この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。
マルチデータ転送 (MDT) では、ネットワークスタックから同時に複数のパケットをネットワークデバイスドライバに送信できます。 この機能を使用すると、ホストの CPU 使用率やネットワークのスループットが改善され、パケットあたりの処理コストが削減されます。
マルチデータ転送 (MDT) 機能を利用できるのは、この機能をサポートするデバイスドライバのみです。
MDT パラメタを使用するには、/etc/system ファイルを編集して、次のパラメタを有効にする必要があります。
set ip:ip_use_dl_cap = 0x1
デフォルトの設定では、MDT は無効になっています。 次のコマンドを実行すると、TCP/IP スタックにより、MDT が有効になります。
# ndd -set /dev/ip ip_multidata_outbound 1
MDT を有効にする前に、次の点を確認してください。
この機能を使用すると、IP レイヤと DLPI プロバイダ間でパケットの外観が変化することがあります。 たとえば、ifconfig modinsert コマンドを使用すると、他社製の STREAMS モジュールが IP レイヤと DLPI プロバイダ間に動的に挿入されます。 ただし、このモジュールは動作しないことがあります。 ifconfig modinsert コマンドは、MDT STREAMS データ型を認識しません。
autopush(1M) コマンド機構によって IP レイヤと DLPI プロバイダ間にモジュールが挿入されます。 これらのモジュールも、動作しないことがあります。
MDT に対応しない STREAMS モジュールを使用する場合は、この機能を有効にしないでください。 たとえば、ipfilter や CheckPoint Firewall-1 などの共有ドメインユーティリティは MDT に対応しません。
詳細は、『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』および ip(7P) のマニュアルページを参照してください。