Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

認証方式の選択

プロキシ資格または匿名プロキシ資格を割り当てる場合、プロキシによるディレクトリサーバーへの認証方式も選択する必要があります。 デフォルトの認証方式は none (匿名によるアクセス) です。 認証方式には、関連するトランスポートセキュリティオプションも含まれます。

認証方式には、資格レベルと同様、複数値を指定できます。 たとえば、クライアントプロファイルを設定することにより、クライアントが TLS でセキュリティ保護された simple メソッドを最初に使用してバインドを試みるようにできます。 これが成功しない場合、クライアントは sasl/digest-MD5 メソッドを使用してバインドを試みます。 その後、authenticationMethodtls:simple;sasl/digest-MD5 になります。

LDAP ネームサービスは、いくつかの Simple Authentication and Security Layer (SASL) 機構をサポートします。 これらの機構を使用すると、TLS なしでセキュリティ保護されたパスワードを交換できます。 ただし、これらの機構はデータの完全性や機密性を保証するものではありません。 SASL の詳細については、RFC 2222 を参照してください。

次の認証機構がサポートされています。


注意 – 注意 –

Sun ONE Directory Server で digest-MD5 を使用する場合、パスワードを平文で格納する必要があります。 認証方式を sasl/digest-MD5 または tls:sasl/digest-MD5 に設定する場合、プロキシユーザーのパスワードを平文で格納する必要があります。 平文で格納する場合には、userPassword 属性が適切な ACI を保持するようにして読み取り不可にするよう、特に注意してください。


次の表に、さまざまな認証方式およびその特性の概要を示します。

表 13–4 認証方式

 

バインド 

セッション 

通信時のパスワード 

Sun ONE Directory Server でのパスワード 

セッション 

none

任意 

暗号化しない 

なし 

なし 

暗号化しない 

simple

必須 

暗号化しない 

平文 

任意 

任意 

sasl/digest-MD5

必須 

暗号化しない 

暗号化 

平文 

任意 

sasl/cram-MD5

必須 

暗号化しない 

暗号化 

なし 

任意 

tls_simple

必須 

暗号化しない 

暗号化 

任意 

暗号化 

tls:sasl/cram-MD5

必須 

暗号化 

暗号化 

なし 

暗号化 

tls:sasl/digest-MD5

必須 

暗号化 

暗号化 

平文 

暗号化 

認証とサービス

認証方式を特定のサービスに対して serviceAuthenticationMethod 属性に指定できます。 現在この機能をサポートしているサービスを次に示します。


注 –

サービスが serviceAuthenticationMethod セットを保持しない場合、authenticationMethod 属性の値がデフォルトになります。


次に示す例は、クライアントプロファイルの 1 セクションです。ここで、ユーザーはディレクトリサーバーへの認証に sasl/digest-MD5 を使用しますが、パスワードの変更には SSL セッションを使用します。


serviceAuthenticationMethod=pam_ldap:sasl/digest-MD5
serviceAuthenticationMethod=passwd-cmd:tls:simple