Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

クライアントプロファイル

Solaris クライアントのセットアップを容易にし、各クライアントに同じ情報を再入力する手間を省くために、ディレクトリサーバー上に単一のクライアントプロファイルを作成します。 この単一のプロファイルに、使用するすべてのクライアントの構成を定義します。 プロファイル属性への以降の変更はすべて、 定義されたリフレッシュ頻度でクライアントに送信されます。  

これらのクライアントプロファイルは、LDAP サーバー上のよく知られた位置に格納されます。 指定されたドメインのルート DN は、nisDomainObject のオブジェクトクラス、およびクライアントのドメインを含む nisDomain 属性を保持する必要があります。 すべてのプロファイルは、このコンテナと相対的な関係にある ou=profile コンテナ内に配置されます。 これらのプロファイルは、匿名で読み取り可能にする必要があります。

クライアントのプロファイル属性

次の表に、Solaris LDAP クライアントのプロファイル属性を示します。このプロファイル属性は、idsconfig の実行時に自動的に設定されます。 クライアントプロファイルを手動で設定する方法については、クライアントを手動で初期設定するidsconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

表 13–2 クライアントのプロファイル属性

属性 

説明 

cn

プロファイル名。 デフォルト値なし。 必須 

preferredServerList

優先使用されるサーバーのホストアドレスの、空白で区切られたリスト。 (ホスト名は使用しない)。 defaultServerList 内のサーバーより「前に」、接続が成功するまで、このリスト内のサーバーへの接続が順番に試みられる。 デフォルト値なし。 preferredServerList または defaultServerList に 1 つ以上のサーバーを指定する必要がある。

defaultServerList

デフォルトサーバーのホストアドレスの、空白で区切られたリスト (ホスト名は使用しない)。 preferredServerlist 内のサーバーへの接続試行後に、接続が確立されるまで、クライアントのサブネット上のデフォルトサーバーへの接続、続いて残りのデフォルトサーバーへの接続が試みられる。 preferredServerList または defaultServerList に 1 つ以上のサーバーを指定する必要がある。 このリスト内のサーバーへの接続は、優先サーバーリストのサーバーへの接続試行後に試みられる。 デフォルト値なし

defaultSearchBase

よく知られたコンテナの検索に使用する相対識別名。 デフォルト値なし。 ただしこの値は、serviceSearchDescriptor 属性で指定されたサービスで置き換えることが可能

defaultSearchScope

クライアントによるデータベース検索の適用範囲を定義する。 この値は、serviceSearchDescriptor 属性で置き換えることが可能。 指定可能な値は one または sub。 デフォルト値は 1 レベルの検索 (値はone)

authenticationMethod

クライアントが使用する認証方式を示す。 デフォルト値は none (匿名)。 詳細については、認証方式の選択を参照

credentialLevel

クライアントが認証に使用する証明書タイプを示す。 匿名またはプロキシを選択可能。 デフォルトは匿名。

serviceSearchDescriptor

クライアントがネームデータベースを検索する方法および場所を定義する (例、クライアントが DIT 内の 1 つ以上の場所を検索する)。 デフォルトでは、SSD は定義されていない  

serviceAuthenticationMethod

クライアントが特定のサービスで使用する認証メソッド。 デフォルトでは、サービス認証メソッドは定義されていない。 サービスで serviceAuthenticationMethod が定義されていない場合、authenticationMethod の値がデフォルトになる

attributeMap

クライアントが使用する属性マッピング。 デフォルトでは、attributeMap は定義されていない

objectclassMap

クライアントが使用するオブジェクトクラスマッピング。 デフォルトでは、objectclassMap は定義されていない

searchTimeLimit

クライアントが許可する、タイムアウトまでの最長検索時間 (秒)。 この値は、LDAP サーバーが許可する、検索完了までの時間に影響を及ぼさない デフォルト値は 30

bindTimeLimit

クライアントがサーバーとのバインドに許可する最長時間 (秒)。 デフォルト値は 30

followReferrals

クライアントが LDAP 参照に準拠するかどうかを指定する。 指定可能な値は TRUE または FALSE。 デフォルト値は TRUE

profileTTL

ldap_cachemgr(1M) により実行される、LDAP サーバーからのクライアントプロファイルの更新間隔。 デフォルト値は 43200 秒 (12 時間)。 値が 0 の場合、プロファイルは更新されない

ローカルのクライアント属性

次の表に、ldapclient を使用してローカルに設定可能なクライアント属性を示します。 詳細は、ldapclient(1M) のマニュアルページを参照してください。

表 13–3 ローカルのクライアント属性

属性 

説明 

domainName

クライアントのドメイン名 (クライアントマシンのデフォルトドメインになる) を指定します。 デフォルト値なし。必須  

proxyDN

プロキシの識別名。 プロキシの credentialLevel を使用してクライアントマシンを構成する場合、proxyDN を指定する必要がある

proxyPassword

プロキシのパスワード。 プロキシの credentialLevel を使用してクライアントマシンを構成する場合、proxyPassword を定義する必要がある

certificatePath

証明書データベースを含む、ローカルファイルシステム上のディレクトリ。 TLS を使用し、authenticationMethod または serviceAuthenticationMethod を指定してクライアントマシンを構成する場合、この属性が使用される。 デフォルト値は /var/ldap


注 –

SSD 内の BaseDN に「末尾のコンマが含まれる」場合、defaultSearchBase の相対値として処理されます。 検索実行前に、defaultSearchBase の値が BaseDN に付加されます。