Solaris ボリュームマネージャの管理

RAID 1 ボリュームを使ったデータのバックアップ

Solaris ボリュームマネージャは、バックアップを意図した製品ではありませんが、ミラーをマウント解除したり、ミラー全体をオフラインにすることなく、また、システムを停止したり、データへのユーザーアクセスを中断することなく、ミラー化されたデータをバックアップする手段を提供します。 データをバックアップするには、 まず、サブミラーの 1 つを切り離して (ミラーの機能は一時的に失われます)、そのバックアップをとります。 バックアップが完了したら、そのサブミラーを再び接続し、再同期を実行します。

UFS スナップショット機能では、システムをバックアップする際に、ファイルシステムをオフラインにしたり、サブミラーを切り離す必要はありません。したがって、後でミラーを再同期する場合に起る性能の低下を避けることができます。 詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「 UFS スナップショットの使用 (手順)」を参照してください。

RAID 1 ボリュームを使ってオンラインバックアップをとるには

この手順は、ルート (/) 以外のすべてのファイルシステムに使用できます。 このタイプのバックアップは、動作中のファイルシステムのある時点での内容を保存することに注意してください。 ファイルシステムへの書き込みをロックしたときのファイルシステムの使用状況によっては、バックアップしたファイルやファイルの内容がディスク上の実際のファイルに対応しないことがあります。

この手順には次の制約があります。

この手順の概要は次のとおりです。


注 –

このような手順を定常的に使用する場合は、これをスクリプトにしておくと実行が容易になります。



ヒント –

より安全な方法としては、ミラーに 3 番目または 4 番目のサブミラーを接続し、これを再同期し、バックアップに使用します。 これによって、データの冗長性が常に保たれます。


  1. metastat コマンドを実行して、ミラーが「正常 (Okay)」状態であることを確認します。

    ミラーが「保守 (Maintenance)」状態の場合は、まずそれを修復する必要があります。

  2. キャッシュのデータと UFS ロギングデータをディスクにフラッシュし、このファイルシステムの書き込みをロックします。


    # /usr/sbin/lockfs -w mount point 
    

    書き込みをロックする必要があるファイルシステムは UFS ボリュームだけです。 このボリュームがデータベース管理ソフトウェアなどのアプリケーション用に raw デバイスとして設定されている場合は、lockfs を実行する必要はありません。 (ただし、ベンダー提供の適切なユーティリティを実行してバッファをフラッシュしたり、アクセスをロックする必要がある場合もあります。)


    注意 – 注意 –

    ルート (/) の書き込みをロックするとシステムがハングアップしますので、絶対にロックしないでください。 ルートファイルシステムをバックアップしている場合は、この手順をスキップします。


  3. ミラーから 1 つのサブミラーを切り離します。


    # metadetach mirror submirror 
    

    ここで、

    mirror

    は、ミラーのボリューム名です。

    submirror

    は、切り離すサブミラー (ボリューム) のボリューム名です。

    読み取りは、他のサブミラーから引き続き行われます。 最初の書き込みが行われた時点でミラーは同期していない状態になります。 この不整合の状態は、手順 7 でサブミラーが再び接続された時点で修復されます。

  4. ファイルシステムのロックを解除し、書き込みを再開します。


    # /usr/sbin/lockfs -u mount-point 
    

    上の手順 2 で使用したベンダー提供のユーティリティを使って、必要なロック解除手順を実行しなければならない場合があります。

  5. 完全なバックアップを行うために、fsck コマンドを使って、切り離されたサブミラーのファイルシステムを調べます。


    # fsck /dev/md/rdsk/name
    
  6. オフラインにしたサブミラーのバックアップをとります。

    これには、ufsdump コマンド、または通常使用しているバックアップユーティリティを使用します。


    注 –

    適切なバックアップを確実に行うためには、raw ボリューム (/dev/md/rdsk/d4 など) を使用します。 「rdsk」では、2G バイトを超えるアクセスが可能です。


  7. サブミラーを接続します。


    # metattach mirror submirror
    

    サブミラーとミラーの再同期が自動的に開始されます。

例 — ミラーを使ってオンラインバックアップをとる

この例では、ミラー d1 はサブミラー d2d3 d4 から構成されています。 サブミラー d3 を切り離して、このサブミラーのバックアップをとります。この間、サブミラー d2d4 はオンラインのままです。 このミラーにあるファイルシステムは /home1 です。


# /usr/sbin/lockfs -w /home1
# metadetach d1 d3
# /usr/sbin/lockfs -u /home1
# /usr/sbin/fsck /dev/md/rdsk/d3
(/dev/md/rdsk/d3 を使ってバックアップをとる)
# metattach d1 d3