Solaris 9 9/04 インストールガイド

第 30 章 カスタム JumpStart によるインストール (例)

この章では、カスタム JumpStart インストールを使用して SPARC システムと x86 システムに Solaris ソフトウェアを設定およびインストールする例を紹介します。

サイトの設定例

この例で使用するサイトの設定を図 30–1 に示します。

図 30–1 サイトの設定例

この図では、エンジニアリングサブネット上のインストールサーバーと、マーケティングサブネット上のブートサーバーを示しています。

この例におけるサイトの状況は次のとおりです。

インストールサーバーの作成

両方のグループとも Solaris 9 ソフトウェアをネットワーク上でインストールする必要があるため、server-1 を両方のグループのインストールサーバーにします。server-1 ローカルディスク (/export/install ディレクトリ内) にイメージをコピーするには、setup_install_server(1M) コマンドを使用します。これらのイメージは、Solaris SOFTWARE CD と Solaris LANGUAGES CD、または Solaris DVD からコピーしてください。

イメージは、ディスクから空のディレクトリにコピーする必要があります。以下の例では、それぞれのディレクトリ名を sparc_9 および x86_9 としています。


例 30–1 SPARC: Solaris 9 CD のコピー

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD (SPARC 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# mkdir -p /export/install/sparc_9 
server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/sparc_9 

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris SOFTWARE 2 of 2 CD (SPARC 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/sparc_9 

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris LANGUAGES CD (SPARC 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/sparc_9 


例 30–2 x86: Solaris 9 CD のコピー

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD (x86 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# mkdir -p /export/install/x86_9
server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/x86_9

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris SOFTWARE 2 of 2 CD (x86 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/x86_9

server-1 の CD-ROM ドライブに Solaris LANGUAGES CD (x86 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# cd /CD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./add_to_install_server /export/install/x86_9


例 30–3 SPARC: Solaris 9 DVD のコピー

server-1 の DVD-ROM ドライブに Solaris DVD (SPARC 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# mkdir -p /export/install/sparc_9 
server-1# cd /DVD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/sparc_9 


例 30–4 x86: Solaris 9 DVD のコピー

server-1 の DVD-ROM ドライブに Solaris DVD (x86 版) を挿入し、次のコマンドを入力します。


server-1# mkdir -p /export/install/x86_9
server-1# cd /DVD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-1# ./setup_install_server /export/install/x86_9

x86: マーケティングシステム用のブートサーバーの作成

システムは、異なるサブネット上のインストールサーバーからはブートできません。したがって、server-2 をマーケティンググループのサブネット上のブートサーバーにします。setup_install_server(1M) コマンドを使用して、 Solaris DVD (x86 版) または Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD (x86 版) から server-2 のローカルディスクの /export/boot ディレクトリにブートソフトウェアをコピーします。

server-2 の CD-ROM ドライブに Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD (x86 版) を挿入した場合は、次のコマンドを入力します。


server-2# cd /CD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-2# ./setup_install_server -b /export/boot

server-2 の DVD-ROM ドライブに Solaris DVD (x86 版)を挿入した場合は、次のコマンドを入力します。


server-2# cd /DVD_mount_point/Solaris_9/Tools
server-2# ./setup_install_server -b /export/boot

setup_install_server コマンドの -b は、setup_install_server/export/boot というディレクトリにブート情報をコピーすることを指定します。

JumpStart ディレクトリの作成

インストールサーバーとブートサーバーの設定が終了したところで、次は server-1 に JumpStart ディレクトリを作成します。ネットワーク上のほかの任意のシステム上に作成することもできます。このディレクトリには、Solaris ソフトウェアのカスタム JumpStart インストールに必要なファイルが入っています。このディレクトリを設定するには、/export/install にコピーされている Solaris DVD イメージまたは Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD イメージからサンプルディレクトリをコピーします。


server-1# mkdir /jumpstart
server-1# cp -r /export/install/sparc_9 /Solaris_9/Misc/jumpstart_sample  /jumpstart

JumpStart ディレクトリの共有

ネットワーク上のシステムが rules ファイルやプロファイルにアクセスできるようにするために、/jumpstart ディレクトリを共有可能な状態にします。このためには、/etc/dfs/dfstab ファイルに次の行を追加します。

share -F nfs -o ro,anon=0 /jumpstart

次に、コマンド行で shareall コマンドを使用します。


server-1# shareall

SPARC: エンジニアリンググループのプロファイルの作成

エンジニアリングシステム用に、eng_prof ファイルを /jumpstart ディレクトリに作成します。eng_prof ファイルのエントリは次のようになっていて、エンジニアリンググループのシステムにインストールされる Solaris 9 ソフトウェアを定義しています。

install_type  initial_install1
system_type   standalone2
partitioning  default3
cluster       SUNWCprog4
filesys       any 512 swap5
  1. アップグレードではなく、初期インストールによりインストールするよう指定しています。

  2. エンジニアリングシステムが、スタンドアロンシステムであることを指定しています。

  3. JumpStart ソフトウェアが、デフォルトのディスクパーティションを使用して、エンジニアリングシステムに Solaris をインストールするよう指定しています。

  4. 開発者システムサポートソフトウェアグループをインストールするように指定しています。

  5. エンジニアリンググループの各システムが、512M バイトのスワップ領域を持つよう指定しています。

x86: マーケティンググループのプロファイルの作成

マーケティングシステムの場合、marketing_prof ファイルを /jumpstart ディレクトリに作成します。marketing_prof ファイルのエントリは次のようになっていて、マーケティンググループのシステムにインストールされる Solaris 9 ソフトウェアを定義しています。

install_type  initial_install1
system_type   standalone2
partitioning  default3
cluster       SUNWCuser4
package       SUNWaudio5
  1. アップグレードではなく、初期インストールによりインストールするよう指定しています。

