指示します。key-type には、3des または aes という値を指定できます。

  6. クライアントシステムにキーをインストールします。

    クライアントにキーをインストールする方法については、クライアントに対するキーのインストールを参照してください。


例 43–4 HTTPS を介して WAN ブートインストールを実行するために必要なキーを作成する

次の例では、WAN ブートサーバーの HMAC SHA1 マスターキーを作成します。また、サブネット 192.168.255.0 にあるクライアント 010003BA152A42 用に、HMAC SHA1 ハッシュキーと 3DES 暗号化鍵を作成します。

これらのコマンドを実行する前に、まず Web サーバーユーザーと同じユーザー役割になる必要があります。この例の場合、Web サーバーユーザー役割は nobody です。


server# su nobody
Password:
nobody# wanbootutil keygen -m
nobody# wanbootutil keygen -c -o net=192.168.255.0,cid=010003BA152A42,type=sha1
nobody# wanbootutil keygen -c -o net=192.168.255.0,cid=010003BA152A42,type=3des