  2. マーケティングシステムが、スタンドアロンであることを指定しています。

  3. JumpStart ソフトウェアが、デフォルトのディスクパーティションを使用して、マーケティングシステムに Solaris をインストールするよう指定しています。

  4. エンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループをインストールするように指定しています。

  5. オーディオツールのデモソフトウェアパッケージを各システムに追加するよう指定しています。

rules ファイルの更新

次に、rules ファイルにルールを追加する必要があります。Solaris インストールプログラムは、カスタム JumpStart インストール中、これらのルールを使用して、各システムに正しいインストール (プロファイル) を選択します。

このサイトでは、各部署は独自のサブネットとネットワークアドレスを持っています。エンジニアリング部はサブネット255.222.43.0 にあり、マーケティング部はサブ ネット255.222.44.0 にあります。この情報を使用すれば、エンジニアリングシステム とマーケティングシステムのインストール方法を制御できます。/jumpstart ディレクトリ内の rules ファイルを編集して、サンプルのルールをすべて削除し、次の行をファイルに追加します。


network 255.222.43.0 - eng_prof -
network 255.222.44.0 - marketing_prof -

これらのルールは、基本的に、255.222.43.0 ネットワーク上のシステムが eng_prof プロファイルを使用してインストールされることと、 255.222.44.0 ネットワーク上のシステムが marketing_prof プロファイルを使用してインストールされることを示しています。


注 –

前述の例では、各システムが eng_profmarketing_prof のどちらのプロファイルを使用してインストールされるかをネットワークアドレスをルールのキーワードとして識別しています。この他にも、ホスト名、メモリーサイズ、またはモデルタイプをルールのキーワードとして使用できます。rules ファイルで使用できるキーワードのリストについては、表 31–1 を参照してください。


rules ファイルの妥当性を検査する

rules ファイルとプロファイルを適切に設定した後は、check スクリプトを実行して、これらのファイルを確認します。


server-1# cd /jumpstart
server-1# ./check

check スクリプトによってエラーが検出されない場合は、rules.ok ファイルが作成されます。

SPARC: ネットワーク上でインストールするためのエンジニアリングシステムの設定

/jumpstart ディレクトリおよび必要なファイルを設定した後は、インストールサーバー (server-1) で add_install_client コマンドを使用して、インストールサーバーから Solaris 9 ソフトウェアをインストールできるようにエンジニアリングシステムを設定します。server-1 は、エンジニアリンググループのサブネットにとってはブートサーバーにも相当します。


server-1# cd /export/install/sparc_9 /Solaris_9/Tools
server-1# ./add_install_client -c server-1:/jumpstart host-eng1 sun4u
server-1# ./add_install_client -c server-1:/jumpstart host-eng2 sun4u

add_install_client コマンドで使用されるオプションの意味は次のとおりです。

-c

インストールサーバー (server-1) と JumpStart ディレクトリへのパス (/jumpstart) を指定します。

host-eng1

エンジニアリンググループのシステム名

host-eng2

エンジニアリンググループの別のシステム名

sun4u

server-1 をインストールサーバーとして使用するシステムのアーキテクチャを指定する。ここでは、Ultra 5 システム用のプラットフォームグループを指定する

x86: ネットワーク上でインストールするためのマーケティングシステムの設定

次に、ブートサーバー (server-2) で add_install_client コマンドを使用します。このコマンドでマーケティングシステムに対してブートサーバーからブートし、インストールサーバー (server-1) から Solaris 9 ソフトウェアをインストールするように設定します。


server-2# cd /marketing/boot-dir/Solaris_9/Tools
server-2# ./add_install_client -s server-1:/export/install/x86_9 \
-c server-1:/jumpstart host-mkt1 i86pc
server-2# ./add_install_client -s server-1:/export/install/x86_9 \
-c server-1:/jumpstart host-mkt2 i86pc
server-2# ./add_install_client -d -s server-1:/export/install/x86_9 \
-c server-1:/jumpstart SUNW.i86pc i86pc

add_install_client コマンドで使用されるオプションの意味は次のとおりです。

-d

クライアントが DHCP を使用してネットワークインストールパラメータを取得することを指定します。このオプションは PXE ネットワークブートを使用してネットワークからブートするクライアントには必ず指定します。PXE ネットワークブートを使用しないネットワークブートクライアントには、-d は省略できます。

-s

インストールサーバー (server-1) と Solaris 9 ソフトウェアへのパス (/export/install/x86_9) を指定します。

-c

インストールサーバー (server-1) と JumpStart ディレクトリへのパス (/jumpstart) を指定します。

host-mkt1

マーケティンググループのシステム名

host-mkt2

マーケティンググループの別のシステム名

SUNW.i86pc

すべての Solaris x86 クライアントの DHCP クラス名。1 回のコマンド実行ですべての Solaris x86 DHCP クライアントを構成したい場合は、このクラス名を使用してください。

i86pc

このブートサーバーを使用するシステムのプラットフォームグループを指定します。このプラットフォーム名は x86 システムを意味します。

SPARC: エンジニアリングシステムのブートと Solaris 9 ソフトウェアのインストール

サーバーとファイルの設定が完了した後は、各システムの ok (PROM) プロンプトで次の boot コマンドを使用して、エンジニアリングシステムをブートできます。


ok boot net - install

システムは自動的に Solaris オペレーティング環境をエンジニアリンググループのシステムにインストールします。

x86: マーケティングシステムのブートと Solaris 9 ソフトウェアのインストール

次に示す方法のどれか 1 つを使用してシステムをブートできます。

Solaris 9 はマーケティンググループのシステムに自動的にインストールされます。